132 公爵令嬢は海事研修をする2
起床の時間、ウノ君とアル君はくたびれた様子だった。
寝不足だったのかな?
ビクター君は意外と元気そう。
野営も中途半端な時間だったのに、眠たくないのかな?
「ボ、ボク、野営の経験……あ、あるんだ……」
な、なんだってー!?
「叔父さんが、狩り好きで……よく、付いて行ってたの……」
それで元気があるのか、納得。
昨日からビクター君がどんどん頼もしくなっているわ。
周りの好感度も鰻登りじゃない?
朝食は、昨日から食べてる干し肉と硬いパン。
ぶっちゃけ、私には全然足りない。
と言う事で、夜に狩った獣の肉を料理しちゃいましょう。
皮をはいで、部位ごとにある程度の大きさに捌いたら、塩胡椒やソース、カレー粉をかけて味付けして、火魔法で焼くと、ステーキ&マンガ肉の完成!
まぁ、これは班のみんなも食べていいよ。
ガツガツとガッつく三人。
「こんな凄いもの、どうやって手に入れたんだ!?」
ジョニー先生が驚いている。
「昨日の見張りの時間にとって来ました。」
「ちゃんと見張りをしてろよ。」
「罠とゴーレムを仕掛けてたので大丈夫でーす。」
「……全く、こんな生徒初めてだよ。」
コンと軽く頭を叩かれた。
また子供扱いして……
これだけの事をしたんだから、もう諦めて私を大人だと認めなさいよ。
今日も先ずは、乗合馬車の駅まで歩いて行く。
そこで私は思いついた。
石人形に荷物を持たせればいいんだ!
重たい荷物を自分で持つより、ゴーレムを操るほうが私的には負担が軽い!
という訳で、私の荷物はゴーレムにお任せした。
「「なんか……ズルだよね……」」
そう言うなら、貴方達もこの方法使えばいいじゃない。
ま、それ程魔法が得意でないウノ君とアル君には無理だと思うけど。
ビクター君は、相変わらずスタスタと歩いている。
流石経験者だわ、貫禄が違う。
乗合馬車に乗って、昼休憩も、二班だけ豪勢な肉料理。
保存食ばかり食べている皆んなと違って、美味しく満腹に食べられる。
疲れが隠せない生徒諸君。
リリーちゃんの一班は、意外と元気そう。
多分、優しいリリーちゃんが寝不足や疲れを治癒魔法で治してあげたんだろうね。
ロナウドとセシル様の班は、リーダーだけ元気。
多分、あの二人は元々の身体の作りが違うんだよ。
「フランはまた規格外の事してんな。」
「本当、見習わなくてはですね。」
「さすがフラン様、私達には出来ない事を平然とやってのけるんですね。」
いやいや、君らだってそんな粗食で元気だなんて、凄いよ。
リリーちゃんなんて桁違いな事なってるじゃん。
そこにシビれる!あこがれるゥ!
夕方頃にはフィアンマ男爵領へ到着。
みんな、疲れは限界だけど、やっとたどり着いた男爵領に喜びを隠せない。
「じゃあ、夕食は各々自分たちで調達してこい。
金は使ってもいいが、貴重な銀貨三枚だ。
一食で使い切ると、後が大変だぜ。」
一同、顔面蒼白。
私の予想通りだった。
お小遣いの金額指定があった事から、昨日の朝の時点でこうなる事は予想できたんだよ。
だから調味料をしっかりと持って来たんだよ。
じゃあ先ず、食料調達から。
ここも腕の使い所。
自分で狩るも良し、領民に譲ってもらうも良し、値切って安く手に入れるも良し。
私は料理を担当するから、みんな頑張ってね。
一時間(地球時間で約二時間四十五分)後。
ウノ君は手ぶら、アル君は小ぶりの魚、ビクター君はウサギを調達。
「アル君、その魚、いくらで買ったの?」
「し、小銀貨五枚……」
なーにー!?やっちまったな!
いきなりそんな金額使ったら、一週間ももたないでしょうが!
で、ビクター君のウサギは?
「あ、あそこの森で、獲ってきた……んだよ。」
まぁ!
なんて優秀な人材!
流石、狩経験のある男は違うねぇ!
と言う事で、今晩は魚のスープ。
アラで出汁をとって、私が昨日取った野草と山菜で量増しして、仕上げの味付けをしたら、野営飯の完成。
……四人で分けると量が少ない。
ビクター君のウサギは、火属性魔法で低温保存して、明日食べる事にした。
他の班も結構苦戦しているようだ。
リリーちゃんの班は、治癒魔法で心と身体のダメージを癒している。
なんか……ズルだよね……
顔見知りが多いロナウドとセシル様は、安く食材を手に入れていた。
こう言う、使えるものは何でも使っていく姿勢、嫌いじゃないよ。
さて、再び野営の時間。
岩場や砂浜で野営をするんだけど、昨日の森よりかなり厳しい。
人気の多い場所での野営は危険だし、岩場のようなゴツゴツした場所ではテントが張りにくい。
私達は、岩場を土魔法で均して、その上にテントを張った。
私は勿論、今日も小屋。
地面を均してあげただけでも感謝しなさい。
「あ、ありがとう、フラン様……」
ビクター君はちゃんとありがとうが言える子なんだねぇ。
今日の見張りは、ウノくん、私、アル君、ビクター君の順番。
途中で起きなきゃいけないのが大変そうだけど、夜更かし得意だし、見張りの時間まで何かしてよう。
あ、せっかくフィアンマ男爵領に来たんだし、仕事でもして来ようかな。
「おいおい、野営中に仕事するとか、どう言う神経してんだ?」
ジョニー先生からお叱りを受けた。
ちっ、仕方ない。
じゃあ昨日の実験の続きでもするか。
ウノ君と交代の時間になったので向かってみると、寝てた。
ちゃんと見張りをしろ!
交代して、昨日と同じように罠を設置。
今日は穴が掘れないからまきびしを使った。
「いてっ!!」
何か聞こえた。
「ちくしょう、お前の見張りの番だったのか。」
こんな所で何してるの、ジョニー先生。
「たまに襲撃役でテントを回ってんだよ。
全く、まんまとお前の罠に掛かっちまった。」
先生も大変そうだね、お疲れ様。
さて、交代の時間なのにアル君は来ない。
あの二人は見張りをする気があるのかね。
呼びに行って無理矢理起こして交代させた。
さてと、目が覚めるまで寝ていよっと。





