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宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第3章

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第090話 海


「ふーむ……」


 俺はテーブルにつき、金貨を1枚1枚鑑定していた。

 金貨は直径で5センチ近くあり、1枚でもずっしりとした重みが手のひらに伝わってくる。


「どうですか?」

「本物の金だ。質的にもかなり良い」


 金はこの世界でも高値で取引される。

 理由は前世の世界と同じく貴重だから。

 100年以上前はこれが貨幣だったが、数が少なくなり、偽物や粗悪品が混じり出したので大陸で統一した紙幣を作ったという経緯があるのだ。


「高く売れそうですかね?」

「間違いなくな。アラムは全部で5000万ゼルと評価したが、もう少し高くなると思う。それだけ質が良い」


 まあ、俺達の取り分は半分だから2500万ゼルだが。


「それは良かったです。問題はどこで売るかですね」


 そうなるな。


「ニーナがイパニーアは良い鉱物が採れるって言ってたよな?」

「言ってましたね。ちょっとイパニーアに着いたら相談してみますか。冒険者ギルドに聞けばいいと思います」


 他国を回るなら冒険者ギルドを活用しろとギルドのクラーラが言ってたしな。


「そうしよう」

「レスターさん、今、どれくらいのお金を持っているんですか?」


 窓に張り付いて、イルカとクジラを探しているウェンディが聞いてくる。


「これまでの儲けで1000万ゼル近くはある。それにプラスでこの金貨だ」


 少なく見積もっても3500万ゼルはあるな。

 正直、いくら錬金術師でも短期間でこれだけ稼げない。

 もちろん、運のおかげもある。

 特にほぼ拾いものの金貨。


「店を持つにはどれくらい必要なんですか? 目標を決めておいた方が良いと思います」

「場所と店の規模によるな……とはいえ、その通りだ。エルシィ、ちょっとその辺を相談しようか」


 漠然と金儲けは良くない気がする。

 資金が3000万ゼルを超えたし、そろそろ目標を立てて、それに向かうべきだ。


「王都なんかの大きな町は避けた方が良いですよね?」

「そうだな。イラドの刺客のこともあるが、俺の性格を考えた時にそういう町は避けたいと思う」


 人見知りだから……ではなく、俺はどうしても上を目指してしまう性格なのだ。

 それでは意味がない。

 それに大きな町は土地代が高すぎる。


「では、そういった都会を避けるという意味でポードのミックの町で想定しましょう」


 イレナの町な。

 閑静な雰囲気で良い町だった。

 土地代も高くなかったし、指標にするにはちょうどいいかもしれない。


「そうするか。店を開くには土地代、建物代、売るための商品か?」

「そんなところでしょうね。今は大雑把でいいと思います」


 詳しくは目途が立った時に商業ギルドにでも聞けばいいか。

 それこそ、またポードやターリーに行って、イレナやニーナに聞いても良い。

 ニーナは友人だし、イレナは命の恩人だから相談くらいには乗ってくれるだろう。


「店の規模はそこまで大きくなくていいとして……あ、でも、住居スペースもいるのか」


 当たり前だが、住むところも確保しないといけない。


「私、庭で家庭菜園をしたいなー」


 ふーん……薬草でも育てるのかな?


「規模から考えて……最低でも7000万ゼル、普通なら1億ゼル、良い暮らしをしたいなら1億2000万ゼルってところだな」

「ポードで見た不動産屋的にそんな感じでしょうね。1億2000万ゼルかー」


 良い暮らしが良いらしい。

 まあ、そりゃそうだ。


「じゃあ、それを目標に頑張ってみよう」


 もちろん、他に土地代が安く、良い町だったらそれでも良い。

 あくまでも目安だ。


「はい。私が思いますにその国々で需要があるものがあります。ポードではポーション、ターリーでは船……というか木材でした」


 ポードのポーションはちょっと特殊なケースだったが、基本的にポーションを輸入に頼っているから需要は高いのは合っている。


「イパニーアは何だろうな? 鉱物か?」

「さすがに鉱物の採取はできませんね。鉱山なんか行ったことないです」


 俺もない。

 というか、危険そうだ。


「この辺もギルドだな」

「ええ。やはり冒険者になっておいた方が良かったですね」

「冒険はしないけど、そうだな」


 魔物退治は怖いし。


「冒険ならしたじゃないですか。ほら、無人島で海賊さんを倒し、財宝を手に入れました」


 ウェンディがこちらを振り向いて、楽しそうに笑った。


「確かにそれだけ聞くと、冒険っぽいな」

「そうですね……あまり冒険感がないのは何故でしょう?」


 多分、ターリーではほぼ遊んでいて、無人島でも船の部材を作っていただけだからだろう。


「うーん……まあいいか。とにかく、金儲けな。錬金術師の需要がないってことはないだろうからゆっくりやろう」

「そうですね。最悪はポーションを作りまくって――」

「エルシィさん! エルシィさん! イルカですよ! イルカ!」


 窓に張り付いているウェンディが大声を出し、手招きをする。


「え!? ホント!?」


 エルシィは慌てて立ち上がると、窓の方に向かった。


「あれです、あれ!」

「おー! なんか跳んでる!」


 イルカか…………俺も見たいな。


 立ち上がると、窓の方に向かう。


「どこだ?」

「あそこです、あそこ」


 エルシィが指差した先には複数のイルカがおり、弧を描くように跳ね、潜り、また現れていた。

 息を合わせるように複数の個体が並び、波のリズムに乗って滑るように進んでいく姿は昔、テレビとかで見たイルカそのものだった。


「すごいな……」


 どうでもいいけど、この世界にもイルカっているんだな。


「すごいですよねー。本当にいるんだ」

「いますよ。クジラはあれの10倍は大きいんですよ」

「嘘だー。それは絶対に嘘。化け物じゃん」

「本当なのに……クジラ出ないかなー……」


 楽しそうで何より。


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何かが出るフラグが立った気がする
単純に大きい生き物ってそれだけで怖いよね
お父さん、奥さん、娘さんって感じになっているな
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