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181 公爵令嬢は二度目の海事研修を行う1

 今日から海事研修。


 往復四日を除いた、六日間の地獄の始まり。


 日にちをズラす案は妥協点という事だったけど、場所を端と端へ分けるということで同日開催が可能化。


 より過酷な北西側を二年生が使用することになった。


 今回は、荷物は学校の指定したものでなく、完全に持参品のみ。


 持ち物に制限はないけど現金は不可。


 つまり、雨風を防げるテントを優先させるのか、生きる要の食料を優先させるのか、はたまた魔導具を持参して過酷な冒険の糧にするのか。


 私はもちろん、大量の食料と調味料を最優先。


 チョコレートを持っていこうとした時のリッカの顔ときたら、鬼か般若かと思ったよ。


 他のみんなは、各々持ち物がバラバラ。


 早速グループ内で持ち物担当を決めている連携プレイをかます班もいれば、各々好き勝手に持ち物を決めている班も。


 そう言えば、班決めが成績順じゃない事にかなり文句を言われた。


 主に、何もやらない人寄せ集め班複数から。


 だって仕方ないじゃーん、私達は生徒会だしぃー、ビクター君は研修する必要ないくらい完成され尽くしてるしぃー、己の実力を研鑽するためにはぁー、人の力ばっかりを頼りにしちゃー成長出来ないじゃんー?


 つーわけで、他力本願の精神捨ててテメェでどうにかしてこいゴルァ!




 まずは移動。


 私達生徒会&ビクター君は、気球で全体を見守る。


 乗合馬車を拾うか、魔法や持参の魔導具で自力で目的地に向かうか。


 そこからも今回から自由。


 今回決めてあるのは、目的地と集合時間、トレーニング内容程度。


 その他の時間は、技術を研鑽するなり冒険に集中するなりダラダラ過ごすなりお好きにどおぞ。


 まぁ、そんな余裕があるか分からないけどね。


 早速、移動から全体の差が出てきた。


 乗合馬車組は現金がないため、どうにか交渉をしている。


 魔導具組は個人でしか移動が出来ないようで喧嘩になっている。


 詳しい魔導具の内容は分からないけど、多分高速移動化か飛行移動のものあたり?


 どちらとも超高級な魔導具なのに、そんなものをたかが海事研修で使うなよ。


 乗合馬車組は交渉が成立したのか、何人かが馬車に乗れている。


 やっぱりチームワークと交渉術って世の中生きるためには必要だよね。


 最初の班が成功してから、それを応用して次々と馬車移動が成功している。


 いい傾向だ、


 いい加減、魔導具組も喧嘩をやめて早く出発しろ!




 一日目で早くも差が出た研修。


 乗合馬車組は順調に進み、野営もチームワークが整っている。


 反対に、魔導具組置いてけぼりチームは完全徒歩で初日野営予定地まで全然来れていない。


 チームワークも未だに良くなくて、ちっとも協力プレイをする様子が見当たらない。


 仕方がないから、説教だけしておいた。


 あくまで説教だけだから、手助けは一切しないけど。


 そして一番の問題、魔導具先陣組。


 二人いる魔導具コンビは、初日早々フィアンマ男爵領の市街地に到着。


 何をするかと思いきや、手持ちの宝石を現金に変えようとしているではないか!


 うむ、悪手ではない。


 実際、冒険中旅人に情報共有してもらう際のお礼にお金や宝石を手渡すことはごく一般的な事。


 こちらも特に禁止はしていなかったので、この行為自体は何も問題ない。


 しかし、甘い。甘すぎる。


 「「質屋も宝石商屋も、閉まってる……!?」」


 そう、換金が出来ないのであれば意味が無い。


 実は、国内最大級の外交港を持ち、貴金属の流通も盛んであるフィアンマ男爵領は年に一度、『お宝発見三が日』と言って国内でも有名な宝石貴金属流通イベントが三日間ある。


 貴金属取扱店は、この三日間のために二週間ほど店を閉じて海外や卸問屋へ向かい商品を物色している。


 もちろん、領民は二週間も使えない質屋の事情を完璧に把握しているので、生活に問題ない。


 その情報を知ってさえいれば、そんな無駄な荷物をこんなサバイバルへ持ってくる事もないのだよ。


 当然、お金を作って宿屋で寝泊まりをするつもりだった彼らには現金のひとつもないので、ここで野宿をしてもらう。


 質屋や鑑定士がいないので宝石の正しい価値も分からず、高価な宝石の数々がたった数食分の食料になってしまった。


 随分と高い買い物になったけど、これを糧に今後の海事研修を頑張ってもらおう。




 私達生徒会メンバーは、各地散り散りになってしまった生徒たちの元で野営活動。


 完全徒歩組にはセシル様とリリーちゃん。


 乗合馬車組はロナウドとビクターくん。


 男爵領突入二人組には私。


 と、連絡伝達用にミニゴーレム庶務を各場所に配置。


 さぁ、この一晩でどんな事が起こるかな?


 私はひとまず、この二人を市街地から追い出した。


 「「なんでこんな酷いことをするんですか!?」」


 ……私は何もしていない。


 勝手に魔道具で集合時間を無視してフィアンマ男爵領に入っておきながら、自分の情報不足のせいで侵した失敗を人のせいにするな。


 だいたい、こんな時期にフィアンマ男爵領に宝石を売りに来るような輩は、宝石取引が出来ない今の環境を利用して偽物を売りつけてくるような悪党くらいしかいない。


 そんな当たり前の事すら思いつきもしない貴様らのパッパラパーな頭、少しは冷やしてやるわ!


 というわけで、誰もいない本来の目的地へ強制送還。


 優しい私はゴーレムに彼らの手を握らせて、ひたすら北西側を仲良く歩いて目指す。


 とは言っても、細長ーく小さな男爵領は端から端までが結構な距離がある。


 野宿をするのに邪魔にならなさそうな森付近で今日は一晩明かそう。


 ご飯は、さっきエメラルドの指輪と交換したカレーの持ち帰りが二人分あるらしいから、あなた達はそれを食べておきなさい。


 私はサバイバル料理開始!


 まずこちらにあるのは、先程狩りで捕まえた大兎。


 血抜きして皮を剥ぎ、内蔵を取り出したら、香味野菜と香辛料をたっぷり塗って火で炙れば、兎の丸焼きの完成。


 内蔵も捨てることなくもちろん調理。


 臭みを消すために酒で洗い、鍋の中で調味料と一旦炒めたら、鍋に水と野草を入れて煮込む。


 最後に、味を整えれば、もつ煮込みスープの完成。


 ええ、もちろん二人には上げないわよ?


 全部私のご飯だもの。


 ちなみに、自由研究の後にレオとこっそり作った『無限に水の出る水筒』を持参。


 レオやポスカ君が「「自分たちも欲しい」」て言ってたけど、二人とも水魔法使えるから要らんがな。

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[一言] 事前調査は重要( ˘ω˘ )
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