【番外編】先王陛下は双子の孫にデレる
王族で初となる双子のデアルトとクリスタは、最近つかまり立ちが出来るようになった。
その可愛い姿と言ったら、目に入れても痛くないほどだ。
儂には二人以外の孫が幾人かおるが、双子というのは、なんとも不思議な特別感があって、どれだけ見ていても飽きることがない。
ましてや、今王族で最も若く、時期国王最有力候補、更にあのフランの息子と娘だと言うのだ。
将来が楽しみで仕方がない。
国王を引退してはや二年、仕事も随分と減り自由な時間が増えた儂は、しょっちゅうデアルトとクリスタと共に遊んでいる。
今日は旬の苺を持ってきてやった。
コックに小さく切り分けてもらい、二人におやつとして食べさせた。
うむ、良い食べっぷりだ。
あっという間に食べきってしまった。
これこれ、おかわりをせがむでない。
これ以上やっては、ご飯が食べられなくなると乳母やフランに叱られるではないか。
おぉ、泣くな泣くな。
ほれほれ、たかいたかーい。
高くないとごねるな。
ここは室内だ、ここであれは出来ぬ。
それに、以前フランに見つかってしこたま叱られたのだ、もうしてやることは無理だ。
……うぅーむ、余計泣いてしまったではないか。
仕方がない、ママには秘密だぞ。
中庭へ散歩に連れていくと言う言い訳をして屋外へ行き、誰も見ていないことを確認してから。
ほーれ、たかーいたかーーい。
やっと笑ってくれたか。
全く、ロナウドのやつはこの子らになんて事を教えこんだのだ。
……はっ、何やら視線を感じる……
う、乳母!
いや、これはその、二人が泣き止まぬから散歩しにここまで来ただけであって、決して高い高いをしていたわけでは……
頼む!フランには言わないでいておくれ!
全く、乳母の奴ときたら、あれ程お願いしたにもかかわらずフランに言いつけやがって。
懇願ではなく命令にしておけば良かったかの。
今日はデアルトとクリスタをアーノルドとミリアンに合わせる日だ。
勿論、儂も二人と同伴をする。
忙しいロナウドとフランの代わりの保護者として、付き添わねばならぬからな。
「デアー、クリスー、大きくなったなぁ、おじいちゃんだぞー。」
全く、年甲斐もなく腑抜けてしまって、見ているこっちが恥ずかしい。
「デアルトもクリスタも可愛いわねぇ。
ほらほら、大ママですよー。」
ミリアンは何故か『おばあちゃん』と呼ばれるのを激しく嫌がっており、孫に『大ママ』と呼ばせようとしている。
初孫であるスカーレット嬢にも、割と最近までそう呼ばせていたそうだ。
正妻のシャーロットなんて、「私、遂におばあちゃまになったのね」と感動しておったのに。
女の考えることはよく分からん。
二人は今日も大量のお土産を持ってきている。
だが断言しよう、正直言ってもう必要ない。
何故なら、国王時代の儂より多忙なフランが、仕事の合間を見つけて玩具やら服やらを常に作っている。
そんな時間が何処にあるのか疑問で仕方がないが、出来ているのだからそれが真実なのだ。
なので、いつもこの夫婦が持ってきておるドレスや玩具は、別室でどんどん積み上がっているのだ。
この事を正直に言うと、二人はきっと悲しむであろう。
だから、毎回受け取るしかない状態が続いている。
諦めるしかない。
しかし、渋々でも贈り物を受け取っておきながら、必要ないものだったからとそのまま追い返すのは流石に可哀想だ。
なので、双子との交流の時間を存分に与えてやろう。
ただ、少しその子らと一緒に楽しみすぎではないか?
儂にも双子とコミュニケーションを取らせておくれ。





