製薬師
「まあともかく、パーティーを組んでまだ間がないし。これから徐々に決めていこう。確かにお金の問題は大切だけど、幸い今の俺はそれを気にしないでいいぐらいのものを持ってるから、本当に気にしないで。で、気にしないついでにこれを飲んでみて。」
そう言って、中級魔力ポーションを1本出した。
「えっ、これって、中級魔力ポーション。これを飲むって、金貨70枚の価値ですよ。そんなの無理。」
「うーん、実はこのポーションかなり持ってるんだよ。」
「かなり持っている?中級魔力ポーションを?もしかして、ケンタって調合師の上位職、製薬師?まさか生成師?いやいやあれはお伽噺だし。それにスキルがないし。」
「製薬師とか生成師なんって職業の人がいるんだ?」
「ってケンタ知らないの?絵本とかに出てくるじゃない。製薬師は数十年に一人ぐらい現れることもあるけど、生成師は伝説の職業だよ。料理、裁縫、調合、鍛冶の4つのスキルを持っているとかあり得ないでしょう。製薬師も調合師だけど魔法スキルなしで魔法が使えると言う才能があって初めて調合出来る薬があるから、製薬師って言われるけど。」
「初めて調合出来る薬?」
「そうだよ。ケンタがこの前ギルドで買った上級回復ポーションとか、後石化ポーションとか。尤も石化魔法をかけるのは竜山脈のバジリスクぐらいだから、余り実用性はないけど、大昔はS級冒険者の認定で竜の討伐が必要だったから竜山脈へ狩りに入る冒険者もいたみたいだよ。」
実は先日の上級回復ポーションすでに分解したんだよね。
しかしレシピに出て来なかった。
アイテムボックスに入っている物品数が多くて正確には把握できないんだけど、少なくともチェックした限りでは分解して新しい素材が増えてはいないんだよね。
と言うことは今持っている素材で作れる筈。
つまるとこと何かのスキルか道具が足りないんだなぁと思ってたんだよ。
「製薬師かー。製薬師って、魔法ってどう言うのを使えるんだろう?」
「それは光魔法でしょうやっぱり。正教会の司祭に使える人が多いけど、光魔法のスキルを持っている人は、それだけでどこででもやって行けるよ。治療院、教会、王宮騎士団。選び放題じゃない。回復魔法がつかえるし、中には中級回復ポーションほどの治癒を使える人もいるみたいだし。」
「ちなみに、光魔法を使える魔物とかいないよね。」
「いるよ、魔物だし。キプロスとかオーガとかがその代表。なので討伐がかなり困難なんだけどね。自分で回復魔法をかけてくるからね。回復魔法で追いつかないほどのダメージを与えるか、首や、脳、心臓などの急所を狙うしかないよね。」
「キプロスとオーガか。いつか倒してみたいね。」
「えっ、倒せるんじゃない明日にでも。地下7階にはオーガの出現が確認されてるし。討伐は厄介だけどランクBの魔物だし、今の私達なら問題ないと思うよ。」
「そうなんだ。迷宮にもいるんだね、オーガ。」
「ケンタにも苦手な魔物とかいるだ?ふふふ。」
「別に苦手とかじゃなくて、すぐに倒したいなぁーって思って。ってそれはいいけど、取り敢えず、このポーション飲んでみて。」
「覚えてたんだ。折角話を切り替えたと思ったのに。でも金貨70枚の価値のある物を簡単には飲めないよ。」
「これもチームの為なんだ。これを飲んで、しばらく鑑定のスキルを使ってみて欲しい。その時に、より詳しいことを知りたいって思いながら鑑定するようにして。俺の考えが正しいなら、シャルの鑑定スキルが強化されると思う。それによってパーティーの戦力があがるかもしれない。これはそのために必要な費用だと思って。」
「うん、わかった。ケンタがそこまでいうなら。なんか私自身の価値よりこのポーションの価値が高いんだよね。私ぐらいなら奴隷商に売られたら金貨30枚。スキルを持ってるから金貨40枚にはあるかな。そんなもんだよ。」
「奴隷って。もしシャルが奴隷に売られてたら俺がすぐに買うけどね。」
「もう今も買われてるようなもんだよ。じゃあ飲むね。って味はしないんだ。初級回復ポーションは少しだけ甘い感じがするけど。」
「どう?何か変わった感じある?」
「うーん別にこれと言って。あーでも鑑定の時に何か鋭くなったっているか、ケンタの状態が掴める感じ?」
「うん、じゃあそんな感じで、俺と自分を鑑定してみて。もしかしたら今夜だけで変化がないかもだから、その時には明日も飲んでみて」
多分大丈夫だと思う。
まあ俺の場合も数日かかったんだけど、それでも、「探索感知」が「空間感知」へ、そして「魔力感知」が「魔力操作」へ多分上位変換したんだよね、スキルが。
「探索感知」の場合には領域の生体反応を感知していて、ちょうど赤外線感知器みたいな感じで領域内の生体反応を感じ取れたんだけど、
「空間感知」になって、領域内の地形なども一緒に感知できるようになったんだよね。ちょうど3Dの超音波感知器みたいな感じ。
で、「魔力感知」は魔力の流れとか魔力の濃度を感知できたんだけど、
「魔力操作」は魔力感知だけじゃなくて魔力を動かすことができるようになった。
自分で濃淡を作れるって言うか、例えば俺を魔力的に不可視にすることができるようになった。
また魔石に魔力を充電?充魔力?できるようになった。魔道具の魔石を買う必要がなくなったって感じ。
「身体強化」、「剛力」、「跳躍」、「剣術」、「統率」については変化がない。
勿論「風魔法」、「土魔法」についてもこれからだ。
毎日つかってレベルアップを目指す予定。
「ケンタ、ちょっと疲れてきた。先にシャワー貰うね。」
「ずっとやり続けてたのか。疲れたって、鑑定すると疲れるのか?魔力切れとか?寝る前にもう一本渡しておくか。俺もこの間に、飲んでMP補給して頑張って風魔法と土魔法のレベル上げよう。」
シャルがシャワーから出てくるまで、ひたすら周囲の壁に向かって風魔法を撃ち続けた。イメージをしっかり持つと大きさや威力は変えられるけど、コントロールを付けようと思うとやっぱりイメージしやすい野球のボールの大きさで風球を飛ばすのがよさそうだ。
コントロールがついた後は形を刃に変えて飛ばしてみた。
岩壁に穴が開くくらいの威力がでるようになった。
「ケンタ、採掘でもしてるの?何か鉱物でも見つけた?」
「シャルがシャワーから出てきたようだ。」
「うん、いい鉱脈みたいだよ。前みたいに質は高くないけど、多分ミスリル鉱石じゃないかなぁ。」
「何か、ケンタと一緒にいると、どんどんお金が貯まっているね。」
「でしょう?といことで、もう一本。疲れたら先に寝てていいから、鑑定スキルの強化よろしく。」
「えっ?もう一本。これで金貨140枚。白金貨だよ。私の価値がー」
「まあシャルは白金貨では買えないぐらい価値が高いからね。」
「もう、ケンタったら、変なこと言わないで、ぷんぷん。」
そう言ってベッドに潜り込んだ。
髪の毛乾かさなくてもショートだから問題ないか。
その後、シャワーを浴びながら土魔法でフィギア作りをしてしまった。
これはちょっと嵌った。
うん趣味に出来そう。
いや、土魔法っていいね。
「ケンタ、シャワー長かったね。何かあった?」
「少しシャワーの部分改良してた。ほら水がね。」
まあ確かにそれもやったんだけどそれは一瞬で終わった、土魔法で岩盤の下まで穴を通して排水を確保した。
「そうなんだ。確かに水がたまっちゃうよね。」
「まあこの場所しばらく拠点で使えそうなら徐々に改良して行こうか。下にいい場所があればまた移せばいいし。」
「何かここが迷宮の中とか信じられないね。宿の部屋みたい。」
「まあベッドは一つしかないけどね。」
「一つでいいよ、荷物大変だし。」
「だね、こうしてると温かいしね。」
「そう言えば、何か鑑定が楽になった。いい感じだよ。鑑定スキルを強化するって何のことだろうって思ったけど、ケンタが言うのが少し解った気がした。」
「そお、じゃあ、もう少し頑張って貰おうかな。」
そう言って、中級魔力ポーションを口に含んで口移しでシャルに飲ませた。
「ぷはー。何?ポーション?」
「うん、こうしたら飲むしかないでしょう?」
「ええ、うん。飲むしかないね。これからもそうしてもらえたら飲むしかないかも。」
「じゃあ、仕方ないね。これからもこうして飲んで貰おう。」
「もう、仕方ないなぁ。ケンタだしね。もう、仕方ないから飲むよ。」
胸の所にスリスリしてくる。子猫みたいだ。いろいろおしゃべりしてたらまた眠くなった。今日もいい夢をみるだろう、きっと。




