18話 深夜のヒメゴト♪
姫ゴト?!
『ふわぁ〜』『眠いなら寝てて良いぞ』『...えっ!?』
僕の言葉にセシルさんは驚くが...
『そうしようかしら』
どうやら睡魔に勝てなかったらしい。作戦行動中等もっと辛い時はあったと思うが
『失礼な事、考えてない?』
(なぜ伝わった?!)そう思っていると
『多分だけど...三歳と違い魂が繋がってるんじゃなくて、同じ魂に居るからより伝わりやすいんじゃない?』
まるでリアのように思考を読んだかのような回答をしてくる。すると更に
『生まれた時から一緒に居たんだもの...当然じゃない?」
!......そうか......意識は無いと思っていたが、僕は...
永い夢を観ていたのか...セシルさんの中で...
そんな事を考えていると、セシルさんの意識が無い事に気付く。
(色々あって気が張ってたからな)
自分の身体で慣れた相手に気を張るのと、三歳の身体で慣れない相手に直面するのでは大きな違いがあるだろう。
「......にぃ?耕にぃってば!?」「ん!?何?」「...良かった。気を失ってるのかと思った」
自分で思っているより深く(意識内に)潜っていたみたいだ。
「ごめん。セシルさんと話してたら寝たみたいで...疲れたんだろうなって」
「(意識内で)添い寝してたの?」「?!出来ないよ!?それ以前に触れないし(意識内で)見る事すらできないからね?!」「「「......ふ〜ん?」」」「なんで三人とも疑うかな?」
沙織の言葉に僕が答えると恵子さんが変なツッコミするから思わずシドロモドロになる。
そんな僕の回答に何故か皆不満そうにしてきた。
「ところで、スパって温水プールだと思って良いの?」
「さっきの説明だと分かりづらかったかな?」
「違うわね。多分(スパの説明中に)あの女が空気読まずに話しかけてきたんでしょ」
「お姉ちゃ〜ん?」
僕とセシルさんの話題から離れようとして言った言葉に恵子さんが聞き返してくれるも、沙織がまた蒸し返す。幸い純玲が一睨みしてくれたので、僕はスパの話題を続ける。
「水着で混浴?みたいな場所もあったりするのかな?」
「ありますよ♪と言うかソコが目的だけど...誰かさんは温水プールに行きそう」
僕の質問に恵子さんが答えるも沙織の性格を鋭く見抜く。
「い、行かないわよ?もっと耕にぃとお話したいモン!」
「そんな事言ってお兄ちゃんの手引っ張って遊びそう」「...あぁ」「耕にぃ!?」
沙織が否定するも純玲が恵子さんを支持し、思わず僕もそうなりそうだと頭を抱えてしまう。
皆の反応より僕のリアクションにショックを受けたのか、ツッコミは僕にだけしてくる沙織。
そんなやり取りをしていると目的地に到着して...
「24時間は...ゲームコーナーだけかぁ...」「待って!岩盤浴なら5時までやってるよ!」
気を落とす恵子さんに純玲が岩盤浴を見つけ
「良かった!サッパリ出来そう♪」「そうだね♪」
と喜ぶ二人...僕は何故か一歩引いてる沙織に声をかけると
「(掻いた)汗を(温泉で)流しに来たかったんでしょ?汗を(掻いて)流すのって...」
「まぁ...言いたい事は分かったけど...やりたい事は、違うだろう?なら...」
本末転倒みたいに言うが本質はそこじゃないと僕が言いかけた瞬間
「「時間ないわよ!行きましょ♪」「さ、沙織?!」
沙織が僕の手を取りズンズン進む。気付けば純玲も空いてる僕の腕にしがみつき...何故か
「アンタはダメでしょ?!人妻なのに」「人妻!」「妹だも〜ん♪」「...ぐっ!」
恵子さんが手のひらをワキワキさせて右往左往し、ソレを見た沙織が注意すると...
尚も食い下がり純玲を指差し文句を言うも、正論?を言われて沈黙する。
「施設のご利用ですか?」
案内っぽい人に話しかけられ何故か当然とばかりに一歩下がって繋いだ手を握ったまま僕の横に立ちニコニコする沙織。右に倣う純玲。キョトンとなる僕と案内員...
案内員が話しかけた一番年上に見えた女性が何故か一番若そうな男性の横に並び、目的を話さない事を不思議がってるのを見て最初に我に返ったのは恵子だった。
「ごめんなさい。岩盤浴五名で!」「五名?」「四名で...」「ぶっ!?」「お姉ちゃん!」
「ではこちらに...」
不思議がる案内員を余所に沙織が恵子さんをおちょくる。
「アンタ今あの女数に入れたでしょ」「うるさいな!」「お姉ちゃ〜ん?」
またもや純玲にこめかみをグリグリされ苦悶する沙織に僕はお願いする。
「セシルと仲良く出来ないまでも【あの女】呼びは止めれないかな?」
僕が彼女を庇ったからか、突然敬称呼びを止めたからか、沙織は驚いた後の表情を僕に見せたくないらしく顔を逸らした。
立ち止まった沙織から離れ僕と眼を合わせて頷き、純玲は恵子さんに着いて行く。
「後で話すよ」「...」
カウンターで説明を受ける恵子と寄り添う純玲の後ろで僕が囁くと、沙織は小さく頷いた。
「ん〜気持ち良い〜♪」「そうねぇ♪」
純玲が伸びをして言うと恵子さんが相槌を打ちながらうつ伏せになり、足をバタバタさせている。
「ちょっ......っと、(キョロキョロ)はしたなくない?」
僕が周りを見ながら注意(特に恵子さんに)すると
「ここには私たちしか居ないし、見えても耕助さんしか居ないじゃないですか♪」
「いや、僕にも見えちゃいけないよ」
とんでもない事言うなと思いつつ振り返ると(純玲が一瞬怪訝な顔をしていたが)恵子さんがまた
「...見ます?」
と言って岩盤浴衣の裾を持ち上げる。だが、純玲と違いやはり沙織と同じ年だと主張する足を見た僕の眼は正直だったようで
「沙織に向ける眼で見ないで!」「アハハッ!歳忘れて...酷いんだよ!耕にぃ!」
恵子さんが両手で太ももを抑え僕を睨み...沙織が全くドギマギしない僕を見て恵子を揶揄するも、自分に向けられた眼と同じだと気付き憤慨する。
「仕方ないのよ!子ども産んで仕事バリバリしてたら美容なんて...」
「私、産んでないのに恵子と変わらない」
「〜〜〜ふっふ〜〜ん〜〜〜♪」
落ち込む二人に魅せつけるように足を高々と上げる純玲...
「「お花摘みに行って来るぅ〜〜〜」」
生まれた時から妹として接してきたからか不思議と変な気にはならず
「純玲は綺麗だね」「ありがと♪お兄ちゃん♪」
純玲も僕には兄以上の感情は無いみたいだ。
「お兄ちゃん?」「何?」「二人が居ないウチに言うね」
なんだろう?と思って聞いてみる。
「恵子さんの息子...浩之って言うんだけど」
純玲が雫で指を濡らし漢字で床に文字を描く。それを見てまだ気付かない僕に純玲は指を差し
「之の字、すけ...とも読めるんだよ」
そう言われてから隣の浩の字を見て、沙織と口論した時の事を思い出す!
僕の驚く顔を見て、純玲は無言で頷いた。
では無く【秘め事】でした。当たり前ですね...
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