124 公爵令嬢はボランティアをする1
今日から一週間(十日間)学校行事としてボランティア活動がある。
片道二日で行けるところで、グループに分かれて奉仕活動をしていくのだ。
グループ分けは九人ないし十人ずつでこれまた成績順で仕分けられる。
一班のメンバーは、ウッディ君が私と同じ第1グループで、アンリさんとビクター君はロナウドの第3グループ。
ビクター君、ウッディ君と分かれて大丈夫かな……
私達第1グループが行くのは、王都隣の伯爵領にある広大な麦畑が一面に広がる片田舎。
麦の収穫時期なのに、今年は人手が足りないそうだ。
という訳で、収穫のお手伝いをする事になった。
しかしまぁ、何というか、たったた十人でこのどデカい麦畑の収穫が出来るのだろうか。
ただでさえお貴族のお坊ちゃんやお嬢様は畑仕事なんて無縁なのだ、こんな作業を一日中とかできるのかな?
「今日はわざわざワシら麦農家の手伝いに来てくださって、ありがとうございます。
意外と体力のいる仕事ですから、ぼちぼち休みながら作業してくだせえ。」
迎えてくれたのは老夫婦二組。
息子さん夫婦達がこの間の隕石に巻き込まれて怪我をしたそうだ。
そりゃ大変だ。
ま、あの辺は確かリリーちゃんのいる第2グループが行ってるから、何の心配もなさそうだ。
「私はリーダーを務めます、フランドール・フィアンマと申します。
農作業は初めての者ばかりなので、どうぞご指導よろしくお願いします。」
「まぁまぁ!
フランドール様と言えば、フィアンマ男爵領の領主様ではないですか!?」
「はい、そうです。」
「いやぁー!
前からお会いしたかったんですよ!
我々の作った麦で、あんなに美味しい食べ物や飲み物を作ってしまうんですから!
麦農家として、やり甲斐があるってもんですよ!」
こんな所でお得意さん。
いや、知ってたんだけどね。
今の会話を聞いたグループメンバーはみんなポカーンとしてしまった。
いつもながらの光景に、だんだん慣れちゃったよ、もう。
翌日から収穫のお手伝い。
今日は私がみんなにお手製の麦料理を振る舞っちゃう。
そのつもりで、調味料なんかは自前で持ってきてたんだから。
まず主食。
大麦特有の臭いや味が強く感じさせない為に、大麦を水洗いして、オリーブ油を加える。
大麦と大麦の重さの2倍の水を入れたら、釜で炊いていく。
炊き方はお米とおんなじ。
炊き上がれば、お手軽麦ご飯の完成。
ふりかけに鰹節粉や魚の干物を砕いた物を振りかけると、栄養面にも調味的にもバッチリ。
続いてデザート。
卵、砂糖、はちみつを混ぜ合わせ、油を入れてよく混ぜる
それの中に細かくしたオーツ麦とそのままのオーツ麦を入てなじませる。
クルミやチョコチップ、ドライフルーツやココアパウダーなどを入れてまぜあわせたら、クッキー一枚分くらいの量を手に取り、ひとまとめに丸めて手のひらで押しつぶして平らにする。
焼きあがれば、オーツ麦クッキーの出来上がり!
デザートもう一丁
加熱機に小麦を加熱して圧力をかけて、急に蓋を開けて一気に解放すると、膨張してポン菓子になる。
これをチョコレートでコーティングしたら、麦チョコの出来上がり!
仕上げにドリンク。
大麦の大きさを揃た原料麦を焙煎、二、三回ていねいに麦の中心部まで200℃~280℃の高温で煎り上げる。
焙煎された大麦を煮出せば、麦茶のできあがり!
見たことのない調理法で作られた食べ物、飲み物に、グループメンバーだけでなく老夫婦達までポカーン。
「せっかく作ったんだから、是非食べてよ!」
一斉に食べ物にありつく人々。
「これは!
ふわふわで不思議な食感の麦と、上にかかった乾燥魚粉が、食べたこともない美味さを醸し出している!
こんな料理、初めてだ!」
「このクッキー、ザクザクとした食べ応えのある食感と、ほのかに香る麦の香ばしさがクセになりそう!
色んな味付けのものがあるけど、どれもこれも美味しい!」
「あぁ、このチョコ小さい麦粒がサクサクしてて、ほんのり香ばしさが美味い!
次から次へと手が伸びて、やめられない止まらない!」
「なんだこのお茶は!?
麦の香ばしい香りが鼻を駆け抜けて、爽やかで後味の良い飲み心地!
麦でお茶が作れるなんて、初めて知った!」
老夫婦達だけでなく、グループメンバーにも好評。
そして、付き添いの先生がちゃっかり一番食べていた。
次の日、朝から麦を刈っていく。
稲刈り機があれば随分と楽なんだろうけど、この世界にはそんなものがなく、手作業で稲刈りをするんだけど、これがまた結構腰にくるんだよ。
身体を鍛えてるグループメンバー達も、時々立ち上がったり仰け反って腰を動かしたりしている。
私はと言うと、そんな大変な作業が出来る体力がないに決まってるので、魔法で手助け。
石人形を十体ほど作って、彼らに作業をしてもらった。
疲れを知らない石人形達は、サッサッサっとあっという間に一区画分の収穫を完了。
またもやポカーンと見ている人たち。
「せ、先生!
あれズルくないですか!?」
「ズルくないに決まってる。
魔法だって実力なんだ、君達だって魔術士ならやってご覧。」
先生、フォローありがとう!
「くそっ、じゃあ俺だって!」
そう言って、風で麦を刈っていく。
でも、魔法の扱いが安定してないせいか、刈った麦の長さがバラバラで、更にその風によって収穫した麦が吹き飛んだり。
迷惑しかかけてない。
ロナウドやセシル様なら、このくらいチャチャっとこなしてしまいそうなもんだけど。
結局、私のように石人形を操れる人もいないメンバー達のために、仕方なく手動稲刈り機を作ってあげた。
おかげで、みるみるうちに稲が刈り取られていく。
「フラン様、昨日の料理といい、今日の石人形といい、稲刈り機といい、やる事の桁が違います。
俺も、フラン様みたいに石人形使いになりたい!」
ウッディ君はそう言うけど、君水属性だったよね?
石人形扱えないでしょ。





