116 公爵令嬢は魔法の実験をする
ロナウド王子、セシル様、リリーちゃん、そして私は、相変わらず魔法実技の授業が自習になっている。
対戦では実は私が一番強い。
というか、誰も私を倒せないからみんなが降参しているだけ。
流石、私の超合金シェルター。
色々と魔法の実験もやってみてる。
二人で的に同時攻撃して、必殺技を作ってみたり。
的が木っ端微塵に跡形もなくなるから、先生にはよく注意されている。
私達四人の中には水属性持ちがいないため、実験には偏りが多少あるけど、光属性魔法という特殊な属性があるので、身体を張った実験をすることも出来る。
セシル様が火属性魔法で自分の腕を焼いて火傷をさせるのと、リリーちゃんが治癒魔法で治すの、どっちが勝つかとか。
火力にもよるけど、基本リリーちゃんの圧勝。
まぁ、聖女の魔法は特別ですから。
「二度とするな」と先生にゲンコツ食らった。
なんで私が痛い目に合うのかなあ?
それで、最近思いついたのが『二人で複合魔法が出来ないか』というもの。
例えば、セシル様の火属性魔法とロナウド王子の土属性魔法を合わせて錬金魔法が使えるかどうか。
もし出来るとなったら、魔法の歴史史上初の大発見になりそうだ。
となれば、俄然やる気の出てくる四人。
早速チャレンジ!
「お二人とも、錬金魔法の仕組みは分かりますか?」
「いや、どうやってすんだ?」
「まずは、作りたい物の原材料を、次に完成品になるまでの工程を、最後に完成品をかなり鮮明にイメージします。
材料の分量、熱の掛け方や温度、完成品の形や大きさ、色まで、本物を作っている工程を限りなく完璧に想像してください。」
「そんな大変な事をフランさんは毎回簡単にされてるんですか?
すごいですね。」
簡単にとは言うけど、結構大変なんだから。
特に、複雑な仕様の物は想像力がかなり必要で、結構な魔力と精神力を持ってかれるんだからね。
という訳で、まず最初は私が初めて作った鉄から。
必要材料の鉄鉱石、コークス、石灰石を炉に入れて、下から温風を吹き込んだら鉄鉱石が還元されて、溶けた鉄が出てくる。
この工程を絵で、材料、完成品は現物で見せて教えた。
これで上手く出来るのかな?
ふ
……失敗。
しかも、私の時と同じ、石を火で炙ってる。
私の時は一人で全部想像するだけで良かったんだけど、二人でする場合は、そのイメージの内容とタイミングを完全一致させて、尚且つ魔力量のバランスも調節しないといけないから、一人でするよりかなり大変だと思う。
二人であーだこーだ言ってる間に、今度は私とリリーちゃんで複合魔法をしてみる事に。
私達が作ろうとしているのは、魔法石。
魔宝石と似てる名前だけど、魔宝石は魔力の篭った宝石で、魔法石は魔法の使える石。
魔導具みたいな物だ。
私の作った石でリリーちゃんの魔法が使えるようになると
いう、夢のような魔法。
しかし、これは相当難しいと思う。
多分、錬金魔法の二人よりもかなり。
だって、ただでさえ珍しい複合魔法の錬金魔法に、これまた珍しくて複合魔法はないとされている光魔法を合わせるという、前代未聞の実験なのだ。
まず、魔力のない見本の石を用意。
ただ、その辺に落ちてる石だと成分がわかりにくいため、五十グラムの純鉄を用意した。
リリーちゃんにも鉄の精製方法を教えて、その工程で治癒魔法を混入させるという感じ。
お互い、見たことも聞いたこともない特殊三種複合魔法。
心を落ち着け、集中し、同時に魔法を開始。
粒鉄を持った私の手がスベスベになった。
やっぱ最初から上手くいくはずがない。
何度も挑戦。
何度も失敗。
そして赤ちゃん肌のように真っ白でスベスベになっていく私の手。
私が魔力切れでフラフラになる度に、魔力回復魔法をかけて何度でも復活させるタンク魔力量のリリーちゃん。
スパルタだな!
でも、何度やっても上手くいかない。
向こうの二人も上手く行ってないみたいだ。
やっぱり、二人で複合魔法は無理なんだろうか……?
でも、諦めたくない。
今日は時間が来てしまった。
結構な回数試したけど、全然兆しが見えなかった。
でも、新しいことへの挑戦は楽しい。
一人で超えられない壁をみんなで超える。
いつかきっと、複数人複合魔法を成功させるぞ!
訓練場を後にしようとした私達を先生が呼び止めた。
「あれ、どうにかならんのか?」
訓練場の一角には、山のように積み上げられた熱々の石と、砂浜のようになった粒鉄の海が出来ていた。
「二人とも!
石をあんな高熱のまま放っておいちゃ駄目でしょ!
ちゃんと冷ませておかないと!」
「そういう事言ってるんじゃない!
ちゃんと片付けろ!」
そして先生にゲンコツ食らった。
だからなんで私だけ!?





