211 公爵令嬢は魔女のドレスを選ぶ
ローズさん一家は、国家反逆未遂と侮辱罪によって爵位剥奪、父親は犯罪奴隷に、母親と姉二人は修道院へ監禁される事になった。
ローズさんも罪に問われるかと思われたけど、本人の意思にそぐわず強制的に働かされていた事と、この前の大震災の功績を踏まえて無罪になった。
ローズさんの家族がいなくなってしまったけど、本人はとてもスッキリした様子だ。
そして、新旧生徒会のメンバー及び国にローズさんが心の闇を読めて操れることが公になってしまったけど、その事に関しては口外禁止になって一般の人達に知られる事はなくなった。
知ってしまったみんなも、特にその事に対して追求することも無く、気にする様子はなかった。
まぁ、本心はどうなのかわからないけど。
こうして、学校にもローズさんにも平和な日々が訪れる事になった。
「ねぇねぇ!
ローズ様は例の少年とレオ様のどっちが好きなんですか!?」
恋バナ大好きレベッカちゃんはこの事に早速食いついてきた。
「わ、私はフランドール様を一番にお慕いしてるので……」
真っ赤な顔でそう答えるローズさん。
あの事件が解決してから自慢のポーカーフェイスは崩れかけ、随分と喜怒哀楽が分かりやすくなってきた。
「もう、そういうんじゃないんですって!
恋愛対象としてどっちが好きなのか聞いてるんです!」
「わ、私は恋愛はまだ……」
「そうなんですか?
じゃあ、これから例の少年とレオ様のどっちが先にローズさんを落とすか、見届けないといけませんね。」
「これは見ものだわ!」
同じく恋バナ大好きアンリさんも、この話にノリノリ。
「でしたら、五日後行われるパーティの授業用に、ドレスを新調したらいかがでしょうか。」
珍しくリリーちゃんもかなり乗り気。
「では、明日の休日ドレスを見に街へ買い物に行かれてはいかがでしょう。
私もちょうどチョコレートを新調したいと思っていたところなんです。」
なんでリッカが一緒になって会話してるのかな?
てか、チョコは毎日購買で買ってるんじゃないの?
「何度も買い占めしすぎて購買の皆さんに顔を覚えられてしまい、私が来るとチョコレートを隠されてしまうようになったんです。」
ちょっと加減というものを知りなさい!
という訳で、ローズさんのドレスを買いに、リリーちゃん、レベッカちゃん、アンリさん、私で出かけることになった。
リッカ、くれぐれも出しゃばることのないように!
さて、やってきたのは毎度おなじみブロッサム商会。
ここには他所じゃ売っていないような様々なドレスやアクセサリーを取り扱っている。
ここのドレスや着物、仮面を使って夜会やお茶会をするのは、最早貴族のトレンドとなっている。
今また更に新しく靴を手懸けている。
以前、ロナウドとデートの時に思いついた、ハイヒールでも歩きやすく足が痛くなりにくいものを開発中。
そしてまず最初に出来上がったのは、ミュール。
かかと部分を取り払ったヒールのある靴の総称で、履きやすく歩きやすいよう深く履けるタイプの物とパンプスのような見た目の少し浅いものを作ってみた。
深履きの方は普段使いに便利で、浅履きの方はドレスにもピッタリ。
そして、ハイヒールの悩みであったかかとの靴擦れ問題も解消。
瞬く間にヒット商品となった。
更に、つま先部分を厚底にしてヒールの角度をなだらかにしたパンプスも発売。
これまた、足が痛くなりにくいと大ヒット。
ブロッサム商会は日々進化しているのだ。
そんなブロッサム商会で売っている、ローズさんに絶対に似合いそうなドレスを紹介した。
それが、ゴスロリドレス。
真っ黒な縦ロールのツインテールに真っ白な肌と真っ赤な唇、人形のように可愛い顔立ちをしているローズさんに是非着てもらいたかった。
案の定、バッチリ似合っていた。
「ローズさん、とてもお似合いです!
お人形のようです!」
「まるで、ローズさんのために作られたかのようなドレスですね!」
「こんなに可愛い娘、誰も放っておけないよ!」
みんなからの反応はかなりいい。
「とても可愛いドレスですね。」
本人も満足しているようだ。
という訳で、パーティ用ドレス数着と普段着用のワンピースをいくつか買った。
元々は家族にお金を巻き上げられて貧乏だったローズさんは、流行の遅れた古着のドレスを着ていた。
でも、今回の件で家族は捕まり、更に褒賞として大金を国から貰っていたローズさんは、これから沢山オシャレが出来るようになった。
本当に良かったよ。
早速、ゴスロリワンピースと厚底パンプスを履いて、街へ繰り出した。
真っ黒なドレスというのは、本来なら喪服として着られているのだけど、レースやリボンをふんだんに使ってあるワンピースを着たローズさんの姿に、街の人達は釘付け。
更に言うと、私達は学校祭の人気者プリキュンとして顔が知られているため、そのメンバーが着ている最新のドレスというのは誰もが気になるファッション。
色んな人に声をかけられながら、ローズさんはゴスロリワンピースを褒められている。
こりゃまた新しい流行の風が吹き荒れそうだ。
いよいよパーティの日。
流行の最先端、ゴスロリドレスを身につけたローズさんをまず最初に見たのは、パートナーのレオ。
「魔女チャン、そのドレス超イカしてんじゃん!
てか、似合いすぎ!」
ドレスをべた褒めしつつ、ちゃんと似合っているとサラッと口に出すレオに、ローズさんも照れを隠しきれない。
そして会場へ入ったローズさんの姿を見た例の少年は、顔を真っ赤にしながらドレスが似合うと少し照れながら褒めている。
その言葉を聞いたローズさんも、恥ずかしそうにお礼を言っていた。
華やかなドレスの中に一人真っ黒な衣装を見に包んだローズさんは、会場中の視線を独り占めしている。
「今まで、こういう視線は下心があって嫌だったのですが、今回のそれは憧れのようなもので、闇がなく気持ちのいい視線です。
フランドール様、本当にありがとうございます!」
この事をレベッカちゃんに伝えたら、
「本当に良かったわ!
早くレオ様と例の少年が恋に自覚しないかしら。
是非とも、もっと激しくローズ様を奪い合って欲しいわね。」
すごく満足気な様子。
昼ドラ展開を望むんじゃないよ!
そして、チョコレートを大量に入手できたリッカも、すごく満足気。
リッカは何するために私達に着いてきたの!?





