152 公爵令嬢は魔法を研究する
この前の呼び出しはオモカゲの事についてだったんだけど、今日は別件で呼び出しされた。
それは、火属性魔法のサーモグラフィーについて。
魔法学校に帰ってから火属性を使える人全員にやり方教えてあげたんだけど、誰も使えなかった。
セシル様や火水属性持ちのミラ副会長も使えなかった程だった。
そもそも、サーモグラフィーがどんなものか知ってる私と知らないみんなでは、理解の度合いも違うだろうし。
一応、絵にして説明してみるんだけど、中々共感してもらえない。
なので、このサーモグラフィーを魔導具化してしまえば、誰でも使えるようになるんじゃないかな。
そう思ったから、魔法専門機関の戸を叩こうとしたところ、待ち伏せしてたかのように引きずり込まれたってわけ。
何度も実験してはいたものの、魔導具の作り方はさっぱり分からない。
魔法陣や呪文字を刻んで魔力を入れるのか、魔力を入れながらそれを刻むのか。
はたまた、リリーちゃんとやってるように同時生成で作るのか。
どれも試して見たけど、すべて失敗。
詳しく魔導具の作り方の書いてある本が出回ってないのが原因のひとつだろうけど、わけがわからないよ。
それを知るためにも、専門機関に私から行きたいと思ってたから、引き込まれは予想外だったけど結果的に成功。
さて、魔導具はどのように作られてるのかな?
「その魔法の効果のある魔石を使ってるだけですよ。」
……は?
「そんな魔石作れるわけないでしょ。」
…………はぁ?
「魔物から取れる魔石で稀に特殊な効果を持つものがあるんですよ。」
思ってたんと違う!
魔導具っていうくらいだから、偉大な魔術師が作ってる特殊な道具だと思ってたのに、全然違った!
だったら、リリーちゃんとやってるあれは、あんまり意味がないのかな?
「え、マジで?」
「それは知りませんでした。」
「でしたら、私たちが行っているものは意味がない事なんですか?」
うーん……
でも、それじゃ悔しいじゃん。
何か結果を残したい。
今日からまた例の作業を開始しますか?
「「「ワタシ達のことは気にしないでください、もう大丈夫ですから。」」」
元一班のみんなはもう大丈夫そうだね。
じゃあ、早速やってみますかね。
あ!忘れてた!
「フン、この位俺一人で出来るし。
舐めんじゃねえよ。」
あ、不良のエリックも大丈夫みたいだね。
今日も今日とて焼き石と粒鉄の山が出来上がる。
中々上手くいかない。
うーん、錬金魔法と何が違うんだろう?
火で鉄を加熱して精製……
もしかして……
「ロナウド、この石の中から鉄成分だけを抽質出来ますか?」
「ああ、可能だけど。」
「じゃあその砂鉄をセシル様が加熱して溶かすことは出来ますか?」
「加熱なら可能です。」
「じゃあ、もしかすると擬似錬金魔法が出来るかもしれません。」
「「な、なんだって!?」」
まず、火属性魔法は生産魔法。
そして、土属性魔法は操作魔法。
私が錬金魔法で生産出来てるのは、体質なのか火土属性持ち所以なのかは分からないけど、土属性魔法も体内の魔力で物質化出来ているから。
同じく、生産魔法と操作魔法、あるいは両方生産魔法属性持ちの魔法は、自力で操作魔法を生成出来ている。
逆に言えば、両方操作魔法のロナウドは物質を生産出来ない。
元々が素質として違うから、上手くいかず変な事になってたんだと思う。
だから、岩の山を作った時に地面が少しずつ減っていたんだね。
じゃあ、同じ事を鉄でするだけ。
鉄を生産出来ないなら、どこかで収集すればいい。
そしてその鉄成分だけを加熱して塊にしてしまえば、所謂錬金魔法のような事が出来る気がした。
「つまり、錬金魔法はロナウドと相性が悪かったんですね。」
「ちぇっ、なんか悔しいな……
ちょっと、今フランの言ったやり方でやってみてもいいか?」
「もちろんです。
是非試してみましょう。」
ロナウドが大量の岩の中から鉄成分だけを抽質。
そして、それをセシル様が加熱、冷却をして製鉄。
……出来た!
錬金魔法もどきが出来たァ!
「や、やったぞ!
え、いや、本当にやったのか?」
「ちょっと違う気もしますが、それっぽくは出来ましたね。」
いやいや、二人の力があってこそですって。
「私とフラン様の魔法も相性が良くなかったんですか?」
「リリーちゃんの光属性魔法は操作魔法だからね。
光を操作して、治癒力を操作する、って事。
だから、治癒効果のある粒鉄が作れなかったのね。」
「では、僕とポスカ君となら、錬金魔法が使える可能性があるって事ですよね……
早急にここへ呼び出ししてもいいですか!?」
セシル様、慌て過ぎ。
結局、ポスカ君が召喚されることはなかったけど、水風属性持ちのカーネル生徒会長と火水属性持ちのミラ副会長が、一緒に実験する事になった。
さて、次回の魔法実技が楽しみだ。





