102 公爵令嬢は秋祭りで演劇をする
さて、遂に秋祭りの日がやってきてしまった。
この日のために、目一杯練習はしてきたけど、やっぱり緊張するし、何より恥ずかしい……
「大丈夫。
フランならやり遂げられるって。」
「そうですよ。
フランさんの晴れ舞台を特等席でみられるなんて、本当に感激ですよ。」
そりゃそうでしょうね。
なんだって、王子たち四人も出演するんだからね、間近どころじゃない距離だよね。
てか、ロナウド王子、セシル様、ポスカ君はともかく、リリーちゃんまで自分から舞台に上がりたいとか、なんか段々ヒロインキャラじゃなくなってきたね。
「フラン様とずっと一緒にいると約束したじゃないですか!」
一緒ってそういう意味じゃないでしょうが!
「でも、結局フランちゃん先生は演技やばすぎて、演出書き直しになっちゃったね。」
くっ、言うな!
だから私はステージに上がりたくなかったんだヨォ!
今回の私達の演目は、メインステージで参加せず、劇場で三日間、午前午後の二部公演。
メインステージだと、入場客の整理が上手くいかないだろうからとのこと。
その予想は的中し、劇場もお客さんで溢れかえり、入場できなかったお客さんには整理券を配って来場日時を変更してもらうようになった。
舞台裏で最終確認をした私達は、円陣を組む。
「今日から三日間、みんな頑張るぞ!」
「「「オォー!」」」
掛け声とに合わせて気合を入れているが、なぜ掛け声を団長でなくロナウド王子が?
【大変長らくお待たせいたしました。
これより、演目を開始いたします。】
ブザー代わりの鐘が鳴り、段幕が上げられた。
さぁ、ここから私達の戦いが始まる!
【ここはとある王国の森の中、王子様と家来は森の中を歩いていた。】
『ほんとうに ここにまものがでたのか?』
『はい、目撃者によると、この辺りで襲われて被害にあったと申しておりました。
個体数がかなり多く、その群れのトップの魔獣は他のものよりかなり強いと。』
この王子様役、開演前に募集をかけていた観客の少年。
立候補者はかなりの数いたそうな。
『くらえ!』
チャンバラ剣を適当に振り回して、魔物を退治していく王子様。
『えーっと……ひがくれるまえに はやくとうばつしておこう!』
途中で演者達にセリフを教えてもらいながら演技をする少年。
そこに現れた魔物の群れ。
王子様の攻撃も虚しく、家来を人質にとられた。
『くそ、どうしたらいいんだ!』
そこへ、
『『『『『俺達、私達に任せろ!』』』』
登場したのがロナウド王子、セシル様、ポスカ君、リリーちゃん、そして私。
『あ、あなたたちは?』
『俺たちが来たからにはもう大丈夫だ!』
そう言って魔物に攻撃を始める。
ロナウド王子は大剣(どでかいチャンバラ剣)、セシル様は双剣(チャンバラ剣二本)、ポスカ君は鞭(鞭部分がリボン)、リリーちゃんは弓(弓のみ。弦、矢なし)、そして私はボクシンググローブをはめている。
みんなが素晴らしいスタントで激しいアクションや殺陣をくりなす中、そんなものが出来るわけない私はみんなの影に隠れてシャドーボクシング。
途中、何もないところでガチでズッコケる。超恥ずかしい。
私がこけたのを切っ掛けに、私達は劣勢に追い込まれる。
『みんな、変身だ!』
そして五人の超早着替え。
最後にヘルメットを被り、
『雷の戦士、サンダーレンジャー!』
『音の戦士、サウンドレンジャー!』
『植物の戦士、プラントレンジャー!』
『光の戦士、ホーリーレンジャー!』
『鋼の戦士、アイアンレンジャー!』
『『『『『五人揃って、魔法戦隊マジカルレンジャー!!』』』』』
観客席に向かって決めポーズ。
観客席が湧き上がる!
サンダーレンジャーが雷撃を浴びせ、サウンドレンジャーの奏でる音色で混乱させ、プラントレンジャーの花吹雪光線で弱らせ、ホーリーレンジャーの光の矢で魔物にとどめを刺し、最後にアイアンレンジャーが魔物を檻に閉じ込める。
家来を助け、王子様のもとへ。
『ありがとう、マジカルレンジャー!』
『俺たちの事は秘密にしていてくれ。
困った時はまた助けに来るさ。』
【こうして、マジカルレンジャーと共に魔物を倒した王子様はお城へ戻り、英雄として後世に名を残し、世界は平和になりました。
めでたしめでたし。】
最後にカーテンコールで全員ステージへ。
観客席からは拍手喝采が鳴り止まない。
お辞儀をして、ステージから降りる。
舞台は大成功に終わった。
そして反省会。
「なんであんな何にもない所でこけるの?」
出演者全員にツッコミ入れられた。
残りの公演では気を付けます……





