130 公爵令嬢はパーティを主催する
週に一度行われているパーティーの主催の順番が、ついに来てしまった。
あいやー、どうするかね。
あと一ヶ月しか猶予はない。
ロナウドの意見は?
「うーん、なんかいつも面白そうな企画はフランがしてくれるからなぁ。
任せてしまえば良いものに違いないんだけど、やっぱ協力して作りたいよな。」
えらく私を買い被っていらっしゃる。
でも、そうなんだよねぇ。
『ペアで作るパーティー』ってのが目的だから、私一人で作ってしまっちゃ意味がないし。
「ロナウドは何かいいアイデアありますか?」
「うーん、漠然としか思いつかないんだけど、社交会の常識をぶっ壊す位のイメージチェンジをしたいんだよな。」
イメチェンねぇ。
日本のパーティーといえば、貴族は晩餐会、庶民はホームパーティーのイメージなんだよなぁ。
そう言えば、パー券配って政治資金集めパーティーもするな。
あとはあれかな、クラブで踊ってるパーティーピーポーとか、アレもパーティーになるのかな?
晩餐会はありきたり過ぎるし、他のは逆に奇抜すぎて取り入れにくい。
んんー、どうしよう?
「フランが前にやってた『仮面舞踏会』みたいな奇抜なのやりたい。」
そっか、ロナウドは奇抜派か。
じゃあディスコとか竹の子族とか見たいな昭和感出してみようか?
ディスコといえば、んー……扇子とボディコンにミラーボールとか?
竹の子族なら、ラジカセに奇抜な衣装と派手なダンスあたりかな。
扇子だって、淑女の皆さんは持っていらっしゃるし。
ボディコンは無理だな。
あんなミニスカートなんざはしたないにも程がある。
あ、ミラーボールなんかは使えそうじゃない?
奇抜な衣装は……前に作ったアレ使えば良さそう。
派手なダンス……私には無理案件。
ラジカセは論外。
こんな感じのパーティーどうだろ?
ロナウドに提案中。
「それ、めちゃくちゃ面白いじゃん!
ダンスはセシル達に協力してもらうから任せろ!」
お、スルスルと計画が進んできたぞ。
じゃあ、この調子でやっていこう!
まずはミラーボール作り。
小さなガラスを球体に取り付けて、会場にいくつか設置してもらう。
吊るすタイプではなく置き型のミラーボールで、回転できるように歯車式の装置をつけて、スポットライトは虹色ロウソクを使用すれば、会場はカラフルになるはず。
衣装は、ブロッサム商会の協賛でお送りしましょう。
音楽とダンスはロナウドに完全に任せてしまえば『二人で協力して作り上げた』パーティーの完成だ!
ロナウドに任せていた音楽とダンスは、私の希望通りのものだった。
セシル様が音楽を演奏、ロナウドとリリーちゃんがダンスを踊ってくれた。
軽快なアップテンポの音楽に、軽やかなステップ。
完璧な仕上がりとしか言いようがない。
これであとは、パーティー当日までに衣装を準備するだけ。
……これが一番大変なんだけど、間に合うのかな?
パーティー当日、生徒の皆さんはブロッサム商会の用意した衣装を着ていた。
その衣装とは、以前趣味で作った民族衣装。
対になる男性の衣装も作っているので、どの衣装がいいか選んでもらい、それをペアで着てもらっていた。
着物は動きにくいから、男女二人とも袴。
私達二人も袴姿。
生徒会長、副会長ペアはネイティブアメリカン、アンリさんはアフリカの民族衣装ダシギ、ウッディ君はスチームパンク風軍服、ビクター君はペルーの民族衣装ポンチョ。
選んでくれた衣装も結構均等に分かれていて、いろんな国の人が集まってくれたみたいな雰囲気。
先生方も参加したそうにソワソワしている。
さあ、『仮装パーティー』の始まりだ!
メインのシャンデリアは消してあるので、部屋は薄暗い。
シャンデリアの代わりに光るのが、ガラスの球のミラーボール。
これにいろんな色のスポットライトが浴びせられ、ゆっくりと回転していくと、部屋は瞬く間にクラブへと早変わり!
間接照明にも色とりどりのライトアップがされていて、会場中は見たこともない程カラフルに。
入場していく生徒達の驚く顔ときたら。
思わず足を止めてしまう人達もいた程。
最後に私達が入場して、ロナウドが挨拶。
「今日は、このような奇抜なダンスパーティー、『仮装パーティー』に参加してくれてありがとう。
これからまだまだ驚かせるような仕掛けを用意してるので、是非楽しんでいってくれたまえ。」
会場は早速盛り上がる。
お酒は色とりどりのカクテルやスパークリングワイン、食事は一口で食べられる軽食のビュッフェ。
軽快なアップテンポのバックミュージックで場を楽しませる。
「素晴らしいです、フランドール様!
このような不思議なパーティーは、仮面舞踏会以来ですよ!」
「仮面舞踏会や着物お茶会もそうでしたが、風変わりで楽しめるパーティーが作れるのは貴方しかしらっしゃいませんわ!」
いやいや、何故みんな私が作ったと言い張る?
ロナウドも一緒に作ったんだから、彼も褒めたげて!
「すごいよなー、フランは。
こんな発想、俺には無理だ。」
ちょ、ご本人!?
「フランドール様、その衣装とても良くお似合いでいらっしゃいますね。」
リリーちゃんとセシル様が来た。
やっぱり、親友の貴族言葉は慣れないし、普通に喋りたい。
「リリー様こそ、とても綺麗に着こなしてらっしゃるではありませんか。」
そういうリリーちゃんが来ているのはアオザイ。
もう、綺麗に着こなすってレベルじゃない。
彼女のためにアオザイが作られたって程に美しすぎる!
「もうすぐダンスの時間ですわ、お願い頂けます?」
「勿論ですわ。
今日のためにたくさん練習致しましたもの。」
音楽が一旦鳴り止み、壇上にいるロナウドにスポットライトが当たる。
「これからダンスの時間になるが、見たことのないダンスを今から披露する。
まずは代表がペアで踊るから、その後見様見真似でも、思いついたステップでも良い、自由に踊って頂きたい。」
そして、会場の真ん中へ向かうセシル様とリリーちゃん。
スピード感のある音楽に合わせて、二人は軽やかに踊る。
その場でジャンプをしたり、足を前に蹴り出してみたり。
地球で言うところのクイックステップに似たようなダンスに、一同目を引かれる。
……本当はこれを私とロナウドでしなきゃいけなかったんだけど、無理、絶対。
代わりに踊ってくれたセシル様とリリーちゃんにめちゃ感謝。
曲が終わると、二人に向けて拍手喝采。
「さあ、みんなも曲に合わせて自由に踊るがいい。」
そして新たに曲が始まる。
見様見真似で踊る人達もいれば、創作の即興ダンスを踊る人も。
それを見て楽しむ人達もいた。
私はひっそり壁の花になりながらポテチをつまみ、盛り上がる会場を見渡していた。
「「フランドール様の次にパーティーを企画するとか、無理、絶対!」」
次の企画担当のペア……もっと気楽に、な?





