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188 公爵令嬢は災害救助をする1

 先日、アースフィールド王国北東部を中心に大規模な地震が起きて、広大な範囲が災害に見舞われた。


 その為、エレメント魔法学校の全校生徒と全教師に、北東部への救助派遣要請がなされた。


 とは言っても、馬車で片道二週間もある場所への派遣は、到着までにもかなりの時間を要してしまうため、救助活動が開始されるまでにも相当時間がかかってしまう。


 あまりに被害が大きすぎたのか通信魔道具が繋がらず、伝書鳥によって情報を受け取ったけど、それすらも片道一日以上かかってしまって、被害の詳細は分からない。


 一刻も早く現地に向かって救助活動を始めないと、被害がどんどん拡大してしまう。


 生徒会と先生達とで、会議が始まった。




 「災害地の最新情報はどうなってますか?」


 「政府による最新情報としては、震源地は中心街近くで被害は中心街はほぼ全壊、近隣の町や村への被害も大きく、確認されているだけで土砂崩れが三箇所、それによって村のひとつが半分埋まっている。

 ただ、王都から北東部へ繋ぐ道が完全に塞がれているため、これ以上の詳細はまだ分からないらしい。」


 「中心街がほぼ全壊って、最悪ね……」


 「近隣の領への被害もあるから、近場からの救助は見込めないとの事だ。」


 「じゃあ、どうやって現地に向かうんですか?」


 「騎士団の三割程は熱気球で向かっているが、伝書鳥でさえ一日以上かかる道のりだ、最低でも現地への到着は二日以上後になるだろう。」


 「騎士団でそれなのに、私達に何が出来るというのだ!?」


 「これ先生、落ち着きなさい。

 現在の我が校には、これ以上にないほど優秀な生徒が沢山集まっておる。

 生徒会の彼ら然り、一年生にも頭一つ抜きん出た者が数名ほどおる。」


 「確かに、歴代稀に見る能力を備えた魔力保持者が多くいますが、彼らに頼りきると言うのですか?」


 「勿論、先生方にも力になってもらわんとな。

 して、ロナウド生徒会副会長、次期国王候補として何か意見は?」


 「これ程大きな災害なのにも関わらず通信用魔導具が利用できない今、一刻も早く通信手段を回復しなければない。

 それらの対応は出来てるのか?」


 「最優先事項として対策されておる。

 伝書鳥で、魔法陣を届けておる最中だ。」


 通信用魔導具でなくても、魔法陣でも一応通信は出来る。


 但し、通信用魔導具が音声による通信、いわゆる電話のようなものに対して、魔法陣は文字でのやり取りのみで、時間差もいくらかある。


 更には、魔法陣は送る側と受け取る側の両方が必要で、場所ごとに魔法陣が違う為、送る側は双方の魔法陣を知っていないとやり取りができない。


 通信用魔導具すら使えない程の状態で、通信用魔法陣の一覧を正確に覚えている魔力保持者が現地にいない確率の方が圧倒的に高い。


 なので、一旦先ず政府と現地の魔法陣の図表を送り、向こうからの通信連絡を待つ事になったという。


 「では次に必要なのは、生存者への対応だ。

 恐らく、現地ではライフラインが壊滅して、水や食料はまともに口に出来ない。

 早急に日持ちのする食料を現地に運ぶ事を優先する。

 俺とセシルは風魔法での飛行が可能だ、熱気球よりはスピードが出せると思うから、二人で食料を持って真っ先に向かう予定だ。」


 「成程。

 だが、二人とも一日中風魔法で飛行する事が可能なのかな?」


 「休むことなく飛行する事は、流石の俺たちでも無理がある。

 休憩も含めて最短最速で向かう。」


 「では、それで頼む。

 フランドール生徒会長は、どのような意見があるかの?」


 食料問題をロナウドとセシル様に任せるとして、今現在では救助活動が出来る人が少な過ぎる。


 一国の猶予もないこの現状で、最大限に現地での活動力になるようにしなくてはならない。


 この世界には、魔法という便利なものがあるので、現地にさえ到着出来れば作業人数は地球より少なく済ませられる。


 そうなると、現地へより早く向かうのは能力が高い人でなければいけない。


 魔法学校内で風魔法で飛行できるのはロナウドとセシル様だけ。


 他の人を熱気球で向かわせるにしても、学校に気球は一つだけ。


 支援物資を乗せてしまうと、乗れる人数はかなり制限されてしまう。


 それに、現地の状況によっては、気球が着陸できない可能性もある。


 他にいい方法はないのか。


 ……魔法で空を飛ぶ方法、まだあった。


 「学校長、可能性の話にはなるんですが、一つ提案があります。」


 「よい、言うてみろ。」


 「一年生のローズ・シュヴァルツ令嬢ですが、彼女の影魔法と重力魔法がかなり有効だと思います。

 影魔法では、影の中に無生物の物を無限に出し入れ出来るそうなので、支援物資の運搬が格段に効率よくなります。

 また、重力魔法で丸二日空を飛ぶことも出来、災害救助でも瓦礫を浮かせる等可能です。」


 「丸二日間も空が飛べるとは、かなりの実力だの!」


 「そういえば、彼女は最近かなり魔法技術が上がっていたね。

 聞けば、毒物の扱いも可能だとか。」


 「はい、なので、リリーちゃんとローズさんをいち早く向かわせることが出来れば、怪我人の治療や解毒、疫病の抑止まで可能になると想像できます。」


 「急いでローズ・シュヴァルツ令嬢を連れてきたまえ!」




 「学校長、お呼びですか?」


 「ローズ・シュヴァルツ令嬢、いくらか質問をして良いか?」


 「はい。」


 「そなた、二日ほど空を飛べると耳にしたが、どれ程の速さを保つ事が出来る?」


 「落下速度のスピード程度なら、二日程可能です。」


 「なんと!

 それは、そなた一人の場合のみか?」


 「私を含めて三人までなら。」


 「素晴らしい!

 それと、影魔法で無生物なら無限に影へ収納出来ると聞いた、その収納時間も教えてくれ。」


 「収納する量によって可能時間が比例しますが、参考までに、500キロ当たり三日程。」


 「単刀直入に言う、フランドール生徒会長とリリー会計を連れて、今日中に500キロの支援物資を運ぶ事は可能か?」


 「……断言するなら分かりません。

 でも、やってみせます。」


 「うむ。

 では、教師諸君は少しでも多くの支援物資を、ロナウド副会長とセシル書記は自分の必要なものを持って直ぐに出発、フランドール生徒会長、リリー会計、ローズ令嬢は支援物資が集まり次第出発してくれ。」


 「「「「「了解!」」」」」

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― 新着の感想 ―
[一言] これを機に二人が仲良くなればいいが……
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