184 公爵令嬢は聖女と魔女の戦いに焦る
「そう言えば、ローズさんも凄く活躍してたんだよ。」
「お、噂をすれば魔女チャンいるじゃん。
呼んじゃう?」
後ろを振り向くと、遠くで私の事を見つめるローズさんがいた。
「私呼んでくるわ。」
そう言って、ローズさんのの頃へ駆け寄った。
「こんにちは、ローズさん。」
「フランドール様、こんにちは。」
「海事研修どうだった?」
「フランドール様のおかげで、とても有意義に過ごせました。」
「それは良かった!
今みんなで海事研修の事を話してるの、良かったら一緒に話しない?」
「……」
まだ人には慣れてないのかな?
「じゃあこうしてると、怖くない?」
ローズさんの手を取って、ギュッと握った。
「は、はい!」
私の手を強く握り返して、返事をしてくれた。
「と言うわけで、改めて紹介するわ。
私の友達、ローズさんよ。」
ローズさんも一緒に反省会へ参加。
「……フラン様、私も手を繋いでいいですか?」
いきなりどうしたリリーちゃん。
それを聞いてグッと私を引き寄せるローズさん。
リリーちゃんとローズさんに腕を組まれて雁字搦めの私。
何この状況。
「ところで、なんでローズさんは『魔女』なの?」
「闇の魔法を使いこなす黒が似合う美人だから。
物語とかに出てきそうじゃね?」
なんともまぁ安直な。
「ローズさんはその呼ばれ方どうなの?」
「その理由なら構いません。」
じゃあいいけど。
「ローズさんはどのように海事研修を過ごしたの?」
「主に狩猟をしました。
フランドール様の発案した影縛りや心の闇の浄化のおかげで、とてもスムーズに出来ました。」
「まぁ、フラン様てばいつの間にローズさんと魔法の訓練を?」
「試験休み最終日二日で、ローズさんと模擬野営したのよ。」
「どうして私を誘ってくれなかったのですか!?」
「その日はご実家へ帰られてたでしょ?」
「そんな素敵なイベントがあるなら、私は侯爵家なんかにかえりませんでした!」
リリーちゃん、命の恩人の家を『なんか』とか言わないであげてよ。
「……私は、フランドール様と二人きりで良かったと思ってます。」
こらこら、ローズさんはなぜこのタイミングでその言葉を発する?
バチバチと火花を散らす、リリーちゃんとローズさん。
「まぁまぁ、こんなみんなの前で喧嘩なんてしないで、二人とも打ち上げを楽しみましょ。」
「ウッディパイセンの言う通りだって。
聖女サマも魔女チャンも、もっと気楽にバーッてやっちゃわない?」
いざこざを止めたのは、ウッディ君とレオ。
二人とも揉め事嫌いだから、真っ先に止めに入ってくれた。
「失礼しました。
お見苦しいお姿をお見せして、ごめんなさい。」
「……すみません。」
「フラン様は本当に皆さんから愛されてますね。」
「気付いたら、いつの間にか友達増やしてんだもんな。」
「僕も友達多いけど、フランちゃん先生はもっといっぱいいるもんねー。」
それはみんなが私を慕ってくれてるからよ。
本当にありがたいわ。
「その中でも、フラン様を一番愛しているのは私です。」
「私の方がお慕いしています。」
また始まるリリーちゃんVSローズさん。
「二人とも、私を好きでいてくれありがとう。
とっても嬉しいわ!
そう言えば、一年生のみんなは初の海事研修疲れなかった?」
無理矢理話を逸らす。
「全然。
すごく楽しかったよ。
また行きたいね。」
例の少年も同意している。
「俺も俺も。
海で特訓とか、マジテンション上がりまくり。
移動中も馬車ん中で歌ったり双六やったりして、御者のオッチャン超ノリノリだし。」
今年の一年生はタフだ。
というか、レオのパーリーピーポーぶり凄いな。
「ワタシは、昨年班のリーダーを務めて、とても大変だったんです。
食料や水の調達が中々上手く行かなくて……」
「オレはセシル様が一緒で随分と助けてもらったけど、チーム全体の連携は微妙で、最後の方はバテバテでした。
一年生のみなさん、凄いですね。」
「ボクは、働かない人が嫌だった。」
私達の時よりも、もしかして団結力があるのかな?
「あ、でも元いじめっ子の二人はなんか微妙だったね。」
「あー、アイツらはもう手遅れっしょ。
どーにもなんねー。」
どの世代にも問題児はいるんだね。
「ローズさんは疲れなかった?」
「フランドール様発案の毒抜きで、疲労物質の除去が出来たので、疲れはありません。」
「まぁ、まるで私の治癒魔法みたいですね。」
再び火花散らせる二人。
何でこの二人はすぐゴングを鳴らす?
「二人とも素晴らしい能力よね。
人を癒す能力があるんだもの。」
「「僕だって癒しの魔法使えるよ。」」
セシル様とポスカ君までリングに立たないでよ!
「どうせ俺の魔法には癒しの『い』の字もないよ。」
ロナウド、ここ拗ねるとこじゃないから!
「王子サマ、その反応マジウケる。」
こらレオ!火に油を注ぐな!
「出来ること出来ないことは個性じゃない。
みんな素晴らしい能力を持ってるのよ。
その力を周りのみんなの為に使いましょう。」
熱い眼差しで私を見つめる例の少年。
「しかし、一番己のために魔法を使ってらっしゃるのはフラン様ですよね?」
リッカいつの間にーーー!?!?!?
お互いを嫌ってる訳じゃなさそうだけど、やたらとライバル視し合うリリーちゃんとローズさん。
早く仲良くなって欲しいなぁ……はぁ。





