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急章:叶わぬ望み-10

先日、資料集である「欲望目録(編集中)」を更新しました!!

と、言っても最新話までのスキルを追加したスキル一覧の更新のみにはなりますが、

加えてより見やすいように更に細かい区分を行い、目当てのスキルが発見しやすくしました!

気になる方は是非、ご一読ください!

念の為に言っておきますがネタバレ注意です!

あしからず……。

 


 クートゥは自分とスターチスを取り囲む臨戦態勢の整った集団を鋭く睥睨(へいげい)しながらゆっくりと脱出穴から身体を這い出します。


 すると最初は威勢良くクートゥを剣呑な眼差しで睨んでいた集団が、彼女がその体躯の全てを露わにした途端に僅かにですが身を竦ませ、たじろぎました。


『お、おい……聞いてたよりずっと……』


『ああ……なんて威圧感だ……』


『か、勝てんのかよ、あんなんに……』


 と、クートゥの鋭敏な聴覚で捉えられる程度の声量で口々に弱音を吐き出した鎧の集団。しかし____


 ____ガコォォォンッッ……。


 直後、中央に立っている二人の内の片割れが、肩に担ぐ大剣を地面へと思い切り叩き付けて轟音を鳴らし、背後に控える鎧の集団に振り向きます。


『何を臆しているか軟弱者どもがぁぁっ!! 貴様等ぁぁ、一体何の為にそんな重装備でこの場に立っているんだ、えぇっ!?』


『『『は、はいすみませんッ!!』』』


 男によって怒号を飛ばされた鎧の集団は弱腰になっていた姿勢をピシャリと真っ直ぐに正すと、改めてクートゥに対して鋭い睨みを利かせます。


『フンっ……。これだから若い連中は……』


 鼻を鳴らして彼もクートゥへと向き直ると、その横に並び立つ中央に立つ二人のもう片割れが困ったような笑顔を浮かべながら彼に笑い掛けました。


『まあまあロドデンドロ。実戦経験が無い若者を中心に集めたんだから仕方が無いだろ? 怯える事もまた経験だ』


『スカビオサ、お前は相変わらず甘い! そんな事だからコイツらも甘えて____』


 何やら余裕綽々と雑談を始めたロドデンドロとスカビオサ。クートゥを前にし、追い詰めている状況で何故そこまで余裕でいられるのか……。その理由を、クートゥ自身は強く感じていました。


(この二人……隙が全く無い……)


 クートゥは勿論、スターチスを連れこの場から逃げようと何度となく隙を窺いました。


 しかし雑談を始めている今でさえその隙は無く、間近にスターチスが居る影響もあり彼等に攻撃を加える事もままなりません。


(コイツらの余裕……。まさか私から攻撃出来ないって察してる? ならコイツらは……)


 クートゥにすら見抜けない程の隙の無さ。そして化け物である筈の彼女の一挙手一投足を見逃さず正確に弱点を把握する観察能力……。


 それらは彼等が類稀なる強者である事を証明していました。


 勿論、クートゥからしてみれば取るに足らない相手には変わりません。隙があろうが無かろうが、彼女が全力で掛かれば数秒と保たない相手でしょう。


 しかしそれではクートゥの足元にしがみ付くスターチスを間違い無く巻き込んでしまいます。


 最強の肉体であるが故に、彼女は八方塞がりに陥ってしまっているのです。


(クソッ……。どうすれば……ん?)


 打開策を模索しようと鋭く二人を睨んだクートゥ。


 すると二人の内の片割れ____スカビオサと呼ばれた優男風の騎士を注視していると、頭の片隅に、何やら引っ掛かるのをクートゥは感じました。


(な、なん、だ……?)


 それは記憶。遠い遠い記憶……。


 彼のあの生温さを覚える顔に、彼女は見覚えがあったのです。


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