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134 公爵令嬢は元一班と団らんする

 海事研修明け、元一班の三人とお昼ご飯を食べた。


 ぶっかけうどんにかき揚げと磯辺揚げをトッピング。


 もちろん、三人も同じメニュー。


 「フラン様は毎日こんな美味しい物を食べてるんですね。

 羨ましいです。」


 無表情で淡々と食べながらそう言うアンリさん。


 うーん、表情だけだと美味しそうに見えない。


 「コシのある冷たいうどんに、サクサクの天ぷら。

 こんな美味しい料理、母と妹にも食べさせてあげたいです。」


 ウッディ君は相変わらずマザコンシスコン、と言うかファミコンだね。


 「か、海事研修の、料理も、お、美味しかったんだよ……」


 海事研修で大活躍のビクター君。


 二人に、ビクター君のその活躍ぶりを話した。


 「それ程までにビクター様は冒険者向きだったとは、普段からは想像も出来ないほど意外です。」


 あれ、ちょっと本音出てない?


 「ビクターから狩りが得意とは聞いてたけど、これ程までとは。

 流石ビクターだな!」


 親友のウッディ君は素直に褒めてる。


 「そ、それ程じゃないよ……

 ふ、フラン様が、話を、ちょっと、盛ってるだけ、だから……」


 そんな事ないんだけど、謙虚だなぁビクター君は。




 アンリさんは、昨日の今日で絶対疲れてるはずなのに、それを一切顔に出さない。


 対してウッディ君は、座学の時間にウトウトしちゃったらしい。


 まぁ、机に伏して寝てる人もいたくらいだから、ウトウトで頑張っただけ良くやったよ。


 ちなみに、ウノ君とアル君は爆睡。


 おい、お前ら……


 「二人は海事研修どうだったの?」


 「アタシは今回リーダーだったんですけど、中々食料が調達できなくて……

 野営もかなり体力を使って、結構限界でした。」


 今日の様子を見る限り、全然そんな雰囲気ないんだけど、かなり苦戦してた様だ。


 「オレはセシル様と同じ班だったから、ご飯は割としっかり食べられました。

 ただ、アンリさんと同じく野営はかなり辛かったです。

 枕が変わるだけで眠れない程なのに、凸凹した床で寝袋で寝るとか、前半は見張りより眠るのに苦労しました。」


 意外と繊細なんだね、ウッディ君は。


 「な、何回もしてると、慣れてくるから、だ、大丈夫だよ……」


 「そうだな、後半は眠気の方が勝ってちゃんと寝てたし。

 逆に起きるのが辛くなったけど。」


 「アタシも、元々睡眠時間が多い方なので、途中で起きて見張りをするのは厳しかったです。

 お二人を尊敬します。」


 いやー、私は小屋で寝てたし、見張りも魔法使って手抜きしてたし、何よりショートスリーパーでどこでも寝られるってのはかなりのアドバンテージだよね。


 「そういえば、三人とも武器術やってたよね。

 砂浜だとやっぱり違う?」


 「はい、全然違いました。

 足元を砂に取られて踏ん張れず、スピードが普段ほど出せないんです。」


 「オレも、かなり苦戦したけど、ビクターは普段と全然変わらず動いてたから、驚いたよ。」


 「い、いや、ボクは、足場の悪い所で、動くの、な、慣れてただけ、だから……」


 いや、それが凄いよ。


 だから足場が不安定な所で狩りが出来るんだね。


 それを本人は全部『慣れ』で終わらせるんだもん、絶対才能だと思うんだけど。


 「そう言うフラン様だって、泳ぎはかなり上手でしたね。

 普段のフラン様とは全然違いました。

 アタシ、今まで泳げなかったので尊敬します。」


 さっきからちょいちょい本音が出てるじゃない?


 「オレも感心してしまいました。

 やっぱり、海辺で暮らしてるから泳ぎが得意なんですか?」


 あ、いや、泳げるのはたまたまだったんだけどね。


 「ビクター君は泳ぎも上手だったじゃない。

 それも狩りで得た技術?」


 「か、川で、魚を、獲ってたから……

 お、泳ぎ慣れてるんです……」


 そう言えば、海に潜って魚獲ってたわ。


 もう、冒険者として花丸合格だよね。




 不思議な雰囲気を醸し出すアンリさんの事が知りたくなって、二人で話をしてみた。


 「アンリさんは凄いわね。

 辛い時でも全然表情に出さないんだもん。」


 「いえ、ちゃんと辛いんですよ?

 それがただ顔に出にくいだけで。」


 「それもある意味才能だよ。

 私、すぐ顔に出ちゃうし、リアクションも多いから、何も言わなくてもすぐ心を読まれちゃうんだもの。」


 「それは欠点ではなく魅力です。

 アタシはこの顔のせいで、今まで友達がずっと出来なかったんです……」


 そう言うアンリさんは、少しだけ寂しそうな雰囲気だった。


 「でも、今はいるじゃない?

 ウッディ君にビクター君、それに私だってアンリさんの友達よ。」


 「あの……アタシ、フラン様の友達という立場になっていいのですか?」


 「勿論じゃない!

 むしろ、私はずっと友達だと思ってたわよ?」


 「……やっぱりフラン様は凄いですね。

 ますます憧れてしまいます。

 友達と言ってくださって、本当にありがとうございます。」


 そう言うアンリさんは、少しだけ笑っていた様な気がした。




 リリーちゃんと魔法の運練が終わって領に帰る頃、ウッディ君と出会った。


 彼ともじっくり話をしてみたい。


 「ウッディ君はとても家族想いだよね。」


 「父が一昨年亡くなってから、かなり大変だったんです。

 お金の余裕が急になくなってから、使用人が雇えなくなって。

 母が仕事を始めて、妹には家庭教師をつけられなくなったんです。」


 「失礼な事聞いてしまってごめんなさい。」


 「いいんですよ、本当の事だし。

 だから、三人だけで過ごさなきゃいけなくなったから、余計に絆が深まったんだと思います。

 オレが二人を守ってあげないといけないから……」


 意外と苦労人なウッディ君だ。


 「たった三人で厳しい環境に立たされて、辛くなかった?」


 「全然。

 父が亡くなった事はとてもショックだったけど、オレには母も妹もいる。

 それだけで十分幸せなんです。」


 素敵な家族愛だ。


 ウッディ君の意外な一面を知ることが出来た。




 表情が乏しくて今まで苦労してきたアンリさん。


 三人で貧乏な暮らしでも目一杯の幸せを感じているウッディ君。


 恥ずかしがり屋だけど冒険が得意なビクター君。


 私の友達の意外な面を知ることが出来て、嬉しかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ふんわり軽ーく、展開していくのがちょべりGOOD ゆったり読めます [一言] (もしかして、海自研修→海事研修だったりしますか?)(小声)
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