オープニング 14 魔力解放
『それじゃあ私はアナタの耳の中から飛び出すからジッとしっててね』
セシルが(ジッと)の部分に一際力を込めて言ってきた。
『痛くしないでね♪』
と冗談半分で言うともの凄い圧が...
『さっきの今で良くも...!』
セシルから小言が続く前に『すみませんでした!!』と先手を取って謝罪すると
『デリカシー以前に!...まあいいわ』
と言葉を濁してきた。多分人のこと言えないとか考えたのだろう。その思いを感じた俺も今気付いたが、魂が同じだからだろうか?人格はハッキリ別れているが互いに相手を自分と認識...いや違うな...感覚を共有したせいかほんの少しだが、感情に続き周りの環境?状態?みたいなものも感じられるようになったみたいだ。
そんな事を考えていると...
『出るわよ!』と言うセシルの声を聞いた直後...!!
「ウヒぃっ!」『ヒィやぅっ...!』
...二人共声が出た。
ウッカリ声が出てしまい怒られる...と思ったがセシルからは叱責より驚愕の感情が迸っていた。
『三歳!!あなた凄いわ!!!これなら魔導強襲戦艇ですら最大戦闘力状態で永久に戦えそうだわ!!』
と歓喜の声を上げた。
『そんな事されたらオーバーヒートどころか爆散するわ!!阿呆が!!!』
突然リアの声が頭に響いた。
『リア聞いて!!!三歳の魔力ほぼ無限よ!!!』
(そんな訳有るか!!)
と言いかけたが身体の大きさが違い過ぎる事を思い出し言うのを止めたが...なんだろう...地味にセシルとの魂の共鳴による回線を通じて何かが引っ張り出されてる感覚が...
『ふむ...確かにセシルの魔力が減らんのぅ...溢れもせんし...便利そうじゃ♪』
流石にリアの言葉には不穏な気配を感じ
『何をさせる気だ?!』
と声を荒げた。
『まぁそう身構えるでない。我とセシルは戦艇を取りに戻る故、お主は風呂場の壁に何でも良いから板状の物を取り付ける準備を頼む』
『この狭い部屋の中飛べるのか?』
俺の疑問にリアは少し考え...(多分俺の意識を読み取っているのだろう)
『アレは飛空艇じゃ。垂直離陸出来る上ゆっくり飛ぶ事も可能じゃ。』
『そうなの?!プロペラも無くてどうやって...?まさか魔法!?』
驚きながら逆も出来るのでは?と俺も魔法が使えるのかと期待してると
『格納されとるだけでプロペラはついとるぞ。因みにこの世界の魔素は硬すぎて、魔法はおろか魔術すら今のままでは使えそうにないの』
とリアは言い、さらなる疑問が湧いた俺が質問しようとすると
『魔力は魔導機関を使用する際エネルギーとして魔石や魔核に取り込まれるのじゃ』
と先に答えられた。
何となくもどかしさを感じているとセシルから同意的な感情が流れてきた。
『三歳、リアが言ってた物、無かったら吸盤付いてる石鹸台でいいわよ』
そう言われたがあの船、いや飛空艇が乗るなら風呂蓋に何か高さの合う台を用意した方が良いだろう。
そう思いながら準備を始めようとしたら...
『何と戦ってるの?!』
セシルの心の叫びが胸に響いた!
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