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【番外編】新公爵令嬢は成認式に出る

 今日は私、スカーレットの成認式。


 フランおねいさまはこの成認式でいくつもの伝説を残したと言っていたわ。


 私も、おねいさまみたいに立派な五歳児として、世の中に認めてもらわなくちゃ!


 まずは、朝早くに成認式の会場に来て、平民と同じように並ぶのよ。


 フランおねいさまは並ぶ時間がおそすぎて、さいじょうきゅう部屋を取るのに苦労したみたいだから、私は誰よりも早く並ぶわ。


 そう思って、朝になってすぐ会場に着いたのに、もうたくさんの人が並んでたの。


 仕方がないから、一番うしろに並んだわ。


 成認式が始まるまでまだまだ、ずっと待ってるのは退屈しちゃったわ。


 やっぱり、馬車で休んでて始まる時間に前に並ばせてもらおうかしら……


 ダメよ、そんな事したらフランおねいさまのようなステキなレディになれないわ!


 列に並んでる平民の子とおしゃべりをしてみましょう。




 「ごきげんよう、どちらからいらしたの?」


 「今日はちょっと遠くのおやどから来たんだよ。

 そのドレス、ステキね!」


 「フランおねいさま、あ、王妃さまが今日のお祝いに作って下さったの。」


 「えっ、あの、もしかして、フランドール王妃殿下のご実家である、フィアンマ公爵家のマリア様とスカーレット様でいらっしゃいますか!?」


 「あら、わたくし達をご存知でいらして?」


 「勿論でございます!

 丁度私がこの子を妊娠していた期間に、素晴らしいマタニティ本やマタニティグッズを発売されていた王妃殿下に取り上げられた赤ちゃんとして、スカーレット様はこの子達世代のアイドルとして有名なんですよ!

 お会い出来で光栄でございます!」


 まぁ、私って有名だったのね。


 それから、時間になるまで列に並んでた前後の人たちとおしゃべりをしながら待っていたわ。


 私、フランおねいさまみたいになりたくて、大人の女性のような行動を心がけていたのだけど、周りの子たちはまだまだ子供っぽい子ばっかりだった。


 でも、フランおねいさまなら、そんな子たちにも大人の対応をしていたはずだわ。


 お行儀やしゃべり方も、ずっと気を付けていたの。




 しばらくしたら、開場時間になって、列が前に進んで行った。


 入口で名前を言って、機械に手を当てたら、受付が完了。


 急いでさいじょうきゅう部屋を取りに行ったけど、もう全部埋まってしまってたわ。


 おかあさまはおばあちゃまのようにお願い事が上手じゃないから、仕方がないけどじょうきゅう部屋でガマンするしかない。


 ここでもまあまあ広いし、いっか。


 次はドレスを着てない子を探すわよ!


 うーん、なかなか見つからない。


 古くて少しボロいドレスを着た子を見つけたから声をかけてみた。


 「あなた、そのドレス少しボロボロね、私のドレスで良かったらそれを着て成認式に出てみない?」


 「いやよ、これは王妃さまがむかし着てたドレスなのよ!」


 な、なんですって!?


 フランおねいさまのドレスが未だに受け継がれているなんて、なんて素晴らしいの!?


 「ステキなドレスね!

 来年にも使えるようにしてあげてね!」


 他にも、フランおねいさまが着ていたドレスを着た子が何人かいたけど、ドレスを着てない子は見つけられなかった。


 残念だけど、これは諦めるしかなさそうね。




 時間になったから、席について待っていたら、国王さまがステージの真ん中に出てきた。


 この人が、フランおねいさまのだんな様。


 とても明るくて優しい、カッコイイ男性。


 フランおねいさまにピッタリ。


 国王さまのあいさつが終わると、フランおねいさまがステージに現れた。


 王妃さまが成認式のあいさつをする事は今までなかったんだけど、フランおねいさまは今や全ての国民の憧れ、王位継承されて今の国王さまになってから、フランおねいさまは成認式のあいさつをするようになったみたい。


 はぁ、フランおねいさまステキ……


 フランおねいさまのお話が終わると、とても退屈なスポンサー発表の時間になった。


 ……ぉととと、ダメだわ、朝早くから並んでたから、眠たくて仕方がない。


 でもダメダメ、フランおねいさまは完ぺきに成認式を乗り切ったって言ってたもの。


 私だってこのくらい何とかしてみせるわ!




 何とかスポンサー発表の時間を耐えきった私は、お昼ご飯の時間もドレスを着てない子を探すことにした。


 朝の短い時間だけだったから、見つからなかったのかもしれないもの、もしかしたらまだいるかもしれないわ。


 「レティ、何やってるんですの?

 お料理頂きませんの?」


 あ、この料理ってレベッカおねいちゃんが作った料理だったわよね、これは食べておきたい。


 ん〜、やっぱりレベッカおねいちゃんの料理って美味しい。


 さすが王宮料理人だわ。


 お医者さまもやりながらお料理作るなんて、フランおねいさまのお付きの人って感じがするわよね。


 あ!あそこにドレスっぽくない服着てる子がいる!


 声をかけてみよう!


 「ごきげんよう。

 そちらの服は今日のために用意されたの?」


 「いえ、恥ずかしながら、実はドレスは用意出来なくて……」


 いたわ!この子よ!


 「もし今からでも宜しければ、私のドレスを差し上げるから、それを着て成認式に出ない?」


 「え!?

 いいんですか!?」


 「もちろん!」


 「まるで王妃殿下のお話のような出来事だわ、夢みたい!」


 「私、フランドール王妃さまの姪の、スカーレット・フィアンマと申します。」


 「まぁ!

 貴女があのスカーレット様?

 お会い出来で嬉しいです!」


 「わたしドレスきれるの?

 やったー!」




 あの後、食事をしながら他にもいないかずっと探してみたけど、見つけられなかった。


 でも、たった一人だけだったけどドレスを着せてあげられて良かったわ。


 さぁ、これから魔力持ちの発表だわ。


 おとうさまが魔力量レベル10でおかあさまが魔力量レベル8だから、低い訳はないと思うんだけど、フランおねいさまのように少ない事もあるから油断ならないわ。


 でも、あわよくばフランおねいさまみたいに火土属性であって欲しい。


 やっぱり並んでいたからかな、中々名前が呼ばれない。


 もし名前が呼ばれなかったら、どうしよう……


 だんだん不安になってきたわ、お願い、どうか名前を呼んで……!


 「フィアンマ公爵領、スカーレット・フィアンマ」


 やった、良かったわ!


 ちゃんと名前が呼ばれたわ!


 あとは属性よね、どうなるかしら。


 「火属性、魔力量レベル10」


 おとうさまと同じだ!


 火土属性じゃなかったのは残念だけど、魔力量はしっかりあったから良かった良かった。


 「以上15名は、10年後にエレメント魔法学校に入学してください。」


 え、今年の魔力持ちってすごく少ないのね。


 フランおねいさまの時の半分以下だわ。




 成認式の次の日、フランおねいさまからお手紙が届いた。


 『成認式、とても立派に参加出来てたね。

 ドレス似合ってたよ。

 魔力持ち、おめでとう。

 魔力量レベル10だなんて、すごいじゃない。

 私は魔力量が少ないから、レティが羨ましいわ。』


 ですって。


 私はもう、字の読み書きが出来るから、手紙のやり取りなんて簡単よ。


 お返事だってかけるんだから。


 昨日あった事、全部手紙に書いて出すの。


 それで、明後日お城に行った時直接渡すわ。


 デアルトとクリスタにも、昨日の事教えてあげなきゃだもの!

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