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宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第3章

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第099話 王都


 窓からの車窓を眺めながら待っていると、徐々に列車のスピードが落ちてきた。

 すると、窓から見える風景が暗くなった。


「着いたな」

「ですね」

「もうちょっと見たかったんですけどね」


 ウェンディは本当に風景を見るのが好きだな。


「またすぐに列車に乗ることになるからその時だな」

「王都観光だよ」


 エルシィがそう言って窓に張り付いているウェンディを抱える。


「それも良いですね。美味しいものも多いみたいですし、楽しみです」

「ねー」


 そのまま待っていると、列車が停まったので立ち上がる。

 そして、部屋を出て、出入り口まで行くと、フリオがいた。


「着いたな」

「ええ。ギルドまで案内しましょう。こちらです」


 俺達はフリオの案内で歩いていき、改札を出ると、近くにある階段を昇り、駅を出た。

 外はやはり王都なだけあって人が多く、賑わっている。

 それに店が多いし、露天商も多い。


「賑わってるな」

「王都ですからね。こちらです」


 駅から離れると、そのまま大通りを歩いていく。

 馬車なんかも頻繁に通っているし、所々騎士らしき、立派な甲冑を着た兵士の姿も見えた。

 そんな中を進んでいくと、剣が交差する看板が見えてくる。


「あそこか」

「ええ」


 俺達はそのまま進んでいき、冒険者ギルドに入る。

 ギルドはかなり広く、受付が10個もあるし、テーブルやソファーがいくつもあった。

 さらには吹き抜け構造の2階建てとなっており、上にはたくさんの本棚が見えている。

 時刻は14時を過ぎており、冒険者がいない時間帯なのに10人以上の冒険者の姿が見え、テーブルで話をしていたり、2階で本を読んでいた。


「さすがは王都のギルドだな。この規模は初めてだ」

「そうなんですか? 大きな町のギルドはどこもこれくらいの規模ですよ」


 フリオが意外そうな顔をする。


「俺達はついこの前、登録したばかりなんだよ。ターリーのエルディアとさっきのペインしか知らない」


 ペインもそんなに大きくなかったし、エルディアに至っては受付がクラーラ一人しかいなかった。


「なるほど。でしたら仕方がないですね。行きましょう」


 俺達はフリオを先頭に受付に向かったのだが、フリオは他の冒険者がいないこともあってか、真ん中のきりっとした美人の女性がいる受付を選んだ。


「いらっしゃいませ。ご依頼でしょうか?」


 受付嬢が丁寧な口調でフリオに聞く。


「依頼の完了報告です。こちらの2人にペインで荷物の配達の依頼をお願いし、無事に王都まで運んでいただけました」


 フリオはそう言って、冒険者カードを提出する。


「わかりました。すみませんが、御二人も冒険者カードを提出願います」


 受付嬢が俺達を見て、そう言ってきたのでエルシィと共に冒険者カードを提出した。


「フリオも冒険者カードを持っているんだな」


 受付嬢が冒険者カードの確認を始めたのでフリオに聞く。


「ええ。依頼をするにも身分証明でカードを作る必要があるんですよ。まあ、何かと便利ですし、持っていても損はありませんから」


 やっぱりそうなんだな。


「お待たせしました。確かにペインからこの王都までの荷物運搬の仕事を確認しました。依頼完了ということでチーム新婚さんに依頼料9万ゼルを支払います」

「ちょっと待て」


 さすがに止めた。


「どうしました?」

「チーム新婚さんって何だ?」

「そういうパーティー名で登録されておりますが……」


 おい、クラーラ……


「チームアルケミストに変えてくれ」

「かしこまりました」


 受付嬢は冷静な顔で頷く。


「チーム新婚さんの方が良いなー……」

「エルシィさん、将来出すお店の名前はエルシィさんが決めた方が良いですよ」


 センスがなくて悪かったな。


「それではまず、こちらが依頼料の9万ゼルになります」


 受付嬢がカウンターに9枚のお札を置いたので手に取って財布に入れた。


「どうも。それとちょっと相談に乗ってもらいたいんだが、いいか?」

「何でしょう?」

「おすすめの宿屋はないか?」

「宿屋ですか……新婚さんですよね?」


 そりゃな。

 チーム新婚さんだよ。


「そうだな」

「でしたら花月亭がおすすめです。私が知る限りでは値段と質のバランスが一番良いです」


 ふむふむ。


「知ってる?」


 フリオに聞いてみる。


「ええ。泊まったことはないですが、評判の宿屋ですね。西の方にあります」


 評判が良いなら良いかもな。


「わかった。ちょっと行ってみる。それと仕事の相談だ」


 そう言って、推薦状をカウンターに置いた。


「これは?」


 受付嬢が裏表を確認し、聞いてくる。


「ペインのギルドでもらった推薦状だ。暇だから書いてくれた」

「少々、お待ちを……」


 受付嬢は封を解き、中にある手紙を読みだす。


「フリオはこれからどうするんだ?」


 受付嬢を待っている間に聞く。


「私はこれで家に帰りますよ。木箱を出していただけますか?」

「家か……そこまで運んでやるよ。代わりに花月亭とやらに案内してくれよ」


 西って言われてもここがどこか知らんし。


「わかりました。花月亭は家から離れていませんのでご案内しましょう」

「助かるわ」

「いえいえ、こちらこそ助かります。鍛えているとはいえ、木箱3つを持っていくのは大変ですからね」


 俺には無理だな。


お読み頂き、ありがとうございます。

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