115 公爵令嬢は休校日を過ごす
エレメント魔法学校は週一で休みがある。
とは言っても、一週間が十日もあるこの世界で週一って事は、九日間連続通学になる。
もちろん先生も九連勤なんだけど、先生達も学園で過ごしてるから、休みの日も仕事してる先生がチラホラ。
一応外出は可能だけど、十時(日本時間で九時半頃)から三時(大体十七時前)までしか外出出来ない。
まぁ、学校内にもドデカい売店、と言うかちょっとしたスーパー位の販売所があるから、校内に出なくても生活出来るんだけどね。
使用人も利用できるこのお店、ここにも私の作ったお菓子やら飲み物やらが置いてあって、定期的にリッカがチョコレートを調達している。
今日は休日、みんなで外出しようって事になった。
メンバーは、三つ編み眼鏡のアンリさん、ニコニコ顔のウッディ君、照れすけのビクター君の一班四人。
自由研究をきっかけに仲良くなって、学校で一緒におしゃべりしたり遊んだりしている。
アンリさんは素っ気ないって訳じゃなく、本人曰く意思を簡素に伝えているだけらしい。
ウッディ君はグループの中心的な立ち位置で、いつも明るい雰囲気にしてくれる。
ビクター君は人見知りではなくて、あれが通常運転らしい。
私はと言うと、言動がみんなとズレていて何言ってるか分からない不思議ちゃん扱いにされている。
なぜ?
最初に来たのは武器屋。
アンリさんの武器は、女の子では珍しい双剣。
自分に合った双剣を見つける為に武器屋巡りするのが、アンリさんの趣味らしい。
「ここの武器は実用重視で、装飾が少ないけどとても使いやすい物が多いんです。」
武器かぁ、昔お父様から「剣を持つな」と言われてたからこういうお店に来た事なかったけど、俺としてはやっぱり武器はカッコいいと思うし、手に取って構えてみたいもんよ。
日本刀はないかなぁ、ないよなぁ。
近場にあったショートソードを構えてみた。
ズシッ、お、重い!
こんなの、絶対振り回せない!
サーベルなら軽そうだから、そっちにしよう。
ズンッ、こ、こんな重たいのなんでみんな片手で振り回してるの!?
ハンティングナイフなら両手で持てばなんとかなりそうだ。
「そんなもの両手剣として使うのかい?」
店主にダサいと言われた。くそぅ。
ウッディ君はショートソード、ビクター君は手盾と片手剣がメイン武器で、三人は楽しそうに武器を物色している。
ちくしょう、私だって錬金魔法で自分用の武器作ってやるからな!
次に来たのは骨董屋。
ビクター君の趣味が骨董品らしい。
だから、自由研究の時に美術品を調べたいと言ってたのか。
店内に入ると、夥しい数の壺や絵、彫刻が所狭しと並べてある。
価格は割と親切な方で、この中には稀に希少価値の高い物が埋もれているらしい。
それを探すのが、ビクター君は好きなんだって。
アンリさんとウッディ君も宝探しに挑戦中。
とは言っても、私には古美術品の良し悪しなんて全然分からないし、日用生活に使えない高級品に全く興味がない。
だからと言って、堪らなそうにしていたらビクター君には悪いし……
なんか役に立つような物はないかな……
ん?これは?
「この人形はどこで手に入れた物なんですか?」
「ああ、何年か前に『動かすところがなくなった』とか言って十二、三歳くらいの女の子が持ってきたんじゃ。
修理してと言われても、人形がどうやって動いておったのか分からんでな、珍しい形をしていたから買い取らせてもらったんじゃよ。」
これ、昔ロナウド王子のお茶会で配ったブリキのロボットだ。
見た目にも年季が入ってるし、十二歳頃に『動かすところがなくなった』って言ってたから、結構これで遊んでたんだね。
よし、私が新しく命を吹き掛けてあげようかな。
錬金魔法でネジ回しを付けて、元通りに動くようにした。
「こ、これは……
どうやって直したんじゃ?」
「それは秘密ですけど、これで元通りの動く人形になりましたよ。」
ビクター君が速攻で買っていった。
ちょっと遅めのお昼ご飯を食べに、ブリキッド商会が経営するスイーツショップに行った。
基本はテイクアウトなんだけど、店内で食事をすることも出来る。
ピーク時間は過ぎてたけど行列は出来ていて、最後尾に並んでたら店員に見つかりお店の中へ案内された。
イートインに限ってランチメニューがあり、私の開発した料理がずらっと書いてある。
「あたしは唐揚げとサイダーが良いです。」
「俺は小倉トーストとコーヒーで。」
「ボ、ボクは、そうめんと、ココアフロートが、食べたい……です……」
ビクター君すごい組み合わせだな。
私はここでもハンバーガーセット。
ポテチも頼んだよ。
「「「これ、フラン様が七歳までに開発したんですよね……」」」
ここでもビミョーな空気が流れた。
ウッディ君!今こそ君の出番だから!
最後はウッディ君の行きつけのお店。
ブロッサム商会。
なんでやねん。
女性ものばっかりなのに、なんでよく来るの。
「母親や妹に、ここの物を買ってあげたことがあるんです。
すごく素敵な笑顔になってくれるから、一緒に見に来たり、たまにですけどプレゼントしたり。」
な、なんて家族想いなんだ……
家族は喜ぶし、私の元にお金を落としてくれるし、めっちゃ良い子じゃん。
女の子のアンリさんと美術品好きなビクター君も、目をキラキラさせながら店内を見て回っている。
そして私は、従業員に見つかり仕事をしてくる。
結構充実した一日だったけど、立ち寄ったお店の半分は私が作っているだなんて。
自分に合う武器がなく、骨董品に興味のなかった私は、ただ仕事をするために友達と外出したのであった。





