200 公爵令嬢はデートをする1
デートの日が来てしまった。
朝からハイテンションのリッカとレベッカちゃん。
私よりデートを楽しみにしているようだ。
「いい?
フランちゃんは小さいところがチャームポイントなんだから、そこを活かすファッションをしていくのよ!」
そう言われて、「初デートに絶対着せようと思って作った」というリッカ作ワンピースを着せられることになった。
フリフリが付いてはいるけど、ゴテゴテとした感じではなく衣装に程よく馴染んでいて、可愛らしい衣装だ。
試しに着てみる。
サイズピッタリ。
おまけに私に似合っていた。
ただ、今日のデートのために普段着ないような服をわざわざ着るってなると、恥ずかしい。
なんかデートに気合い入れてるみたいだ。
「何言ってるの?
初めてのデートなんだから、気合い入れるに決まってるでしょう?」
髪結と化粧をリッカにされて、デート出陣用フラン完成。
それじゃあ行ってくるけど、絶対に着いて来ないでね!?
待ち合わせ場所は学校の正門。
私の方が少し早く到着した。
まるで、デートが楽しみで早く来すぎたみたいな気になってしまった。
いやいや、楽しみっちゃ楽しみなんだけど、そういうのじゃないから!
とか、脳内で言い訳していると、直ぐにロナウドが来た。
ロナウドは普段通りの外出着だった。
「へぇ、普段そんな服着ないのに珍しいな。」
ほら、だから無駄に気合入れすぎなんだって!
「いや、これはリッカとレベッカちゃんに着せられて……」
「何の言い訳してんのか分かんないけど、似合ってるからいいじゃん。」
……こういう事サラッと言うんだから。
今までなら「だって私よ?なんでも似合うわ」くらい返せたのに、照れて何も言えなかった。
「何するか決めてきた?」
正直に言おう。
何も決められなかった。
だって、デートって何すればいいのか分かんないんだもん!
地球だったら、ドライブとか遊園地とか水族館とか色々とあるんでしょうけど、ここはそんな世界じゃない!
遠出しても日帰りだと王都一周程度しか出来ない。
というか、
「ロナウドとだったら何しても楽しめそうだから。」
「なんだ、一緒の考えか。
じゃまぁ、適当に王都ブラブラしてみようぜ。」
という訳で、ブラブラと二人並んで散策中。
手は、繋いでない。
繋ぐべきかどうか分からなかった。
何となく繋いだ方がいい気もした。
でも、恥ずかしくて自分からは繋げない。
まぁ、今の状態でも楽しく会話しながら並んで歩けてるし、問題ないかな。
うそ。
本当は少し、手を繋いで歩きたいと思ってる。
でも、きっかけがなくて上手く言い出せない。
「あ、ちょっとここ寄っていい?」
そう言って指さした先は靴屋。
最近サイズが変わったから、新しいものを作ってもらいたいとの事だった。
そう言えば背も高くなったもんね。
「身長差がついて一緒に踊れなくなったらどうしよう?」
「そうなっても、工夫して一緒に踊るから大丈夫。」
「ふふっありがと。
でも、私も背を伸ばす努力をするから。」
「無駄なことは諦めればいいからな?」
「ムキーッ!」
靴屋の中に入ると、靴屋独特の革の匂いがした。
そう言えば、私になって初めて気づいたことなんだけど、女の人ってハイヒールで踊ったり歩き回ったりして大変だと思った。
まず、痛い。それに尽きる。
今の私もそれ。
少しでも背を高く見せるためにと、リッカとレベッカちゃんの意見を無視して見栄を張ったばっかりに、早々にもう足が痛くなってきた。
どこの世界も女性は、オシャレのために身を粉にしているようだ。
この世界は中世ヨーロッパほど足先を見せることに抵抗がなくて、だからこそ靴に力が入っている。
でも、痛くてオシャレな靴を我慢して履いて靴擦れした足を見せるのはちょっと格好悪いと思う。
だったら、もっと履きやすくて歩きやすいオシャレな靴を作ればいいじゃないの!
「もしかして、新しい靴を作ろうとか考えてる?」
「なんで分かったの?」
「だってフランだろ?
もっと歩きやすいお洒落な靴でも考えてんのかなとか思うだろ。」
「私の事、なんでもお見通しなのね。」
「そうなるのが理想だな。
ほら、フランはどの靴買うんだ?」
「え、なんで私も靴買うの?」
「その靴で一日中歩くの、キツいだろ?
どうせなら我慢とか無しで今日一日楽しみたいじゃん。」
ロナウドには本当になんでもお見通しだ。
ロナウドは私に靴を買ってくれた。
背は低くなっちゃったけど、やっぱり底が低い靴の方が歩きやすい。
背伸びせず、身の丈に合った事をするってのが大事だな。
「この小さいところが、フランらしくて可愛いんじゃん。」
そう言って頭をポンポンとされた。
子供扱いしてくるジョニー先生の時とは違って、温かくて愛おしいと思った。





