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【番外編】王妃殿下は子供を産む

 今日はとてもおめでたいお知らせがある。


 なんと、私のお腹に赤ちゃんがいるのだ!


 しかも、音魔法によるエコー検査の結果、双子だと言う。


 まだ小さくて性別が分からないけど、嬉しい限りじゃないの!


 早速ロナウドに報告した。


 「流石フラン!

 双子を妊娠だなんて、やっぱ一般人とは違うことをしでかすな!」


 原因の半分は貴方ですよ、ロナウド。


 リッカとレベッカちゃんに報告。


 「おめでとうございます、フラン様!

 お二人ご懐妊という事は、常に私が片方の赤ちゃんを抱いていられるのですね!」


 そんな事は一言も言ってない。


 「フランちゃんに似た赤ちゃんなら、男の子でも女の子でもどっちでも可愛いじゃない!

 楽しみだわ、早く生まれないかしら!」


 ロナウドに似てこそ男の子だろうが女の子だろうが美人になるでしょうが。


 先王陛下と先王妃殿下にもこの事を伝えた。


 「なんと!

 一度に二人も身ごもるだなんて、流石フランドールはやる事の桁が違う!」


 そちらこそさすが親子、似たような事を言うね。


 「とてもおめでたいですわ!

 早速、懐妊パーティの準備を致しませんと!」


 先王妃殿下、まだ妊娠してすぐですから何があるか分かりませんし、安定期に入ってからでもパーティは遅くないとは思いますよ。


 というか、パーティ必要ですか?


 「体調はどうなんだ?

 悪阻とか出てないか?」


 それが、ホントに妊娠してるのかってくらい何にも兆候がない。


 マリア様みたいな水すら飲めないってほどでないにしても、胃のむかつきや胸焼けもなければ、食欲が増すってことも無い。


 まぁ、普通に過ごせるってのはありがたいよね。


 今まで通り実験や研究の仕事がなんの支障もなく続けられるんだから。


 「いや、フランドール。

 そなたのお腹には二人の命が宿っておるんだ。

 無事出産が終わるまで仕事は休んでいなさい。」


 えっ、出産までまだまだだいぶ先なのに、今から産休入らないといけないの?


 「貴方が巷に流行らせたマタニティヨガなんかをやりながら、日常をのんびり過ごしていなさい。」


 マタニティヨガなんてしなきゃならないだなんて、ちっとものんびり出来ないじゃんか!


 「お腹の子供が未来の国王になる可能性もあるんだ、無事に産めなきゃダメだろ。

 国王命令だ、仕事は休め。」


 うそーん。




 仕事を休む羽目になった私は、することがなくて困っていた。


 だからと言ってマタニティヨガをやってみたものの、身体が硬すぎて開脚も前屈も何も出来やせず、ただ無駄に疲れるだけだった。


 そう言ってリッカや他の侍女達に文句を言っても、させてもらえるのは書類の確認程度。


 そんなもん、一時間あれば余裕で三日分程の仕事が終わるっての!


 速読ナメんなよ!


 あ!そうだ!


 王宮の書物庫にある本を読ませてもらおう。


 それなら、のんびりくつろぎながらでも読書を楽しめるじゃない。


 という訳で、書物庫へ入れさせてもらった。


 うちの実家の書庫もかなり大きくて大量の本があるけど、流石は王宮の書物庫、国内に流通している本は全て保管されていると言われてるだけあって、とんでもなく広い。


 地下には、世界に一冊しかない貴重な資料集や禁書と呼ばれる一般人閲覧禁止の本等が保管されているとのこと。


 めっちゃ見たい!


 ちょっとロナウドにお願いしてみよう。


 「ダメだ、フランがそんな貴重な本を読むだけにとどまる訳ないだろ。」


 うっ、そ、それは内容によるわよ。


 何でもかんでも実験するみたいな言い方しないでよ!


 「だからそれじゃダメだろ。

 どれも試しちゃ駄目だって。

 てか、何のために仕事休ませてるか分かってるか?」


 ちぇっ、分かったわよ、地下へは行かないわ。


 その代わり、閲覧可能書物は見せてくれてもいいでしょ?


 「リッカ、読む以外の事をしようとしたら、書物庫から追い出してくれ。」


 「かしこまりました、国王陛下。」


 おいぃ!?




 てな感じで、特につわりや特別な問題事もなく、妊娠中は軽いウォーキングと書類確認以外ではずーっと書物庫に篭って、ただひたすら読書をして過ごしていた。


 赤ちゃんもすくすく育って、お腹の中で喧嘩でもしてるんじゃないかってくらいよく暴れている。


 そして、遂に臨月に突入し、現在妊娠九ヶ月。


 九ヶ月とは言っても、ひと月が50日もあるので、地球人より大体150日前後妊娠期間が長め。


 更に、双子だということもあって、お腹ははちきれそうなくらい大きくなっている。


 助産師さんによると、いつ産まれてもおかしくないと言われている。


 ただ、双子だということで、帝王切開も覚悟しておけと言われた。


 もしそうなったら、一番事故のリスクが少ない王宮専属医師のリリーちゃんに取り上げてもらうことになっている。


 はぁ、早く赤ちゃんに会いたいなぁ。


 姪のスカーレットであんなに可愛いんだもん、自分の子供なら尚更可愛いく思えるに決まってる。


 君達だって、早くお母さんに会いたいから、そんなに大暴れしてるんだよね?


 てか、元気なのはとても嬉しいんだけど、もう少し優しく動いてくれてもいいんだよ?


 激しすぎて、時々苦しくて動けなくなっちゃってるからね?


 ほら、お腹が痛い、苦しい!


 ん?もしかして、陣痛始まってる?


 お、落ち着け落ち着け、陣痛って鼻の穴からスイカを吐き出すくらい痛いって聞いたことあるぞ、きっともっと痛いに決まってる!


 っててて、それにしても痛い。


 あれ、痛みの感覚が短くなってきたぞ?


 まさか、ホントにこれ陣痛!?


 リッカ、ちょっと助産師さん呼んできて!


 あいたたたたたた……いや、でもまだ我慢出来る痛さだ。


 きっともっと耐えられないくらい痛いに決まってる。


 マリア様だってもっと苦しそうだったじゃないの、きっとこれからが本番なんだわ。


 初産は産まれるまでが長いっていうもの、私なんて双子だし、きっと一日掛りで産まれるはずよ。


 あ、助産師さんが来てくれた!


 これから長いお仕事になるけど、よろしくお願いします。


 「王妃様、産道が完全に開いてます!

 もう産まれますよ!

 次の陣痛でいきんでください!」


 ……マジで?


 ちょっと、ロナウドもリリーちゃんもまだ来てないんだけど!


 って、いててててて、うーーーーーんっっっ……


 ……ほやあ、ほやあ、ほやあ……


 「おめでとうございます、王妃様!

 立派な男の子です!」


 う、産まれた……


 ジャガイモみたいな顔した男の子だ。


 か、可愛いぃ〜!!


 身体をきれいに拭いて、タオルに包まれた赤ちゃん。


 感動だ……出産て、こんなに素晴らしい出来事なんだね……


 って、あいたたたたたた、また陣痛来たよ、ふぐぐぐっっっー!


 ……んあぁ、んあぁ、んあぁ……


 「おめでとうございます、今度は美人な女の子です!」


 この子もジャガイモみたいな顔してるじゃないの。


 でも、可愛い……


 女の子がタオルに包まれて、渡された。


 二人とも、さっきまで私のお腹の中にいたんだよね……


 感動して、涙が出てきちゃった。


 「素晴らしいです、こんなにスムーズな出産、過去に経験がありません!」


 いやぁ、私ももっと大変なもんだと思ってたけど、想像してたほどの痛さじゃなかった。


 いや、痛いのは痛かったけどね?




 「フラン様!

 ご無事ですか!?」


 リリーちゃんの方が先に来た。


 「ええ、助産師さん曰く、近年稀にみる安産だったみたいよ。」


 「そうでしたか、私の出番がなくて、良かったです。」


 安心した様子のリリーちゃん。


 「この子達が、フラン様のお子様ですか?」


 「そうよ、お兄ちゃんと妹だったわ。」


 「フラン様にそっくりで、本当に可愛いですねぇ〜。」


 私こんなジャガイモみたいな顔してる?


 「フラン!」


 ロナウドも来た。


 「え!もう産まれたのか!?」


 「ええ、とても順調だったわよ。」


 「そっか、赤ちゃんもフランも元気そうで良かった。

 抱っこしてもいいか?」


 「勿論よ!」


 男の子の方を抱っこするロナウド。


 「ちっちぇえなぁ、可愛いなぁ。」


 顔が完全にお父さんになっている。


 


 それから、先王陛下、先王妃殿下が続々とこられて、二人の赤ちゃんを代わる代わる抱っこしていた。


 先王陛下は既にお孫様がいらっしゃるけど、先王妃殿下はにとっては初孫。


 もう、二人ともデレッデレ。


 勿論、リッカもレベッカちゃんも双子にメロメロ。


 「私の事をママだと思ってくれてもいいでちゅよ〜。」


 いいわけねぇだろ!


 赤ちゃんの名前は、男の子はデアルト、女の子はクリスタと名付けられた。

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