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109 公爵令嬢はレクリエーションをする

 目が覚めると、見慣れない広くて高い天井があった。


 枕が変わろうが寝床が変わろうがどこでも寝られる私は、少しも疲れの溜まっていない身体を起こして、ググッと伸びをした。


 「おはようございます、フラン様」


 「おはよう、リッカ。

 朝の支度をお願い。」


 「かしこまりました。

 すでに用意は出来ております。」


 専属侍女のリッカロッカといつものやり取りをすませ、顔を洗って、服を着替えて、髪を整えてもらう。


 これが私、公爵令嬢 そして筆頭男爵フランドール・フィアンマの日常。


 そう、『新しい』私の日常。


 昨日の入学式は、早々に終わって割と自由行動が多かったけど、今日からは一日中何かしらがある。


 で、今日は一日かけてのオリエンテーション。


 まずは一年生と二年生の顔合わせ兼自己紹介、部活動ややサークル、生徒会の紹介、午後からは一年生歓迎パーティー。


 ここでもパーティーがあるのかとガックシきた。


 そりゃまあ、貴族の勉強でもあるエレメント魔法学校では、礼儀作法やマナー、社交界の練習なんかがあるから仕方ないにしても、なんか毎週お茶会やら夜会やらをするらしい。


 領主生活の時よりパーティー多いわ!


 だから大量のドレスを持ってこいと言うことなのか。


 私は面倒だから数着のドレスをリメイクして着回すけど。


 他の人達が馬車に大荷物持ってきてたのは、これのためなんだろうか?


 私は食材と調味料とリッカのチョコレートが荷物のほとんどだけどね。




 オリエンテーションは、カーネル生徒会長の挨拶で始まった。


 まずは二年生の自己紹介アピールから。


 年上だからという訳なのか知らないけど、一年生をちょっと見下したような態度の人が何人かいた。


 また、別の何人かはロナウド王子やセシル様に色目を使っている。


 乙女ゲーあるあるだなぁ。


 続いて一年生の自己紹介アピール。


 私たちの学年は、目立つ人が多い。


 ロナウド王子筆頭に、国営近衛騎士団長の第一子であるセシル様、国内トップクラスの光魔法使いで聖女のリリーちゃん、そして自分で言うのもあれだけど私。


 あ、でもパーティーに殆ど出席してなかった私はあんまり顔出ししてないし知られてないかも。


 他にも、有名どころの名家の人達が割と多くて、アピール後に色んな反応があった。


 でも、やっぱり三人のアピールの際のリアクションは桁違い。


 男子二人への目線は憧れや淡い恋心だけでなく、ヒーローを見る目で男性陣からも熱い視線を浴びていた。


 「サンダーレンジャーとサウンドレンジャーが居るぞ。」


 そこに反応するの?


 リリーちゃんはご想像通り、男性陣からは熱い眼差し、女子からは嫉妬の眼差しでギラギラ。


 最後に私のアピール。


 このアピールの順番は誕生日順なのだよね?


 それともランダム?


 決して背の順じゃないよね?


 成績低い順だった。


 通りで私の前にリリーちゃんとダンスィお二人だったんだね。


 「フィアンマ公爵家次子でフィアンマ男爵筆頭のフランドール・フィアンマと申します。」


 アピールなしで家柄と名前の紹介のみ。


 これだけ言えば多分分かってくれると思うし、分からなければ今後落ち着いた生活が出来るはず。


 シーーーーン……


 なぜみんな黙る?


 そして、この今のよく分からない沈黙で自己紹介アピールは終了した。


 続いての部活動紹介だけど、特に目ぼしいものはなかった。


 強いて言うなら魔法研究部かなと思ったけど、レベル低すぎて入る気しなかった。


 自分一人で研究とか実験してた方がよっぽど身になりそう。


 ロナウド王子とセシル様は剣技部に興味があるらしい。


 まぁ二人とも強いから、教える立場っぽくなりそうだけど。


 リリーちゃんは?


 「私はいつでもフラン様と一緒です。」


 つまり一緒に実験するのかな?




 オリエンテーションが終わって、昼食兼パーティーに。


 私たちは制服を着ているので、わざわざ着替えて来ないといけない。


 だからパーティーは得意じゃないんだよ。


 一旦部屋に戻って、お祖母様がくれたフリフリドレスのリメイクを着て、髪を軽くまとめてもらってる間に自分で化粧したら、あっという間にパーティー衣装。


 早着替えって言っても、他の人たちに比べて圧倒的に早いだけで時間はかかってるからね?


 ドレスの着付けだけで二時間とかぶっちゃけありえない。


 早く着替えられたからパーティーまでには時間があるし、ちょっと部屋で実験でもしてようかな。


 「ドレス姿で実験をする人なんて、この世のどこにいると思ってるんですか!?」


 ここにいるじゃない。


 「はっきり言わないと分からないようなので申し上げます。

 ダメです。」


 ……分かってた答えだけど、暇で仕方ないんだよう。


 もういいや、まだ誰も着替えてないようだし、図書館にでも行って本読んでようかな。




 さすが魔法学校だけあって、魔法に関する本が沢山ある。


 フィアンマ公爵家の書庫や国営図書館よりも、魔法に関する本に限っては種類が多いかも。


 パラパラと速読で本を読んでみた。


 やっぱり、魔法の事が詳しく書かれてある。


 魔法学校だからこそ、これだけの量の魔法書籍があるんだろう。


 興味津々に次から次へと本を読んでいると、


 「そのようにパラパラとめくるだけで内容を把握出来るのですか?」


 いきなり声をかけられてビックリした。


 い、いつの間に!


 「さっきからいましたよ。

 本に集中していたようなのでお声掛けしませんでしたが。」


 気付かなかった私も悪いけど、なんでこんな所に?


 「ご挨拶が遅れました。

 私、この学園の生徒会長を務めております、カーネル・ウォンツと申します。」


 「それは存じております。

 これからパーティーですのに、なぜこのような場所へいらっしゃるのですか?」


 「貴女こそ、なぜパーティー前なのに図書館へ?

 フランドール・フィアンマ嬢。」


 「私を知っていらっしゃるのですか?」


 「先程オリエンテーションをしたばかりではないですか。

 それに、貴女を知らない人はこの学園には先生含めて最初から一人もおりませんよ。」


 あれ、顔バレしてたの?


 「わ、私は着替えが早く終わって暇だったのでつい……」


 「つい、ですか。

 ククク、面白い方ですね。」


 面白いと笑われた、この人失礼な人だ。


 「カーネル会長こそ、どうしてこちらへ?」


 「そうですね、私も暇だったのでつい、ですかね。」


 はぁ?私も舐められたもんだわ!


 だからと言ってやり返したら大人気ない。


 「では、そろそろお時間なのでこれにて失礼致します。」


 今回はこの位で勘弁してやる。覚えてろ!

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