177 公爵令嬢は生徒会の仕事をする
魔法研究機関に勤め始めて半月。
結局、私の自由研究はやり直しを言い渡されて、時間が無さすぎたので今まで作った食べ物のレシピをズラーッと書いて提出した。
もちろん、コーヒーやチョコレートのような門外不出のレシピを除いて。
在り来りすぎかと思ってたけど、かなり好評で食堂にレシピを献上された。
これで食堂のご飯が美味しくなるといいね。
今日はめちゃめちゃ久しぶりに仕事がある生徒会。
第一期試験開けにある海事研修の内容や場所決め。
二年生だけではなく、一年生の事も生徒会で考える。
私の私的要求としては、武術や筋トレは全面的に無くしたいけど、当然却下された。
ただ、武術や筋トレの時間は縮小して、魔法技術の訓練やサバイバル技術の向上をメインにしていくと言っていた。
それだけでもありがたい。
で、海事研修という事もあって行われるのは海沿いなんだけど、場所をどこでするか、班分けはどうするのかってのが問題になった。
「フィアンマ男爵領は、去年の事があって猛反対されてるわ。」
「あー、食事面で俺らばっかり得してたからな。」
「それだけではありません。
『小さな楽園で地獄の生活なんて二度と味わいたくない』という意見がかなり、というか二年生ほぼ全員からの声が上がっています。」
「確かにそうですね。
あと、少し気になってたのですが、班での共同活動のはずなのに、全然役割を果たせてない方もいらっしゃいますよね。」
おや、セシル様が珍しく割と厳しめの意見を言っているぞ。
「それは俺も思った。
利用されてばっかだったのは自覚してたけど、どうしようもなかったからな。」
「私は、フラン様と同じ班になれないのが不満です。」
リリーちゃんの不満は方向性が違くない?
「まぁ、確かに一理あるな。
おめぇらみてぇな優秀な人らばっかに負担がかかってるってのはちょっと問題だ。
適材適所ってのはあるが、団体行動で何もしねぇってのは単なるお荷物だ。」
ジョニー先生もそう思いますか。
「じゃあ、一年生は私たちが去年やった事と同じでいいとして、二年生の内容と場所を考えましょう。」
「去年活躍してた人で特に目立ってたのはビクターだったな。」
「彼にはもう、指導側に回ってもらってはどうですか?」
「そうですね、ビクターさんが居るのと居ないのでは、活動の幅が大きく違いましたもの。」
「じゃあ、ビクター君は先生達と一緒にいてもらって良いですか?」
「構わねぇけど、俺としちゃ生徒会メンバーもかなりの実力者だと思ってるぜ?
いっその事、おめぇらと一緒に行動しとけばいいだろ。」
「でも、確かにそうね。
ビクター君、人に指示できるような性格じゃないし。」
「たまにハッキリと言う時もあるけどな。」
「じゃあ、ビクター君は僕達生徒会メンバーと一緒に行動って事にしましょう。」
「かなり贅沢なメンバーですね。」
「仕方ないだろ、じゃないと俺らがこき使われるぞ?」
「そうよね。
じゃあ、残りのメンバーはどうやって分ける?」
「とりあえず、何にもしない奴らはまとめてやろうぜ。
絶対働かなきゃダメな環境にしないと、何もしない奴らは何もしないだろ。」
「確かにその通りです、ただちょっと面白そうですね。」
「セシル様、少し楽しんでますね。
私も人の事言えませんが。」
「本当にどうしようもねぇ時は、手助けにならねぇ程度にヒントやれよ?」
「分かってますよ、見殺しにはせず瀕死にとどめるわ。」
「フラン、アイツら殺す気か。」
「フラン様の意見に全面的に賛成です。
じゃあ、残りの方はどう分けましょう?」
「学年末試験の成績を見ながら決めるのがいいと思いますが、リーダーを決めて全体を均等なパワーバランスにしていくか、班内で同じ実力の方同士を組ませるか、どちらがいいと思いますか?」
「俺は同じ実力同士で組む方が面白いと思うけど。」
「面白いだけじゃ理由になってないわよ。
さっきジョニー先生も言ってたけど、適材適所ってのもあるから、役割分担させやすいメンツで組むのはどうかしら。」
「その場で役割を決めるってのも、判別行動の醍醐味だろ?」
「そう言われればそうですが、実力のない方達ばかりの班は大丈夫でしょうか。」
「まぁ、いざとなれば僕たちが手助けするって事で問題は解決するでしょう。」
「働かない班には手だし無用ね。」
「「「激しく同意。」」」
「じゃあ次に、場所を考えましょ。
どこでするのがいいかしら。」
「僕はいっその事、大クレームを受けたフィアンマ男爵領でいいと思いますが。」
「でも、一年生もフィアンマ男爵領なんですよね?」
「じゃあ、ある意味もっと地獄の生活をさせてしまってもいいんじゃね?」
「例えば?」
「カーネル元会長んとこのアンダーソン辺境伯領の西側の海とかどうだ?」
「確かにあそこは、ある意味地獄ですね。」
「あの、夏でも雪が溶けない山脈の麓の海ですか?」
「でもあそこ、海岸が岩場しかないじゃない。」
「あそこで海事研修したって話は無くはねぇが、かなり覚悟がいるぞ。」
「「「フランが居れば、快適な生活は約束されるから。」」」
「言っとくけど、私だって立場は弁えるわよ。
快適な空間は自分で用意しなさい。」
「「「がーん。」」」
「じゃあ、アンダーソン辺境伯領の西の海に決定でいいかしら?」
「おいおい、本気で言ってんのか?」
「え、ジョニー先生が怖気付く程過酷な場所なんですか!?」
「別に怖気付いてねぇって!
ただ、あそこは移動距離がかなりかさ張るぞ?」
「気球で行けばいいじゃないですか。」
「気球を簡単に操れるのはセシルくらいだ。
せめて片道二日の場所にしろ。」
「じゃあ、ここから一番近い地獄は、やっぱりフィアンマ男爵領ですよね。
私は大賛成です。」
「一年生と被りませんか?」
「日にちずらすのって駄目なのか?
先生、どうなんだ?」
「うーん、妥協案だ。」
「じゃあ、結局フィアンマ男爵領に決定ね。」
「僕達も、出来るだけ街の協力なしで活動していきましょう。」
「ビクター君がいる時点で、かなり安定した活動が出来そうなんだけど。」
「「「全然問題ない。」」」
ダメでしょ。





