08 饗宴
めぐるたちはその後もつつがなく、今日という日を楽しむことができた。
『ヴァルプルギスの夜★DS3』を除くバンドはそうまでめぐるの趣味に合致する音楽性ではなかったものの、目を見張るような完成度であったのだ。少なくとも、めぐるが退屈するようないとまはどこにもなかった。
まず三番手の『黒蝶歌劇団』は、外見通りのおどろおどろしいステージである。黒い礼服に白塗りのメイクという姿をした彼らは、ヘヴィロックの申し子とでもいうべき迫力を爆発させていた。
オーソドックスな四人編成で、ヴォーカルとベースのみ女性であったが、その迫力に男女差はない。それに、ただ激しいばかりでなく、わりあいポップなメロディや哀切な雰囲気などもブレンドされている。それがステージ衣装とのギャップで、思わぬ魅力をかもし出しているように感じられた。
きっと技術的には、『V8チェンソー』を上回っているぐらいであるのだろう。しかしもちろんベースだけはフユのほうがテクニカルであるように思えたし、めぐるにとってはミサキや柴川蓮や轟木篤子のほうが心をひかれる存在であった。
気持ちとしては、『サマー・スピン・フェスティバル』で高名なバンドのステージを観戦したときと似ている。めぐるは爆音にひたりながら、音楽の勉強をしているような心地であった。
そして四番手の『ビビッド・スーサイド』は、さらなるインパクトである。リハーサルの段階で判明していたが、こちらのバンドは『天体嗜好症』に匹敵するぐらい得体が知れなかった。
とはいえ、『天体嗜好症』のように変拍子やリズムチェンジを多用するわけではない。彼女たちが際立っているのは、音に関してであった。
まずこのバンドは五人編成であるのに、ギターが存在しない。ヴォーカル、ベース、キーボード、ドラムに、ターンテーブルという編成であったのだ。
めぐるはこのターンテーブルという機材について、まったく理解が及んでいない。めぐるの浅薄な知識では、ヒップホップなどの打ち込みの音楽で活用される機材であるというぐらいの印象であった。
しかし『ビビッド・スーサイド』のステージにおいて、ターンテーブルは音の中核を担っていた。通常のバンドにおけるギターに負けないぐらい、重要な存在であったのである。
時には軽妙なスクラッチ音でキーボードとともに上物の役割を果たし、時にはリズミカルな重低音でドラムとベースに絡みつく。その変幻自在な音の移り変わりには、めぐるも感服するばかりであった。
ステージ衣装はそれほど派手派手しくなかったが、ヴォーカルだけは際立って目立っている。宝塚の男性役を思わせる凛々しさで、ちょっと悪魔的な王子様のようでもあったのだ。そして彼女は男性のような低音とボーイソプラノのような高音を使い分けて、演奏陣にも負けない存在感を放っていた。
『ルーナ&ソリス』や『黒蝶歌劇団』に比べれば、こちらのほうがめぐるの好みに合っている。
ただそれでも、『ヴァルプルギスの夜★DS3』や『天体嗜好症』のステージほど、心を揺さぶられることはなかった。演奏力や完成度で言えば『ヴァルプルギスの夜★DS3』に匹敵するのであろうから、あとは感性の問題であろうと思われた。
しかしまあ何にせよ、めぐるがこの日にかけていた期待が裏切られることはなかった。
いずれのバンドも、『ヴァルプルギスの夜★DS3』のイベントに相応しい魅力を持っている。あらためて、自分たちが参加させてもらえたのが恐れ多いぐらいであった。
そうして有意義なライブ観戦の合間には、楽しい歓談に励むこともできた。
めぐるはもっぱら聞き役であったものの、これだけ慕わしい顔ぶれが集まっていれば心を満たされてならない。また、格闘技関係者の面々とも、多少ながら言葉を交わす機会が生じた。
「あいつら、全然こっちに出てこないねー! いくら人混みが嫌いっつっても、愛想なさすぎじゃない?」
「実は片方のお人が、すやすや眠っておられるんですよ。怪我の影響とかもあるんでしょうかね」
「あいつは、そんなタマじゃないって! ったく、人様のライブで居眠りなんて、礼儀がなってないなー!」
と、おもに騒ぎたてるのは灰原と呼ばれていた美人の女性であり、応対するのは和緒か町田アンナである。こちらの灰原という女性も世界に誇るトップファイターであるとのことであったが、子供のようにけたたましい人物であった。
ただ、和緒の陰から見守っている限り、めぐるは安穏とした心地である。その一団はバンドのメンバーのように仲がよくて、とても好ましい雰囲気であったのだ。
「プロファイターなら、自由業に分類されるんだろうしね。そういう意味では、バンドマンに相通ずるものがあるのかもよ」
とは、和緒の評である。
めぐるは、心から納得したものであった。
そうして楽しい時間はあっという間に過ぎ去って、ついに『ヴァルプルギスの夜★DS3』の出番である。
まためぐると和緒と栗原理乃の三人で関係者用の通路を辿ると、猪狩瓜子が眠るユーリの丸っこい肩を揺さぶっていた。
「ほら、鞠山選手の出番っすよ。これだけはしっかり観ておかないと、あとでとっちめられちゃいますよ」
「うにゃあ……膝十字固めはカンベンなのですぅ……」
よくわからないうわ言をこぼしながら、ユーリはようよう目覚めたようである。
そうして彼女はしなやかな両腕をのばして「ふわーあ」と大あくびしてから、めぐるたちの姿を見回してきた。
「おりょりょ……? お客様かしらん……?」
「なに言ってんすか。お客さんは、こっちっすよ。ここをどこだと思ってるんすか?」
「うみゅ……どうやらユーリたちの愛の巣ではないようなのでぃす……」
黒縁眼鏡を外したユーリは、丸めた拳で目もとをもみほぐす。そんな仕草も、幼子のようであった。
「あっ、あなたはいつぞやのかわゆいこちゃんではありませぬか……こんなところで、どうしたにょ?」
と、ユーリに眠たげな目と言葉を届けられて、めぐるは思わず立ちすくんでしまう。
猪狩瓜子は愛おしそうに苦笑しながら、フライトキャップに包まれたユーリの頭を優しく小突いた。
「どうしたもこうしたも、あれからまだ二時間も経ってないっすよ。……あの、本当にすみません。どうぞ、おかまいなく」
「あ、い、いえ……それじゃあ、失礼します」
泡を食っためぐるは二人の前を通りすぎて、客席ホールへのドアに駆けつける。それを追いかけてきた和緒が、先刻の猪狩瓜子さながらにめぐるの頭を小突いてきた。
「幸か不幸か、おたがい対人能力に難があって、ちっとも交流が深まらないようだね。ま、あんな大物と仲良くなっても、苦労がつのるだけだろうけどさ」
「う、うん。わたしはCDでユーリさんの歌を聴ければ、それで十分だよ」
そうしてめぐるたちが客席ホールに乗り込むと、そちらはこれまでで最大の混雑っぷりであった。
おそらくは、来場者のほとんどすべてが押しかけているのだろう。ステージからもっとも遠いバーカウンターのほうまで人垣ができていたため、めぐるたちはドアの前から動くこともできなかった。
「時間は、あたしがチェックしておくからね。九時四十分になったら、撤収だよ」
「うん、わかった」
主催者である『ヴァルプルギスの夜★DS3』には四十五分間の演奏時間が設定されており、定時で進行していても最後の五分間は観戦できない計算であった。
めぐるは背丈が足りていないため、最後尾からではほとんどステージの様子もうかがえない。あとは鞠山花子たちが織り成す爆音で心を満たすしかなかった。
しばらくして客席ホールの照明が落とされると、歓声が鳴り響く。
そんな中、荘厳なるオーケストラのSEが流され始めた。
『サマー・スピン・フェスティバル』にSEの演出はなかったので、この時間にひたるのは二月以来の八ヶ月ぶりだ。あの鮮烈な一夜からもうそんなに時間が過ぎているなどとは、信じ難いほどであった。
赤い幕の向こう側には、すでにスポットの光が躍っている。
そして、いきなりの爆音がオーケストラの演奏を打ち砕いた。
赤い幕が開かれて、赤いスポットがあふれかえる。
獣の断末魔めいたギターサウンドと、重々しくも硬質的なベースの重低音、派手だが乱雑さのないドラムの音色が響きわたり――そこに、ドイツ語によるカウントの声が重ねられた。
そうして開始されたのは、どっしりとしたミドルテンポの楽曲である。
テンポはゆったりしているが、ギターとベースの音色は凶悪に渦を巻いている。これは、めぐるが知らない楽曲であった。
しかし、『ヴァルプルギスの夜★DS3』の魅力に変わるところはない。
めぐるの身長ではフロント陣の顔と透明のステッキしか目にすることができなかったが、存分に心臓を揺さぶられることになった。
鞠山花子が濁った声音でシャウトをほとばしらせると、いっそうの戦慄がめぐるの背筋を走り抜ける。
そして鞠山花子は、短く叩きつけるようなメロディを世界に解き放った。
声質はざらざらとして濁っているが、キーは甲高い。鼓膜を錆びた釘で引っかかれるような心地だ。あらためて、鞠山花子の特異な歌声は凄まじいインパクトであった。
『ヴァルプルギスの夜★DS3』にしてはダンシブルな曲調で、メロディにもラップのテイストが漂っている。
しかし、『ヴァルプルギスの夜★DS3』の悪魔的なイメージを損なうことはない。演奏の開始とともに、客席ホールには黒ミサやサバトを思わせるあやしげな雰囲気が充満していた。
その暗く激しくけばけばしい世界観に、めぐるの心は一気に引き込まれている。
やはり鞠山花子の支配力というのは、如何なるバンドとも毛色の異なる鮮烈さと威圧感を有していた。
(やっぱりわたしは……『ヴァルプルギスの夜★DS3』が、好きだなぁ)
めぐるは『ヴァルプルギスの夜★DS3』のステージを目にするのもようやく三回目であるが、回数を重ねるたびにそんな思いを深めることになった。
初めての観戦ではどのように評価するべきか心が定まらず、二度目の観戦でようやく好ましいと断言することができるようになり――そして今回は、さらに深く魅了された。ステージの全容を目にできないのが、惜しいぐらいであった。
そうしてめぐるが荒々しい爆音にひたっていると、背後からやってきた一団がめぐるたちを押しのけるようにして人垣に加わっていく。おそらく身支度を済ませた『ビビッド・スーサイド』の面々が客席に繰り出したのだろう。
その後もめぐるは、ひたすらけばけばしい爆音の中に没入する。
めぐるはそれなりに疲弊していたので、魂を引きずり出されてしまいそうな心地である。
そうしてめぐるが夢とうつつの境を見失いそうになった頃合いで、和緒が肩を小突いてきた。
振り返ると、和緒は親指で背後を指し示している。
いつの間にか、帰宅する時間になってしまったのだ。めぐるはなんだか、『ヴァルプルギスの夜★DS3』の奏でる爆音に四十分間という時間を粉砕されたような気分であった。
和緒の先導で、めぐると栗原理乃はドアのほうに足を踏み出す。
すると、ドアの前にはユーリと猪狩瓜子が立ちはだかっていた。
和緒が頭を下げると、猪狩瓜子がドアを開いてくれる。
そうしてめぐるたちが通路に出ると、猪狩瓜子とユーリも追いかけてきた。
「どうも、お疲れ様です。もしかして、もうお帰りですか?」
「はい。青少年健全育成条例を遵守する方針なもので」
「そうなんすね。十時までは居残れるのかと思ってました」
「ええ。電車で一時間がかりなもんで、そろそろ出ないと間に合わないんです」
「それじゃあ、引き留められないっすね。ほら、ユーリさん。みなさん、お帰りのようですよ。ご挨拶しなくていいんすか?」
ユーリは「うにゃあ」とうめいてから、おずおずとめぐるたちを見回してきた。
「あにょう、さきほどは寝ぼけた姿をお見せしてしまって、キョーシュクのイタリなのですぅ。気分を害されてしまったのでしたら、おわびを申し上げるのですぅ」
「いえいえ、とんでもない。世界の大スターの寝ぼけた姿なんて、そうそうお目にかかれるものではありませんからね」
和緒のクールな返答に、ユーリは「うみゃあ」といっそう縮こまってしまう。
すると和緒は頭をひとかきしてから、「すみません」と謝罪した。
「こんな気安く言葉を返すのは恐れ多い限りなんですけど、脊髄反射を止められませんでした。きっとユーリさんが、親しみやすいお人だからでしょうね」
「あはは。親しみやすいなんて言われたのは、初めてじゃないですか? よかったですね、ユーリさん」
と、むしろ猪狩瓜子のほうが嬉しそうに笑う。
そしてユーリはもじもじしながら、まためぐるのことを見つめてきた。
「そりでは、どうぞお気をつけて……これからも頑張ってくださいねぇ」
「は、はい。ありがとうございます。そちらも、頑張ってください」
「はぁい。ありがとうございますぅ」
ユーリはもともと眠そうに細められている目を、にこりと細めた。
その淡い鳶色の瞳には、ひたすら無邪気な輝きがたたえられている。めぐるは何か、子犬や子猫と語らっているような気分であった。
「自分もみなさんと、もっとおしゃべりしてみたかったです。また何か機会があったら、どうぞよろしくお願いします」
「はい。それじゃあ、失礼します」
和緒は真面目くさった面持ちで一礼して、通路を歩き始めた。
めぐるもぺこぺこと頭を下げながら、それを追いかける。そして、背後を振り返ると――やっぱりユーリがひらひらと手を振って、めぐるを温かい気持ちにしてくれた。
そうして楽屋に到着すると、すでに町田アンナと工藤里見が待ちかまえている。電子ピアノと段ボール箱はカートに設置されており、めぐるたちの機材も足もとに並べられていた。
「おお、素早いね。田口さんとの別れを、しっかり惜しんできたのかな?」
「うん! またお泊り会しよーねって約束しておいたよー! そのときは、みんなもよろしくねー!」
町田アンナはにこにこと笑いながら、栗原理乃に向きなおった。
「けっきょくリィ様の変身を解除するスキがなかったね! ソッコーでやっつけちゃう?」
「いえ。家に着いてからで、いっこうにかまいません」
栗原理乃は壁に掛けられていた上着を羽織り、ボストンバッグを肩に抱える。めぐると和緒もそれに続いて、それぞれの機材を抱えあげた。
「ユーリさんもお目覚めになって、ライブ観戦してたよ。あんたは、挨拶とかはいいの?」
「いーよいーよ! なーんかユーリは、めぐるに夢中みたいだし!」
町田アンナはにぱっと笑ってから、空いている左腕を振り上げた。
「じゃ、名残惜しいけど、しゅっぱつだー! 表で、ちゅんちゅんコンビも待ってるはずだからねー!」
下級生の彼女たちも、もちろん条例に従って帰宅するのである。彼女たちとともにライブハウスから一緒に電車で帰宅するというのは、これが初めての体験であった。
荷物を抱えた一行は、列を成して関係者用の出口を目指す。
その道中で、町田アンナが声を張り上げた。
「あらためて! 今日は楽しかったね! すっげーバタバタしてたけど、すっげー充実してたよー!」
「普段のメンバーに、格闘技関係者が追加されてたからね。ま、今後はそうそう顔をあわせる機会もないだろうけどさ」
「そりゃーまー、出くわすとしたら花さんちゃんがらみのイベントだけっしょ! ウチはちょっと、遠慮が出ちゃうしなー!」
「遠慮? あんたが? 遠慮?」
「なんだよー! ウチは格闘技をやめちゃった身だから、ちょっと引け目を感じちゃうんだよー! ギターに専念しようと思って、試合とかも全然みなくなっちゃったしさ!」
そんな風に言ってから、町田アンナは工藤里見に笑いかけた。
「もちろん道場の人たちには、引け目なんて感じてないけどさ! ウチがどれだけの覚悟で稽古をやめたかは、みんな知ってるはずだからねー!」
「うん。それでアンナちゃんがどれだけ音楽を頑張ってるかも、みんな知ってるしね」
工藤里見もまた、温かい笑顔で応じる。
「ユーリさんや鞠山さんみたいに二刀流で結果を出せる人なんて、そうそういないだろうしさ。特にユーリさんってのは、規格外だよね」
「ありゃーもー、バケモンの類いっしょ! 見習えるのは、半分だけだねー!」
「半分? 音楽面だけってこと?」
「ううん! その逆! ユーリって、音楽に関しては才能イッパツで大成功したみたいなんだよ! 選手活動の合間にちょろっと練習するだけですっげーステージをこなせるような、才能のカタマリなんだってー!」
そう言って、町田アンナはいっそう元気に笑った。
「その代わり、格闘技のほうは死ぬほど稽古してるみたい! 周りの選手のインタビューとかでも、ありゃービョーキだって言われちゃうぐらいにね! ……そーゆー部分が、めぐると響き合ったんじゃないかなー?」
「ええ? わ、わたしはそんな、大したものでは……」
「いやいや! めぐるだって、すっげーから! 普通は一日十時間練習なんて、できないもん!」
「ええ。私もかねがね、遠藤さんを見習わなければと自分を律しています」
栗原理乃がいきなり便乗して、めぐるをいっそう慌てさせた。
しかしめぐるが適切な言葉をひねりだすより早く、和緒が「なるほどね」と頭を小突いてくる。
「でも、あちらさんが執念を燃やしてるのは、格闘技のほうなのか。それでプレーリードッグに呼応するっていうのは、何やら錯綜してるねぇ」
「そーお? 何にせよ、努力する姿勢は一緒じゃん!」
「でも、音楽関連の練習は二の次だってんでしょ? プレーリードッグさん、ご感想は?」
「え? か、感想って言われても……練習しなくてもあんなに凄い歌が歌えるなら、それでいいんじゃない?」
「なんだ、歯ぎしりして悔しがったら、面白かったのに」
と、和緒は悪戯小僧のような目つきになる。
めぐるは満たされた心地で、笑顔を返すことになった。
余人の練習量など、めぐるにとって重要でないのだ。重要であるのは、どれだけ素晴らしい結果を出しているかであり――その一点において、ユーリは群を抜いているのだった。
しかしその反面、ユーリが格闘技に関しては練習の虫だと聞いて、何だか嬉しい心地である。
何もかもを軽々とこなしてしまうような人間は、やっぱり共感するのが難しいものであるし――それでは得られる喜びも半減してしまうのではないかと思えてならなかった。
(まあ、ユーリさんがどんな人生を歩んでいたって、わたしには関係ないけど……)
しかしおそらく、めぐるはこの短い時間でまたユーリに魅了されてしまったのだ。
ユーリと猪狩瓜子の睦まじい姿を見ているだけで、めぐるの胸はぽかぽかと温かくなる。めぐるのほうこそ、ユーリたちのすこやかな行く末を祈りたい心境であった。
ともあれ――めぐるにとってはすべてのライブが忘れられない思い出であるが、今日という日はとりわけ深く心に刻みつけられることだろう。
そんな思いを胸に、めぐるは大切なメンバーたちと帰路を辿ることになったのだった。
2025.10/31
今回の更新はここまでです。更新再開まで少々お待ちください。




