第百六話 仕事の後に仕事の話はいかんよね
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オリハルコン鉱山でのスキル取得は成功し、聖哉もかなりの数の害獣を討伐してLVアップしたことで俺たちは戦闘力を向上させることを成功した。帰り道、アレクセイの労力を少しでも減らそうと風属性の魔術で茂った木々を伐採して道を整備して帰還しておいた。
これにより、ミチアス帝国のオリハルコン鉱山の開発スピードは早まると思われる。
討伐を終えてヒイラギ領のオフィスに帰還した所で定時となったので、みんなで社員寮に帰ることにした。最近ではクラウディアの代わりにイシュリーナの家で半同棲している聖哉がエルクラストでの連絡係になっていた。クラウディアさんも婚約者になってからはお世話がしたいと言って帰還に付き添ってくれていた。
そうして、社員寮の俺の部屋にはエスカイアさん、涼香さん、クラウディアさん、トルーデさん、そしてトルーデさん専用メイドになり下がったヴィヨネットさんも集まって夕食の時間となっていた。
台所にはクラウディアさんとエスカイアさんが制服の上にエプロンを着けて料理の支度を行っている。そして、涼香さんは残っていた仕事を持ち帰り、書類とにらめっこしているが、定時を過ぎての仕事は禁止していた気がする。けれど、涼香さんはここからは『趣味』と言って取り合わないでいた。この発言によりヒイラギ領の重要施策は『涼香さんの趣味の時間』で想起されることになっていた。
一方、トルーデさんはヴィヨネットさんを相手に新作のメイド服製作の話を始めている。すでにSNSを開設したトルーデさんによってヴィヨネットさんはSNSにしか存在しないメイドレイヤーとして爆発的な人気を博してしまっているのが、最近になって発覚し、会社は騒然となったが、クロード社長の『そんなに人気なら関連会社のイメージキャラやってもらうか』の一言でお咎めなしとなった。そして、ヴィヨネットさんは今、(株)総合勇者派遣サービスのグループ会社のイメージキャラクターとして採用されてしまっている。
「新作メイド服はもう少しセクシーな方がいいかもしれんのぅ。膝上ニーソックスが太もものぷにっとした部分がスカートの裾からチラッと見えるのが萌えポイント高いそうじゃぞ」
「えーそれだと短くないですか? 私も企業のイメージ背負っているんでエッチなのはちょっと」
「いや、その企業様からのご依頼なのじゃがのー」
「えー、ほんとですか?」
絶対に嘘だ。仮に本当だとしても絶対に裏でトルーデさんがタイアップ企業に手を回して依頼をさせているに違いない。そうやって、ヴィヨネットさんを更に過激なメイド服へいざなっていくつもりなんだ。
俺はヴィヨネットさんに忠告しようとも思ったが、トルーデさんが要求するメイド服姿を見たいと囁く悪魔によって、忠告の言葉を心の奥へしまってしまう。
「謎のSNSメイドコスプレイヤーヴィヨネットはもはやメイド界隈を制覇しておるからのぅ。企業の方にも色々とコラボ依頼が来ておるそうじゃ」
「私は研究者なんですよ。そんなことをしている暇は……今のお仕事でも手一杯なのに……」
困ったような顔をしているヴィヨネットさんだが、顔の下半分は緩んでいるんで相当嬉しいようだ。確かに機構の解析部門からうちのチームに出向という形で仕事をしてもらっているが、すでにうちのチームではトルーデさん専用メイドとしての認識が進んでいる。制服もトルーデさん支給のメイド服に袖を通し、自宅に帰ってもトルーデさんの給仕を嬉々としてしているからそう思われても仕方ない。
すでに彼女はメイド沼に堕ちてしまっているのだ。ならば、より一層、ハマるように後押ししてやるのがチームリーダーとしてのせめてもの情けだと思う。
「メイドの仕事はうちのグループ会社のイメージアップになるからね。頑張ってもらっていいよ。クロード社長のオッケーももらってるしね」
「翔魔もそういっていることじゃし、今度の撮影はこれでいく」
「えー、でもエッチっぽいですよ」
ネットでヴィヨネットさんをフォローしている人達が彼女のことを異世界人だと知ったらどんな反応になるだろうか。きっと、『マジか! 異世界スゲー。俺もいきてえ』とかっていう反応多数で日本政府が泡を喰うことになるだろうけど。
それにしても、ヴィヨネットさんのメイド姿に違和感が働かない。
ソファーで横になってスマホを弄ってメイド服を物色しているトルーデさんにお茶を給仕しているヴィヨネットさんはメイドそのものだった。なにせ、エルクラストではメイド学校に通い色々勉強を重ね、日本ではメイド喫茶を荒らしまくっておもてなしの心を手に入れている強者であるからだ。
最近では白衣を着ていると違和感すら感じさせるまでになっていた。ヴィヨネットさん恐ろしい子。
「さぁ、ご飯できましたよ。今日はお鍋にしてみました。水炊きなんで鍋奉行はクラウディアさんにお任せしますね」
「あー、今テーブル片付けるから待ってて」
エスカイアさんが夕食が出来たことを告げると、テーブルの上に書類を散乱させていた涼香さんがすぐさま片付けて食事を食べる体制をつくる。仕事はハチャメチャに出来る人であるけど、家事は関係は壊滅的であった。なので、この生活を一番喜んで享受しているのは涼香さんなのかもしれない。
「俺も手伝うよ」
散らばっていた書類を整えて涼香さんに渡そうとした時に書類の中身がチラリと見えた。その内容は『退避シェルター建設計画』と書かれていた。これは先に出現したSSランク害獣に対する備えで機構が各領地に策定を急がせている計画書であった。気になったのでチラリと読んで見ると、ヒイラギ領の全住民が一年間地下の厳重に護られたシェルターで生活できるように考えられており、シェルターの規模が地下都市クラスのものを想定されていた。
いやーこれは凄い施設になっちゃい過ぎるんじゃないかな……。やり過ぎでしょ。
「あー、それ退避シェルターの計画書でしょ。ぶっちゃけ、やりすぎたかなって思ってる。一年は長すぎよね。日に当たれないことを想定しないといけないし、閉鎖空間に数千人が一年もいると発狂する人も出てくるだろうし」
「そ、そうだね。一年はちょっと長いかな。膨大なエネルギーを放出して現れるSSランク害獣が活動停止するまでは二週間だって予測報告も上がってたし」
「でも、エネルギー放出された地点の汚染は確認されてるわよ。この前、柊君が倒したあの場所も魔境化したとして機構が新たに地区に設定してたし。そうなると、浄化までに結構な期間がかかると思うのだけど」
涼香さんの言う、SSランク害獣が死滅した地が汚染されたという報告も機構から受け取っており、あの海域は立ち入り禁止の地区に設定されていた。そういった事態を想定すると二週間の計画ではいささか足らない気もしてきた。
「シェルター単体として考えるなら、二週間で足りそうだけどね。その後を考えると……近隣領主と相互救助覚書を行って助け合うしか……地下都市建設は金がかかりすぎるから」
「わたくしもそちらがいいと思いますよ。汚染期間はかなり長いので、最悪は街を放棄することも視野に入れないと。イシュリーナ様のギブソンとシュラー様のワドリンとは相互救助の協定覚書を交わして汚染されたら領民を保護してもらった方が現実的かと」
「一番はSSランク害獣があらわれないことなんですけどね。私はお役に立てないので心苦しいかぎりですが……」
エスカイアさんもクラウディアさんもシェルター計画を聞いて、地下都市建設には否定的だった。俺も待避所ならば同意できるが都市機能まで持たせるのはかなり無理があると思われる。
「みんなの言う通り、ちょっとこれは手直しが必要だね。まぁ、SSランク害獣が倒せない訳じゃないのはこの前ので判明したことだし、水際で撃退すれば何とかなると思う」
「そうね。私もやり過ぎかなと思ったところなの」
「もう、仕事の話は明日にしてくださいね。クラウディアさん、そろそろ水炊きは良いかしら」
「万全の状態だと思います。トルーデ陛下もヴィヨネットさんもこちらにいらしてください」
仕事の話にのめり込みそうだったのをエスカイアさんが阻止していた。すでに就業時間は過ぎているので、お仕事の話はまた明日オフィスですることにしよう。
こうして、俺達は一日の業務を終えて夕食を楽しみ明日の仕事への活力を再補充していく。
更新再開しました。お休み頂きありがとうございます。
休んだら、トルーデさんのメイド癖がヤバイレベルに進化してたw







