198 公爵令嬢は女子達と恋バナをする
学校祭の後夜祭の夜、私はドキドキして中々眠れなかった。
褒賞式や後夜祭の時の事を思い出すと、胸がギュッとなって、全身にぶわぁっと不思議な感覚が広がる。
なんだろうね、この気持ちよさってクセになりそう。
あぁ、だから年頃の少年少女はみんな「恋したい」って言ってるんだ。
俺は恋愛のれの字も知らなかったから、なんで同級生あんなに彼女を欲しがってたのか全然分からなかった。
まぁ半分は見栄とかもあるんだろうけど。
政略結婚の多いこの世界で、好きな人が結婚相手だなんて、私ってば幸せだね。
あの日以来、ロナウドと会っても特にそういった雰囲気にはなっていない。
二人きりになってないってのもあるんだろうけど、人前でイチャイチャする事も特になく、いつも通りみんなと同じように接していた。
レオのように冷やかしてくる人が他に居ないのもあるし、常に一緒にいるリリーちゃんとローズさんがそういう雰囲気を出させないように見張ってくるのが、一番の原因かもしれない。
二人はどうして私に対してそんな態度をしてくるんだろう?
「おふたりにとってフラン様は、特別な存在でいらっしゃるのでしょう。
そんなフラン様にとって特別であるロナウド殿下にヤキモチを焼いていらっしゃるんですよ。」
そっか、そういうものなのか。
二人にとってロナウドは最大のライバルなんだね。
「リッカはヤキモチとかそういうのはないの?」
「私は生涯フラン様の専属侍女という特別な地位を与えられておりますので、この程度でヤキモチなどございません。」
そういうもんなのか。
「ただ、テルユキさんがロナウド殿下と恋仲になるとなれば、色々と話は変わってきます。」
だから、どうしてそうなるんだよ!?
ロナウドとキスをした事がレベッカちゃんに伝わり、緊急女子会開催。
主催レベッカちゃん、参加者はアンリさん、リリーちゃん、ローズさん、私。
「「キスした時、どんな気分だった!?」」
レベッカちゃんとアンリさんが食い気味に質問してきた。
アンリさんがこういう事に興味があるのが意外。
「私は政略結婚でお相手が決まってて恋愛はもう諦めてるので、他の方の恋愛事にはとても興味があるんです。」
婚約相手とは恋愛するつもりないの?
「あのお方とは恋愛するのはちょっと……」
そんな言い方されたら、アンリさんの婚約者がどんな人か気になる。
「マザコンなんですよ。
ウッディさんのような母親想いとは違う、ガチの方の。」
あぁ、なるほど。
なんというか、えっと、うん、どんまい。
「そんな事より、ロナウド殿下とのキスはどうだったのかの方が気になります!」
いつもとは比べ物にならないほど饒舌なアンリさん。
「そうよ!
なんで私に黙って勝手にしてたの!?」
どうしてレベッカちゃんの許可がいるのかな?
てか、私がしたってより、ロナウドがしてきたってのが正しい表現だからね?
「「ドキドキした?」」
そりゃあもう、心臓が破裂するかと思うくらい!
「「もっとキスしたい!?」」
え、いや、あれは心の準備が欲しいので、しばらくは控えて頂けると……
あーもう、思い出すだけで顔が熱くなる。
「なんでもっとイチャイチャしないの?」
イチャイチャって、そんな人前でするとか恥ずかしいし。
「ロナウド王子とイチャイチャする時間があるのでしたら、私ともっと絆を深めてください!」
「いえ、ロナウド殿下やリリー様より、私との時間をもっと作ってください!」
バチバチが始まる。
二人は、私がロナウドと恋仲になることを反対してるのかな。
だったら、すごく寂しい……。
「「ち、違います!」」
「ただ、私にとってフラン様は誰よりも特別な人だから、ロナウド王子に嫉妬してるだけなんです……
ロナウド王子と恋をされるのは……応援致しますが、悔しい気持ちもあるんですよ。」
「今の私がこう居られるのは、フランドール様のおかげなんです。
私にとって一番心開ける相手は、フランドール様ですから……
ロナウド殿下にフランドール様を独り占めされたみたいな気持ちになって、寂しいんです。」
リッカの言ってた通りだった。
二人とも、ロナウドにヤキモチ焼いてたんだ。
「でも、一番大切な人だからこそ、その人の幸せを願ってあげたくなるものじゃない?」
レベッカちゃん……
「「た、確かにそうです……」」
二人の気持ち、分からなくもない。
リッカの母親と名乗る女性が来た時、私もこんな気持ちだったから。
そりゃ、大切な人が自分と一緒に幸せになってくれるのがベストだけど、それ以外の答えしかない事もあるもんね。
恋愛も、そんな出来事のひとつなんだろうね。
片思い、失恋、遠距離恋愛……いい事ばっかりじゃなくて泣くほど辛い事もあると思う。
たまたま私はロナウドを好きになって、ロナウドも私を好きになってくれた。
それが、どれだけ幸せな事か。
ロナウドも、同じように思ってくれてるのかな。
「じゃあ、みんなで応援してあげましょうよ!
フランちゃん、今度の休日、ロナウド王子とデートしておいで!」
何、唐突にこの子何言い出してんの!?
それ、誰が誘うの!?
「え、フランちゃんに決まってるでしょ?」
でしょうね!
「デートなんだから、もちろんエスコートしてもらうのよ?」
そこまでするの!?
「大丈夫!
お誘いからデート中まで、ずっと見守っててあげるから!」
つけてくる気満々かよ!
えぇえー、デートのお誘いって言われると、なんか無性に恥ずかしい……
そもそも、どうしてこんな流れになったんだろう?





