第七話『魔素の役割』
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魔素 、聞きなれない単語だがこの魔素と言うのが 、今回俺達の世界を巻き込むことになった原因のようだ 。
魔素は異世界 、グローリアと言う名前らしい世界のごくごく当たり前に認知されている元素らしく 、地球で言うところの酸素や二酸化炭素と同じで生きていく上で重要な魔素は 、魔法文明なグローリアで当たり前のように使われてきた 。
魔素は気候や風土 、生き物の誕生 、成長だけでなく魔法を用いる時にも常に消費されてきた歴史があり 、大量消費さえしなければ自然に回復し 、深刻な魔素不足になることはない 。
そんな中グローリアに存在する沢山の国は大陸の覇権を争って次第に戦国時代に突入していった 。
魔素は無限にあると言われていたらしく 、魔素を自分の意思で自在に操れる者たちは戦力として重用され 、魔素消費の激しい強力な魔法が次々使用されたことにより戦争は激化した 。
数ある魔法の中でも攻撃力の強い魔法は魔素を大量に消費する 。
大陸全土が荒れ果てた戦争はある日を境に魔法が発動しなくなり戦況は膠着を余儀なくされた 。小さな魔法は使用できるが戦に使える戦力になるような魔法は一切発動しない 。
それでも多くの国は戦をやめず無理に魔法を使わせた為か 、魔法使い達が次々と自らの魔素を使い果たして死んでいった 。
大気は濁り 、日照りが続き水が枯れた 。
作物も育たず世界中が飢饉に見舞われたことで戦争どころではなくなったのだ 。
戦争が終結してからも大きな魔法が使えず 、異常気象や更には家畜が育たずや出生率が著しく低下した 。
魔素との親和性が高く 、生きる上で多くの魔素を必要とする種族ほど 、その余波をもろに受けて絶滅していったらしい 。
五十年が経過し 、これら全てが魔素不足による影響だと判明したらしい 。
人口が減り続けるなか打開策を模索して色々と魔素を増やす試みが実施された物の 、あまりにも薄くなった魔素では自然回復も見込めない 。
そんな中周囲を山に囲まれたタマ様の国が 、周囲と圧倒的に魔素の量が多いことが判明したようだ 。
国の王都近く 、現在の屋敷が立っている辺りに地下遺跡がありそこから濃度の高い魔素が漏れだしていたらしい 。
「先代の国王陛下が遺跡を保護する為に屋敷を立てて 、魔素を守る守護者して遺跡の保護と調査を続けた結果 、オキタ殿の世界と繋がる物だと判明したのじゃ 。 ここまでて質問は ?」
質問も何も何が分からないかすらわかりません !
「ありません」
「オキタ殿の世界は高濃度の魔素が充満している為に魔素に耐性のある者しか立ち入れず 、無事世界を渡っても身体に何らかの影響が出てしまうのじゃ 。 儂の身体が幼児化したのもその影響じゃの」
「なら 、こちらの姿が正しいタマ様のお姿ですか」
「そうじゃ 。 グローリアで魔素が不足しておるなら 、余っているところから融通して貰おうと考えた訳じゃ 。 そちらはそちらで魔素が高濃度になりすぎて異常気象や天変地異 、突然変異 、子供の弱体化が進んでおるようじゃしの」
魔力だの魔法だのは二次元要素は現代人にとって身近だが 、魔法なんてものは少なくとも俺の回りには存在していない 。
「古文書にはどうやら各地に遺跡があり 、交流もあったようじゃが 、こちらの魔法はオキタ殿の世界では迫害や畏怖 、崇拝の対象になって時間の中で風化してしまったようじゃからの」
「魔女狩りや異教徒の迫害でしょうか ? あと神様の奇跡とか……」
「ふむ 。 まぁ 、そんなとこじゃの 。 使いすぎても 、全く使用しなくても悪影響を与えるのが魔素と言うものじゃ」
適度な消費は必要だが 、何事も過ぎれば毒になる 。
「そこでオキタ殿の出番と言う訳じゃよ !」
「こちらとあちらの橋渡しをしろと言うわけですね ?」
「うむ 、その通りじゃ ! ただ色々と制限が多くての……」
なんだよ制限って 、異世界ってだけでも変人扱いされかねないのに 。
「制限ですか ?」
「うむ 、あまりにも双方の濃度が違いすぎてこちらの世界の物質は持ち込めない物が多いのじゃ 、鉱物はなぜか弾かれるし 、生物は多くが死滅してしまうからの 。 その代わり検証して解ったのだが一成殿の世界の物は比較的に持ち込めるし 、持ち帰れる」
それでもかなり制限はかかるようだが 。
「オキタ殿にはあちらで金銭を稼ぎ 、魔素を多く含んだらあちらの物をこちらへ輸入してもらいたいのじゃ 。 現物でも知識でも構わない ! こちらでの生活も補償するし ! こちらでできる協力は惜しまない !」
黙って説明を聞いていた国王陛下が頭をさげる 。
「ちなみに金貨は持ち出せるんでしょうか ?」
「無理じゃな 。 こちらの物を持ち出すのは諦めた方がよい」
こちらから金貨でも持ち出せれば話は簡単だったんだがなぁ 。今あちらでは金の価格が高騰しているから 。
「わかりました 、少し考えがあります 。 あちらの人間がこちらに来ることは可能ですか ?」
「あの高濃度の魔素にさらされている人間ならこちらでは少し空気が薄くなったような錯覚に陥るかもしれないが 、可能じゃろう 。 魔素が強い者は自然と身体から魔素が滲み出る 。 それだけでもこちらの魔素が増えるからの」
「わかりました 。 こちらに連れてきた際に犯罪などに巻き込まれないように護衛していただきたいのと 、教会などの施設を利用許可をお願いします 。」
「うむ 、できうる限り対処しよう 。 方法は任せる 。 この世界を救ってくれ」




