第102話 食べるの?
エルシィがお茶を淹れてくれたので3人で飲みながら一息つく。
「なんかとんとん拍子でガイドさんが付きましたね」
エルシィが苦笑いを浮かべた。
「ホントにな。まあ、この王都はかなり広いから助かると言えば助かるんだが……」
「先輩の日頃の行いが良いからですね」
そうかー?
俺よりお前じゃないか?
「御二人は徳を積まれているんですよ。それよりも今日の夕食はどうします? 外食ですか?」
ウェンディは外食が良いらしい。
両手を上げてアピールしてるし。
「外食にするか?」
エルシィに確認する。
「そうですね。せっかくですし、そうしましょうか」
エルシィも空気を読んだようだ。
「じゃあ、外食な。それまではゆっくりしよう」
俺達はお茶を飲みながら話していき、夕方まで時間を潰していく。
そして、いい時間となったので部屋を出て、受付に向かう。
「あのー、ちょっと聞きにくいんですけど、いいですかー?」
エルシィがさっきの女性店員に聞く。
「おすすめの食べ物屋?」
わかるらしい。
まあ、わかるか。
「はーい。すみませーん」
「観光客でしょ? 私でもそうしますよ。海鮮系とお肉系だとどっちが良いですか?」
両方が特産って言ってたな。
「お肉系にします?」
エルシィが聞いてくる。
「良いんじゃないか?」
「さんせー」
エルシィの腕の中にいるウェンディも賛成のようで手を上げている。
「すみませーん。お肉系でぇー」
「腹話術……? あ、お肉系ね。えーっと、宿屋を出て、左に行った先に飲食店が集まっている区域に行けるんだけど、そこにある【ヨルノカケラ】という青い屋根のお店がおすすめですよ。料理も美味しいですが、ワインも美味しいです。この時間ならまだ空いていると思います」
ウェンディを見て首を傾げた店員だったが、すぐに我を取り戻し、おすすめの店を教えてくれた。
「ありがとうございまーす。じゃあ、行ってきます」
「楽しんできてー」
俺達は店員に見送られ、宿屋を出ると、言われたとおりに左に歩いていく。
時刻はすでに18時を回っているため、昼間よりも多くの人が歩いており、町人を始め、冒険者や商人らしき姿も多く見えた。
「人が多いな」
「王都ですからね。でも、ちらほらと兵士というか騎士様の姿も見えます」
エルシィが言うように道の隅で立っている騎士や巡回をしている騎士がいる。
何故、騎士とわかるというと帯剣しており、白銀の鎧を着ているからだ。
「治安が良いのも頷けるな。ちょっとでも問題を起こしたらすぐにでもしょっ引かれそうだ」
「いるかはわかりませんが、イラドの密偵も大変でしょうね」
だろうな。
俺達にとっては安心要素だ。
そのまま歩いていくと、徐々に人が増え始め、飲食店が立ち並ぶ区画にやってきた。
「賑わってますねー」
「ホントにな」
繁華街って感じがする。
ただし、若い女性同士や夫婦もおり、健全な飲食街って感じだ。
「えーっと、青い屋根、青い屋根……」
「あれじゃないですかね? ヨルノカケラって書いてあります」
ウェンディが指差した先には青い屋根の店があり、遠目に看板が見えているのだが、何て書いてあるのかわからなかった。
「えーっと?」
俺達は歩いていき、青い屋根の店に近づいていく。
すると、見えなかった看板が読めるようになり、そこには【ヨルノカケラ】と書いてあった。
「あ、ホントだ」
「ウェンディちゃん、よく見えたね」
俺もエルシィも視力が良い方だ。
でも、まったく見えなかった。
「天使ですので。私のエンジェルアイに見えないものはありません」
人形なのにな。
「エンジェルアイはよくわからないが、入ってみよう」
「そうしましょー」
「お肉、お肉」
俺達は扉を開け、中に入る。
店は吹き抜け構造の2階建てであり、1階にはカウンターと丸テーブルが並んでいた。
1階ではすでに数人の客が飲食を楽しんでおり、ウェイトレスが酒や食事を運んでいる。
俺達が酒場を見渡していると、一人のウェイトレスが俺達のもとにやってきた。
「いらっしゃいませー。御二人ですか?」
「はい。一応、使い魔もいますけど……」
エルシィがウェンディを見せる。
「使い魔? でしたら3名様ですね。2階のテーブル席にどうぞ。こちらです」
俺達はウェイトレスに案内され、近くの階段を昇った。
2階はテーブルが4つあったが、他の客は誰もおらず、奥のテーブルにつく。
「先にお飲み物をお聞きします」
ウェイトレスがそう言うのでメニューを見る。
「俺、ワイン」
「私もー」
「私も……では、こちらのボトルが良いですね」
ウェンディがそう言うと、ウェイトレスが一瞬固まった。
しかし、すぐに元の笑顔に戻る。
「ワインのボトルですね。料理はどうしましょう?」
メモに注文を書いたウェイトレスが聞いてくる。
「うーん……どうする?」
エルシィとウェンディに聞く。
「色々ありますね」
「ここはおすすめです。おすすめにハズレはありません」
そうかねー?
まあ、わからんし、それでいいか。
「おすすめってあるか?」
ウェイトレスに聞いてみる。
「おすすめでしたらこちらのステーキセットですね。ステーキにサラダやライスが付いてきます」
一人当たり8000ゼル……高いけど、フリオの荷物運搬の仕事でちょっと贅沢をしようと言ってたからこれでいいか。
「じゃあ、それを3つ」
「かしこまりました。少々お待ちください…………3つ?」
ウェイトレスは首を傾げながらも1階に降りていった。
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