第百十三話 新天地はポテンシャル高そうな土地だった件
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準備を終えて、新たな領地候補のリーチウォールに向けて出発した。最初にヒイラギ領からワズリンまで流れているフェフェ川の船着き場を視察することにした。
川幅が200メートルほどあるフェフェ川の船着き場はワズリンから遡上した川舟が数隻係留され、ヒイラギ領で使用される鉱物資源などを荷下ろししていて、代わりに製造された武具を積み込んでいた。
街道ができる前はこの川舟便がヒイラギ領の主な交易路であったため、荷下ろし設備は程々に整備されている。
川舟は帆船だが、無風時にも対応できるよう魔石による補助の動力がついているようで、クルーザーほどの大きさをしていた。
一方、船着き場の方は荷下ろしメインで使われており、人が乗り込むための桟橋は避難民が殺到した際に対応できるほど整備されていなかった。
「ここは人が乗り込む桟橋を増やした方が良さそうだね」
視察に同行してくれているトルーデさんと聖哉に意見を求める。
「予備の避難路にそこまで予算を裂くのか? エスカイアから機構に働きかけているから、転移ゲートの設置許可もすぐに下りじゃろうて」
「安全に金を惜しむ気はありませんよ。そもそも、利益が上がり過ぎるから新たな領地をって話でしょ」
トルーデさんがハッとしたような顔をする。領地を増やすことになった大元の理由を失念していたようだ。
「そういえば、そんな話じゃったな。妾は貧乏国家しか運営してこなかったからな。翔魔が問題ないなら、大いに増やすべきじゃな。フェフェ川は色々な国に通じる交易路だからな」
「イシュリーナも柊主任の提案を喜んでましたよ。避難先の確保と新たな領地に移住する住民も募ると言っていました」
聖哉を通じて、イシュリーナに新領地への移住者の件も依頼していた。新領地の候補となったリーチウォールへの移住者確保は、ヒイラギ領より人口の多いギブソンが協力してくれるのは非常に助かる。
「助かる。人手はいくらでもいるからね。じゃあ、川を北上していこう」
オレはトルーデさんを抱えると、飛空魔術を行使して、川をリーチウォールに向けて北上することにした。
北上するにつれて、川幅は狭くなっていき、川の名もフェフェ川から、オレイユ川と名を変えた。
社員証のナビゲーション機能を利用してリーチウォールへ向かっているが、目の前に高い山々が見え始め、あれがリーチウォールと外部を遮断しているヴォーレン山脈であった。
「標高八〇〇〇メートル級の山々か。壮観な眺めだね」
「あれだけ高い山に囲まれておれば、陸の孤島と言われても仕方ないのう」
トルーデさんが目の前に広がった山々に感心したようにため息を吐く。一旦、上げていた高度を唯一の進入路である川の方に降り、水面スレスレでリーチウォールへ向かう。
しばらく飛ぶと、川の周囲は切り立って崖に変わり、更に川幅が狭くなっている。ヒイラギ領に来ていた川舟がギリギリ通れるくらいの幅は残っている。
あれ以上、大きな船は無理か。
オレは予備の避難路にもなるオレイユ川の幅があまり広くないと分かり、大型川舟の製造は中止することにした。小型の川舟の数を揃えるしかないと判断する。
「予想より川幅が狭かったですね」
「そうじゃの。だが、大型船が通れるほどの幅があると逆に害獣が遡上する可能性もあるからのぉ。避難先としてはちょうど良いことだと思うぞ」
トルーデさんも周囲の地形を見て、かなりの隔地であると改めて認識し、シェルターとしての機能を十全に果たしてくれると期待しているみたいだ。
しばらく飛ぶと、両サイドの崖が途切れ周囲の景色が一変していた。
「うぉおお! これは凄いですね。あの山脈に囲まれた奥にこんな広大な盆地があるだなんて……」
聖哉は目の前に広がった見渡す限りの平野を見て驚きの声を上げていた。ヴォーレン山脈の雪解け水が肥沃な土地を作り、その豊富な水がオレイユ川に流れ込んでいる。
想像以上の場所だな。これだけ広大なら数万人でも余裕で喰わせられる食料を産み出せそうだぞ。
手つかずの土地であるが、山からの滋養豊富な水が行き渡り、開墾すればすぐにでも肥沃な農地に変わる素地を持った土地であると思われる。
農業は専門外のオレでも目の前に広がる植物の生命力にあふれた土地の息吹を感じていた。
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