202 公爵令嬢は二度目の野外活動をする1
去年大事件が起きた一、二年合同野外活動が今年も始まる。
海事研修同様、班別を生徒会で考えた。
今年は去年のように生徒が割り切れず端数が出るので、だったら生徒で付き添いの先生の代わりをしようという事になった。
端数は五人。
そう、丁度生徒会とビクター君の数と一緒だった。
という事で、ロナウド、セシル様、リリーちゃん、ビクター君がひと班ずつ担当を持って、残りの班は先生が担当、私は全体管理としてジョニー先生ともう一人の先生三人で担当することになった。
今回の班分け方法は、海事研修の成績順。
一年生の中でも、野営経験者のローズさんと、フィアンマ伯爵領地を知り尽くした森の妖精 ポスカ君はかなりの高成績だったらしく、去年の私達を彷彿とさせる程だったそうだ。
他にも、レオや例の少年等例年の好成績者程の実力者もいるそうなので、そこらへんがバラけるように均等に配分。
働かない奴らは、見張りの私達が尻を蹴りあげてでも働かせる。
と、そういう事になった。
野外活動当日。
昨年同様、乗合馬車で森の入口まで進んで、そこからは目的地までひたすら徒歩。
活動場所は、去年の事もあるから別の場所になるのかと思われたけど、毎年行われているあの場所だった。
オモカゲがいなくなってから、野営活動場所はすっかり元通りの様子になって、オモカゲとのバトルでボコボコになった道はそこだけ綺麗に舗装されているそうだ。
道中、私は全体を見るために上空にいた。
そう、ついに私、飛べるようになりました。
勇気一つを友にして。
て、それじゃ落ちちゃうでしょうが。
ちゃんとジェット機のような金属の翼を、背中に生やしたんだよ。
そして、翼を広げ空へ舞い上がる私は天使の如く。
「とても美しいです。
でも、飛行には十分お気を付けてください。」
リリーちゃんから祈りを捧げられてしまった。
まるで、聖女が崇める女神の如く。
そんな天使で女神の私は、みんなの上空で行ったり来たりしている。
全体を見張るのもそうだけど、飛行の練習を兼ねている。
実は、飛べるようになったのは昨日。
練習が不十分だから、ちょいと不安なんだよね。
一応問題なく飛べてるけど、昨日は飛べるまで結構散々だったから油断ならない。
「こんな時に練習をするんじゃねぇ。」
ジョニー先生にデコピンされた。
かなり強い、痛すぎる。
昼食時間になったので、一旦移動を止めて休憩。
ロナウド達は真面目に監視してて、働かない奴らの尻ををホントに蹴りあげていた。
じゃないと、彼らはご飯が食べられないからね。
みんなが狩りや採取に向かった中、チート者発見。
ポスカ君、なんでこんな季節に苺なんて食べてるの?
そうだよ、魔法は実力だから文句なんて何もないんだよ。
あぁ、私も一つ欲しい。
今狩ってきたこの魔鹿と交換してくれない?
はっ、こ、この油の匂いは……
まさかローズさん、それは揚げたてのポテチではないですか!?
影魔法の中に収納してたとは!
今狩ってきたこの大猪と交換してくれない?
「全体管理人が堂々と贔屓をするんじゃねぇ!」
交換した苺とポテチを没収された。
ジョニー先生、今日なんだか私に厳しすぎない?
仕方がないから狩り直し。
いい感じに脂の乗ってそうな山羊さん発見。
いつも通り火属性魔法で熱を奪って、あっさり狩猟完了。
さあ始めましょうか、レッツクッキン!
捌いたヤギ肉を一口大に切って、色んな香辛料で炒めたあと、グッギという実の絞り汁で茹でて味を整えれば、ヤギ肉のココナッツ風カレーの出来上がり。
ついでに、持参の小麦粉と塩、砂糖、バター、水を混ぜて
寝かせてフライパンで焼けば、ナン一丁。
いざ実食。
ヤギ肉とグッギの汁でカレーなんて初めて作ったけど、案外イケる味してるね。
おやおや、ジョニー先生ともう一人の先生お二人はご飯食べられないのですか?
苺とポテチを返すから分けて欲しい?
それはもちろんかえしてもらうけど、働かざるもの食うべからず!
後で倍返ししてもらうからね?
はぁ、こんなところで食べるポテチ激うま。
今度から持ってこようかな。
再び目的地へと向かう。
私の荷物は、ジョニー先生の泥人形が持ってくれている。
カレーの分はしっかり働いてもらうからね。
道中、去年オモカゲと戦った場所を通ったけど、確かにこの辺り一帯だけ道が綺麗になっていた。
夕方、目的地へ到着。
サーモグラフィーで確認してみたけど、特別おかしな様子は無さそうだ。
これで、今年はガッツリ十日間野外活動が出来るよ。
夕食は、昼の残りの食材や、広場近くに生えてる野草や木の実で凌ぐ事になっている。
ただ、昼の残りが残っていない班や、魔鹿や大猪のように大きすぎて全部を持っていけないことが殆どなので、必然的に採取がメイン。
まぁ、ポスカ君とローズさんは余すことなく持ってきてるんだけど。
全体管理の私達も、もう一人の先生が随分頑張ってできる限りのお肉を持ってきてくれてた。
そのままだと腐っちゃうから、一応魔法で熱を奪っておいたけど、重たいより冷たい方が辛かったらしい。
じゃあとりあえず、ジョニー先生ともう一人の先生でご飯作ってて。
私はちゃんと全体を見て回るから。
おやおや、例の少年、中々いい感じの夕食が出来てるじゃない。
香草野菜スープですか、乾燥パンを浸して食べると美味しいんだね。
どれ、試しに私にも一口。
ん!んまい!
いやー、さすがは次期生徒会長候補!
この調子で頑張りなさい。
そういえば、ウッディくんの班にはレオがいたね。
この班は、どこから魚を調達してきたんだ?
ついさっき、この近くの川で捕ったと。
この近くって、結構距離あるけど?
なるほど、レオが陸を波乗りしてきたんだね。
丸焼きだけど、塩はかけてるのかな?
仕方ない、ちょっと味付けしてあげよう。
代わりに一口くれなさい。
ん、んまい。
アンリさんの班は、スパゲッティを持ってきてたのか。
素晴らしい考えだよ。
木の実や野菜で味付けして、ペペロンチーノだ。
一口味見させてくれるのかい?
ありがとう、では遠慮なく。
んーまい!
で、ジョニー先生ともう一人の先生はどんなご馳走を作ったのかしら?
……マンガ肉かよ!





