17話 裸の付き合い?!
「深夜だけど騒いじゃったし...汗、流したくない?」
突然恵子さんが言い出した事に意味が分からず戸惑っていると
「何言ってるのアンタ?」
「24時間やってるスパ...あるでしょ?」
沙織が突っ込むも恵子さんは行きたいみたいで
「あ〜私も行きたいかも?」
「でしょ!♪」
純玲の一言に恵子さんは悦んでしまった。
「まぁ...気を付けて行ってきてね」
私の言葉に二人が勢い良くコチラを向き
「「セシルさんも行くのよ!」」
「「はぁ〜!?」」
私と沙織は声を揃えて異を唱える。
「この女にみっくんの着替えをさせるの?」
「そこは耕助さんに「同じ人でしょ!」...ダメなの?」
更に続けた沙織の言い分に恵子さんが問題ないように言う。それを聞いて何故良いと思ったのか分からないとでも言いたげな沙織の物言いに、私は初めて違和感を覚える。
「純玲?」「何?」「私と耕助さん、別人だと思う?」
私は純玲に聞いたのだが
「同じに決まってんでしょ!」「全然別人じゃない?」
沙織と恵子さんの意見は割れた。そんな二人を見ながら純玲は
「二重人格って、こんな感じなのかな?って最初思ったけど」
そう言いながら言葉を続ける。
「...でも記憶を共有してるから違うような...みたいな感じで捉えてるかな?今は」
「ありがとう純玲、おかげで違和感の正体が分かったわ!」
純玲の言葉を聞いて私は確信した。そして確信を確証にすべく私は自分自身に語りかける。
「魂の中に居るんでしょ?返事して!」
(・・・・・・・・・・・・)
返事はないが気配は感じた。私は続けて
「三歳と私のやり取りは観てたんでしょ!私がアナタと入れ替わってた時、私は観てたわよ!」
『...やれやれ、バレたか』
私が気付いた事を知ってこの男はやっと白状した。続けて私が質問しようとしたら...
「「「一人芝居...?」」」『取り敢えず代わろうか?』「......お願いします」
さっきまでの意気込みはどこへやら......私は、めっちゃ恥ずかしくなった。
目の色だろうか...入れ替わった瞬間
「耕にぃ!?」「お兄ちゃん♪」「耕助さん♪」『なんで分かるのよ?』
四人の言葉に僕は苦笑いを浮かべた。
「先にみんな黙って聞いて欲しい」
僕は前置きとして目の前に居る三人に話しかけた。
「まず...僕が僕として完全に目覚めたのは、セシルさんが沙織と初めて出会った時だ」
『「そうなの?!」』「二人とも黙って」「「............」」
純玲が沙織の頭をコブシでグリグリし、恵子さんは僕(多分僕の中に居るセシルさん)を見て吹き出す。
「コ゚ホン!」僕は一息入れてから話を続ける。
「だからセシルさんがさっき気付いた通り、僕の記憶がアナタに残っているのでは無く...僕そのものが、リアの言葉を借りるなら魂の傷として残ってしまったみたいだね」
『「「「..................」」」』『なんと!そうじゃったのか?!』「............」
(一人うるさいのが混じった)『お主、初対面で『『取り敢えず空気呼んで黙ってろ!!』』おぅ?!』
僕とセシルに激しく突っ込まれ『(名前を)呼ばれたから来たというに』一人ゴチるリアを感じながら...
まぁ説明の手間が省けたと思えば良いか...と思い直して僕は言葉を続ける。
「だから、寝てしまった三歳君?に代わって僕が着替えるなら問題ないんじゃないかな?」
『ちょ〜〜〜い待った!』『うほっ♪』「「やったぁ〜♪」」「それなら大丈夫ね♪」
セシル以外は喜んだ。(リアは何故?)
「眼を閉じてれば見えないし、見てたら感覚で僕には分かるからね」
ワザと声に出して言う事で、三人にも状況を理解してもらう。
「アンタ...覗かないでよね」「「............」」「言われなくても見ないわよ!」
セシルさんの感情の高ぶりのせいで一瞬口の制御を奪われる。
「大人しくして、もらえます?」『...はい』
僕の威圧に小さくなるセシルさんを観ていると
「私が言い出しっぺだから、車は私が出すわね」
恵子さんがそう言い出し、沙織と純玲が同意して僕を見る。
「まぁ免許は持ってたけど、(事故を起こしたら)三歳君に迷惑だからね」
そう切り出して僕は恵子さんに運転を任せると
「今は男女平等だからそんなの気にしなくて良いわよ」
「お姉ちゃ〜ん♪人の車に乗せてもらうのに「ごめぇ〜ん!ゆるしてぇ〜」(ワキワキ)」
沙織がいつも通り純玲に折檻されそうになっている。
「外着に着替えて来るよ」
そう告げて思い思いの行動を取ってる三人から離れ...
「三歳君の部屋はどこかな?」
そう聞くと知っていたのは沙織だけだった。
部屋を教えてもらい早速着替えようとし...
『セシルさん』『知らないわよ』『了解...て、それだけじゃなくて!』『???』
僕はセシルさんに三歳の着替えの場所でなく、魂の傷が危険である事を伝えた。
『...魂の傷って、三歳が心を閉ざした時にソックリね』
『そんな事された...えっ!?出来るの?』『されたし(三歳は)出来るのよ!』
セシルさんに魂の傷の危険性を知ってもらい、対処法を伝えようとしたら...もっと酷い経験をしていた。
『まぁアレに比べたら魂の傷の方が数倍安全よ。今でも(眼を瞑ってるから)視覚情報以外はちゃんとあるし』
セシルさんの物言いに、僕は少し三歳君が怖くなった。
・・・ピーーーー・・・ガチャ!
スライドドアを閉めながら車で待っていた三人に謝る。
「ごめん。男のクセに一番着替えるの遅くて」
「気にしませんよ。どこに何があるか分からなかったでしょうし」
僕の言葉に恵子さんが優しく答えてくれた。
「ところでみんな、着替えはあるの?」
僕が素朴な疑問を口にすると
「何故かお姉ちゃんが新品の下着を数枚持ってたから大丈夫よ♪」
純玲が氷の微笑を浮かべながら答え沙織が
「お願いだから買い取って...お願い...」
と懇願していた。
こうして僕らは深夜のスパツアーに...
「ところで、スパって何?」
僕の素朴な疑問にずっこける三人。ハンドルを取られた恵子さんに沙織がツッコミを入れたが
「話の流れからして銭湯とか温泉みたいな感じかなとは思ったけど!...恵子さんゴメン」
「いえ...まぁ、流行りだしたの...耕助さん居なくなってからだったし...」
僕の言い訳じみた謝罪に恵子さんは、やや呆れ気味だったが気を使って答えてくれた。
それよりも、後で純玲からもっと驚く事を聞かされ...僕は、戸惑う以外何も出来なかった。
スパの正式名称は【ラテン語の「Sanitas Per Aquam」(水による健康)の頭文字をとった略称】と言うのが一番有力な候補らしいです。ずっと【スーパー銭湯】の略だと思ってましたw
日本で有名になりだしたのが1990代後半から2000年初頭らしく、当時は今程ネットが普及してなかったので耕助が知らないのは普通かな?と思います。
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