206 公爵令嬢は狐狩りをする
今年も始まる狐狩り。
去年は害獣駆除し過ぎて先生に怒られたから、今年は生徒会長として全体の見回り担当になった。
私って、なんやかんやの管理や見回りばっかしてんなぁ。
で、私のお供は去年もお世話になったレックス。
今年もよろしくね。
まずは、久しぶりにレックスに乗って感覚を思い出そう。
うん、この感覚久しぶり。
レックスも人を乗せるのは久しぶりらしいけど、長年の経験がしっかり身についていて、何も問題なく乗れた。
軽速歩も順調、いい感じじゃん。
私はレックスと一緒にある事がしたかった。
そのための練習をこれからしてみようと思う。
でも、レックスは嫌がるかな?
最初にレックスにしっかりと話をした。
「あのねレックス、私ね、あなたと一緒に空を飛びたいの。
どうかな?」
そう言って伝わるのなら何も問題ない。
分かってるのか分かってないのか、レックスはポケっとした表情で私の事を見ている。
「つまり、こういう事。」
見本に、ゴーレム庶務を翼の生えた馬ゴーレムに乗せて、空を飛ばせてみた。
金属の人形が乗った金属の馬はめちゃくちゃ重たくて、普通のペガサスより随分大きな翼が四翼生えている馬は、めっちゃバサバサ羽を動かしている。
これを飛ばすのに、学校でものすごく練習したんだから。
このペガサス騎士ゴーレムを見たレックスは、激しく驚いて逃げてしまった。
うーん、やっぱりそうだろうなぁ。
こんな見たことも無い生き物、いや生きてないけど、動物が見たら当然ビビるだろうとは思ってた。
でも、どうしてもやってみたかったんだよ、レックスとの空の散歩を。
ちょっと見本がデカすぎたか、小さいものをもう一度見せてみよう。
という事で、怖がるレックスを一旦なだめたあと、ミニゴーレム庶務を乗せたミニペガサスゴーレムを見せて、再び説明。
ミニペガサス騎士ゴーレムには驚かず、ちゃんと見てくれた。
これを徐々に大きくして、実物大までゆーっくりサイズアップ。
これで大きくなったペガサス騎士ゴーレムに驚くことなく対面できたレックスに、次の課題を課せる。
レックスに翼の生えた聖鎧を着せる事だ。
一応、軽くて丈夫な合金で作ってはいるけど、如何せん翼がデカすぎてトータルではかなりの重量になる。
ちゃんと着てくれるだろうか。
派手でお洒落好きのレックスは、案外素直に着てくれた。
ただ、やっぱり重たそうだ。
何とか手綱を引いて歩けることは歩けたけど、問題は次よ次。
宙へ浮かぶ。
まずは翼をパタパタと仰いで、翼の動きに慣れてもらう。
やっぱりビビってるなぁ。
レックスじゃなくて他の馬でもビビるだろう。
ただ、年齢的にも肝が据わってるのか、割とすぐ慣れてくれた。
じゃあ特訓の大目玉、飛ぶよ!
翼の動きを激しくして、少し宙へ浮かべた。
めっちゃ暴れた。
危うく転すところだった。
「ごめんね、やっぱり飛ぶのは怖いかな。」
しょんぼりと諦めかけた時、レックスはその場でジャンプをした。
もしかして、励ましてくれてるのかな。
「もう一度だけ、挑戦してみてもいい?」
やる気十分な様子だ。
じゃあ、頑張ってちょうだい!
激しく翼を動かした。
そして、ジワジワとレックスの身体が浮いた。
今度は暴れてない、いい感じ。
もう少しだけ高く浮かせてみる。
おぉ!レックスやるじゃん!
じゃあ、移動させてみるよー。
おけおけ、大丈夫みたい。
一旦着地。
「よくやったわ、レックス!
素晴らしいわ!」
いっぱい褒めて撫でてあげたら、なんだか嬉しそうな様子だった。
一つ問題点をあげるとしたら、飛び方がダサい。
鎧の翼に引っ張られて脚がプラプラしてて、まるで蚊が飛んでるみたいだった。
ペガサス騎士ゴーレムを見本に、空で駆け足の振りをしてもらう様に説明して、再チャレンジ。
まずは宙へ浮かべて、そこから移動。
「レックス、歩いて!」
おぉ、合成っぽいけど宙を歩いているみたいに見える。
じゃあスピードを出して。
「走って!」
ひゃあ!超カッコイイんですけど!
それでは最後の仕上げ、私を乗せて空を飛びましょう。
出来た、出来たよ!
自分で言い出しといてあれだけど、めっちゃ怖い!
よし、私の訓練と兼ねて、もうひとっ飛びだ!
狐狩り当日。
満を持して登場のレックスと私。
その姿を見て、みんなが驚く。
さあみんな、狐狩りと流鏑馬大会、頑張ってらっしゃい!
そして優雅に舞い上がる私とレックス。
馬どもがめちゃくちゃビビって暴れだした。
しまった、彼らの事はすっかり忘れてた。
「めっちゃカッコイイな!
俺にも乗せてくれよ!」
そう言ってレックスを簡単に乗りこなすロナウド。
操縦してるのは私なんだけど、最高にカッコよくてめっちゃジェラシー。
私以外にレックスを乗りこなすなんて、悔しい。
他の人にはもう乗せてあげない。
あ、そうだ。
リリーちゃんとローズさんの白馬に角を生やしてみよう。
美少女とユニコーン、うーん絵になるなぁ。
馬が凄い嫌がってたからすぐ外した、残念。
仕切り直して、狐狩り再開。
私とペガサスレックスの姿を見た害獣が、どんどん逃げ去っていく。
キツネ狩りにならない。
ジョニー先生に叱られた。
畜生、悔しいけど、ペガサス騎士はこれにて終了だ。ぐすん。





