第041話 大儲け?
「では、契約ということでよろしいかな?」
「Cランクが80個、Bランクが60個、Aランクが10個あるわ」
イレナが正直に在庫を答える。
「結構です。すべて先程の額で買い取りましょう」
「わかったわ。それとキュアポーションの話は?」
「ええ。その話があります。イレナさんと話をすればいいですか?」
「いえ、それに関しては契約していないからこちらの旦那さんに直接話してちょうだい」
そういやキュアポーションをいくらで買い取るかの話はしてないな。
「では……お話にあった通り、キュアポーションを作っていただきたいのです」
イレナと話していたダリウスがこちらを見る。
「キュアポーションなら薬屋に売っていたと思うが……」
5万ゼルで売っていた。
「もう売ってませんよ。すでに王都でキュアポーションを売っている店は1つもありません。そして、1日経つごとに価値が高まっている」
「すまん。ちょっと聞きたいんだが、なんでそんなに高騰するんだ? 医者に頼めばいいだろ」
もうイレナが関わっていないなら敬語はいいや。
ここからは俺とダリウスの交渉だ。
「需要元が貴族なんですよ。貴族は色々とあるのでキュアポーションは必ず確保しておかないといけないものです。しかし、この現状です。現在、上級貴族が下級貴族から金の糸目を付けずに買い取っているという状況らしいのです」
毒を治せるのがキュアポーションだもんな……
「大変だな」
「そう思いますね。ただ、それはウチもでして、後ろ盾の貴族から何としてでもキュアポーションを確保してくれって頼まれています」
それはクムーラ商会もだろうな。
そして、あっちは密輸という手段を取ったんだ。
「キュアポーションを作るのは可能だ。しかし、エトナ草がいる。用意できるか?」
「もちろんです。ウチはこの国の最大手と自負しておりますので。在庫も隣の倉庫にあります」
材料はある……
「いくらだ?」
「10万ゼル出しましょう。もちろん、1個当たりです」
高っ……
「ちょっと30秒ほど待ってくれ……」
「どうぞ」
うーん、キュアポーションごときが10万ゼルはとんでもないことだ。
今回の俺達の儲けは200万ゼル……これにキュアポーション代を加えると、飛空艇代は余裕で返ってくるし、待望のアトリエ資金になる。
そう考えると、多少、出発の日にちを伸ばしてもキュアポーションを作りまくって一気に儲けるべきだ。
しかし、すでに貴族が関わっている状況を考えると……
ちらっと横にいるエルシィを見る。
すると、エルシィが手を握ってきた。
柔らかくて温かいエルシィの手が俺の欲を消していく。
「新婚旅行ですよ? 仕事をする気ですか?」
エルシィは本気でそう言っているわけではない。
この言葉はリスクを減らすべきという意味だ。
「ダリウス、すまんが、やはり明日には旅を再開する。だからこれから作ったキュアポーションを明日の朝に納品する形で良いだろうか?」
「もちろんです。せっかくの旅行なんですからね。しかし、こちらも安くない金額を用意することになります。大まかでいいので納品予定の数を教えてください」
1個10万だもんな。
「エルシィ、何個くらい作れる?」
エルシィに確認する。
「キュアポーションなら2、30個は作れると思います」
エルシィは本当に成長したな。
「俺もそのくらいだ……ダリウス、40個から60個ってところだ」
「そんなにですか?」
キュアポーションはポーションとは言わんが、ハイポーションくらいの難易度だ。
「たいしたことじゃない。ただ、それだけのエトナ草を用意できればだ」
「それは用意しますが……わかりました。では、それでお願いします」
200万ゼルに400から600万ゼルを追加か。
一気に金持ちになりそうだな。
「わかった。話は以上か?」
「ええ。それではエトナ草をお持ちしますので少々、お待ちください」
ダリウスはそう言って席を立つと、退室していった。
「イレナ、ポーションの方の納品も明日でいいか?」
「そうね。まとめてやった方が良いだろうし、クムーラ商会の方に断る旨を伝えないといけないしね」
じゃあ、明日の朝だな。
そして、昼の便で王都を離れよう。
そのまま待っていると、布袋を持ったダリウスが戻ってきた。
「これがエトナ草になります。確認してください」
ソファーに腰かけたダリウスが布袋を渡してきたのでエルシィと一緒に中身を見る。
布袋の中にはエトナ草が大量に入っていた。
「ちゃんと処理されてますし、鮮度も良さそうですね」
「そうだな。これならCランクは余裕で確保できる」
キュアポーションはCランク以上じゃないと即効性が落ちるのだ。
逆にCランク以上は効能効果にそこまでの差はない。
「確かに受け取った。それでは明日の朝にイレナの方と契約するポーションと共に持ってくる」
「お願いします」
ダリウスが頭を下げたので俺達も下げ返す。
「じゃあ、帰りましょうか」
「そうだな」
俺達は立ち上がると、部屋を出る。
そして、ダリウスに見送られながら店を出た。
「さて、宿屋にチェックインして、キュアポーションの作製に入るか」
「そうですね。イレナさんはクムーラ商会だったよね?」
エルシィがイレナに確認する。
「ええ。だから先に宿屋に行ってちょうだい。それでどこに泊まる? 泊まりたいところとかあるんだったらそこでいいけど」
「前に泊まったところが良かったな」
暖炉が温かったし、それでキュアポーションを作るのも良いだろう。
「ここですね」
エルシィが旅行雑誌を取り出し、イレナに見せる。
「あー、【赤い炉の宿屋】ね。私も泊まったことがあるわ。じゃあ、そこでいいや。悪いけど、私の部屋も確保しておいて。料金は後で払うし、追加のワインもいくらでも頼んでいいわよ。予想以上に儲かりそうだし」
イレナはウハウハだろうな。
「わかった。じゃあ、俺達は部屋でキュアポーションを作っているから」
「お願いね」
イレナとこの場で別れると、繁華街の方にある宿屋に向かった。
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