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141 公爵令嬢は専属侍女に決断を迫る

 あれからリッカは思い悩み詰めて、全然元気がない。


 きっと、頭の中の整理も、決断も、何もかもぐちゃぐちゃになっているんだろう。


 急いで今考えをまとめなくてもいい。


 リッカはたくさんの時間を使って、心の整理をしてから答えを出してくれたらいいから。


 その答えが、もし本当に……親子として過ごすことを選んでしまっても……




 遂に、学校へ戻る日の朝になった。


 未だにリッカの答えははっきりしていない様子。


 「私の事なんて気にしないで、ゆっくり考えてから答えを出して。

 どんな結果だとしても、リッカの出した答えに、私は賛成するから。」


 「フラン様……」


 時間が惜しくとも、時はどんどん流れていく。


 そしていざ、出発しようと馬車へ乗る準備を始めた頃、


 「フラン様、私、覚悟が出ました。」


 「覚悟?」


 「はい、自分の意思を決心する事が出来ました。」


 「そう、それは良かった。

 これから彼女のところへ行くの?」

 

 「はい。

 お手間を取らせて申し訳ありませんが、アーノルド公爵様とご一緒に、私について来て頂けますか。」


 「ええ、もちろんよ。

 答えが出たのね。」


 「はい。

 私の考えた答えは一つだけです。」




 お父様と一緒に、リッカの母親らしき人物の元へ向かう。


 元気がなく項垂れた様子の彼女は、リッカの姿を見て急に立ち上がる。


 「あぁリッカ!

 会いたかった!

 私と一緒に過ごしてくれるわよね!?

 だって、私達家族なんだもの!」


 涙を流しながら、リッカに手を差し伸ばす。


 「私の家族は貴方ではなく、フィアンマ家の方々、男爵邸の皆様、そしてフラン様です。」


 リッカは、少し冷めたような目で彼女を見ながら冷静な口調で発言する。


 「リ……リッカ……

 何を言っているの?」


 「貴方は私の産みの親であって、私の家族ではありません。」


 「……ねぇリッカ!

 本当にそんな風に思ってるの!?

 やっと出会えた、私のたった一人の家族なのにっ……!」


 「……貴方が私を産んでくださったから、私は今、このように幸せな人生を歩む事が出来ているのは確かです。

 でも、貴方のいない生活と私の家族は、もう既に存在しています。」


 「……あぁ、リッカ……リッカ……」


 そう言って、彼女はその場に泣き崩れた。




 「アーノルド公爵様、少しの時間だけこの檻を開けてくださいませんか?」


 「……わかった、少しの時間だけな。」


 お父様が鍵を開けると、リッカは女性の前へしゃがみ込んだ。


 「私は今、とても充実した人生を送っています。

 沢山の家族や親しくしてくださる友人、そして、私が心より慕うフラン様がいます。」


 「……私がいなくても、貴方は幸せに過ごしているのね……」


 「はい、この生活を奪われてしまうくらいなら、死んだ方がマシだと思えるほど幸せなんです。

 ……その事を、分かっていただけませんか……?」


 「うっ……ううっ……」


 顔を手で覆い隠し、嗚咽で何も言えないほど泣いてしまった彼女。


 顔を覆ったその手を、リッカは優しく掴みながらこう言った。


 「貴方がいてくれたからこそ、私は今、幸せなんです。」


 繋いだ手を彼女はそっと離し、リッカへと抱きついた。


 「リッカ……会えて良かった……

 こんなに立派になって……」


 そう言って泣きながらリッカの頭を撫でる。


 「貴方は私の家族ではありませんが、私は貴方のたった一人の娘です。

 私を産んでくれてありがとう、お母さん……」


 そう言って、リッカも彼女を強く抱きしめた。


 そしてリッカも、涙を流していた。


 監獄には、リッカと母親の泣く声、そしてお父様の鼻水を啜る音が鳴り響いていた。





 リッカの母親には鞭打ちの刑が下され、刑罰が与えられた後、フィアンマ公爵領内に住居と仕事を斡旋された。


 今では二人で手紙のやり取りをしているらしい。


 伯爵家には、お父様が権力の全てを使ってお見合い話を揉み消した。


 そして、リッカはと言うと


 「これだけの覚悟と大騒動があったんですから、死ぬまで責任を取ってくださいね。

 フラン様、テルユキさん。」

 

 相変わらず元気いっぱいだ。

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[一言] フラン・テルユキ「どうしてこうなった」(頭を抱えながら)
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