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ライク・ア・ローリング・ガール  作者: EDA
-Disc 7-

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306/327

05 セッティング

 正午きっかりに仕事を終えためぐるは、ひとり部室棟に向かった。

 そちらでは、軽音学部の全部員が待ちかまえている。その中から、部長の森藤が「お疲れ様」とねぎらってくれた。


「さっきはみんなで遠藤さんのクラスのお好み焼きを食べに行ったんだってね。時間が合えば、わたしもご一緒したかったよ」


「あ、いえ。そんな、大したアレではないので……」


「うん、とにかくお疲れ様。ステージに向けて、しっかりカロリーを補給してね」


 森藤はにこやかな面持ちであったが、やっぱり午後のステージに向けてじんわりと闘志を燃やしている様子である。これは、昨年には感じられなかった気配であった。


(三年生にとっては、これが最後の文化祭なんだもんね)


 森藤と小伊田は校外でメインのバンドを組んでおり、軽音学部はあくまで部活動として取り組んでいるのだという。だからこその意気込みというものが生じるのかもしれなかった。


 いっぽう小伊田はのんびりとした笑顔で、嶋村亨との歓談に勤しんでいる。夏休み以降は部室で顔をあわせる機会が激減していたので、旧交を温めているといった風情であった。


「今日は、いよいよ本番だね。一年生バンドもしっかり成長できたから、胸を張って演奏に取り組んでください」


 食事のさなかに森藤がそう言うと、野中すずみが真っ先に「はい!」と反応した。


「先輩たちのご指導を無駄にしないように、頑張ります!」


「うん。それでも一番頑張ってきたのは、本人たちだからね。まずは自分たちが楽しめるように頑張ってください」


 二週間前の騒ぎについては、もちろん森藤たちにも周知されている。それで森藤は自分の指導の至らなさを詫びると同時に、めぐるたちの先輩らしい振る舞いにとても喜んでくれたのだった。


(……わたしなんて、場を引っかき回しただけなんだけどな)


 めぐるがそんな思いを胸に和緒のほうを振り返ると、すぐさま頭を小突かれてしまった。

 和緒は登校中にコンビニで購入した総菜パンを食している。しかし一時間ほど前に食したお好み焼きが響いているのか、残りのおにぎりには手をつけようとしなかった。

 いっぽうめぐるは、ミニ親子丼とサラダだ。真っ当な食生活を心がけるようになって以降、昼食や夜食では何らかの野菜を摂取しないと落ち着かない性分になってしまった。


 そうして昼食を終えたならば、練習タイムである。

 しかしやっぱり、ここは新一年生バンドと『さくら事変』に先を譲ることになった。一年以上にわたって定期的に練習し続けている『KAMERIA』よりも、やはり彼らのほうが入念に準備を整える必要があったのだった。


(きっと先輩たちは、去年もこうやって練習してたんだろうな)


 昨年の文化祭では出番のぎりぎりまでクラスの当番であったため、めぐるは昼食の後すぐ教室に戻っていたのだ。ようやく軽音学部の部員としての自覚が育ち始めためぐるは、至極やすらかな心地でみんなの練習を見守ることができた。


 そして最後には、『KAMERIA』も少しだけ合奏させてもらい――気づけば、出番の刻限が目前に迫っていた。

 森藤と小伊田は少し前に部室を出ていたので、残るメンバーで戸締りをして、体育館に向かう。北中莉子を除く全員が、それなりの大荷物だ。北中莉子が所有しているのは、消耗品のスティックのみであった。


 体育館に足を踏み入れると、それなりに人が集まっている。やはり本年も、この場所を休憩所の代わりにしている人間が多いようだ。お年寄りや子供など、実に雑多な顔ぶれであった。


「やー! みんな、おつかれー!」


 と、楽屋代わりである用具室に向かう道中で、そんな声を投げかけられた。

 誰かと思えば、『ケモナーズ』のヴォーカルを担当している少女である。その左右には、ベースの少年とキーボードの少女も控えていた。


「おー、わざわざありがとー! こっちは観にいけなかったのに、ごめんねー!」


「いいのいいの! こっちは、好きで観にきてるんだから!」


『ケモナーズ』のヴォーカルは、いつでも元気いっぱいである。町田アンナもメッセージアプリでは、しょっちゅう連絡を取っているようであった。

 ちなみに『ケモナーズ』は本年も軽音学部のコンクールに出場して、またもや準優勝であったらしい。すでに高校三年生である彼女たちは、これが最後のコンクールであった。


「じっくり拝見させてもらうから、みんな頑張ってねー! 野中さんたちも、期待してるよー!」


「はい! 頑張ります!」


 そんな一幕を経て、めぐるたちは用具室に踏み入った。

 しかしそちらは、無人である。森藤と小伊田は機材だけを搬入して、どこかに出向いたようであった。


「それじゃあ、ちょっと失礼します!」


 と、ギグバッグを壁に立てかけた野中すずみは、パーティションの裏に引っ込んでいく。

 その間に、嶋村亨と北中莉子はそれぞれ制服とジャージのトップスを脱ぎ捨てた。その下に着込んでいたのは、おそろいの赤いTシャツである。


 ただし、完全におそろいなわけではない。それは無地のTシャツにバンド名をペイントした、自作のバンドTシャツであったのだ。

 新一年生バンドのバンド名は、『Chun Chun Island』である。

 町田アンナが命名した『ちゅんちゅんコンビ』というあだ名に、嶋村亨の『嶋』の字が英語で加えられたのだ。その名を初めて聞いた際にはずいぶん珍妙なバンド名だと思ったものであるが、英文字にすると割合さまになっていた。


 ペイントを担当したのは野中すずみであるそうで、可愛らしさと荒々しさが同居する筆致である。そして肩のあたりにちょこんと描かれたスズメのイラストは、ひたすら可愛らしかった。


「おー、いいねいいね! じゃ、ウチも準備しておこっかなー!」


 と、町田アンナもジャージを脱ぎ捨てる。

 その下に着込んでいたのは、黒地の『KAMERIA』のTシャツだ。協議の末、町田アンナはあくまでサポートメンバーとして振る舞うことになったのである。学校側に提出したバンド名も、『Chun Chun Island feat.A』という名義になっていた。


 やがて野中すずみがパーティションの裏から戻ってくると、『Chun Chun Island feat.A』のメンバーが勢ぞろいした。

 全員Tシャツ姿だが、町田アンナは制服のプリーツスカートとハーフ丈のジャージの重ね着、野中すずみはプリーツスカート、北中莉子はジャージのボトム、嶋村亨は制服のスラックスと、メンバーそれぞれだ。それでも三名がおそろいの赤いTシャツであるため、普段よりは一体感が感じられた。


「出番まで、あと十分ぐらいだね。邪魔にならないように、あたしたちは失礼しようか」


「うん、そうだね。……それじゃあみなさん、頑張ってください」


 めぐるが最後に声をかけると、北中莉子を除く三名が元気に、あるいはのんびりと返事をしてくれた。

 めぐると和緒と栗原理乃は、連れ立って用具室を出る。

 すると、見覚えのある面々が壁際で語らっていた。


「あ、『KAMERIA』のみんなだー! おーい、こっちだよー!」


 町田エレンの呼び声に従って、そちらの面々と合流する。それは町田家のご家族および『V8チェンソー』の混成軍であった。


「いやぁ、完全にお客の立場で『KAMERIA』のステージを拝見するのは、ずいぶんひさびさだなぁ。この後は、あたしらも腕がうずいちゃいそうだねぇ」


 浅川亜季はふにゃんとした笑顔で、そんな風に言っていた。

 そういえば、七月終わりの『KAMERIA』の周年イベント以降、『V8チェンソー』はずっと同じイベントに出演していたのだ。それより前は、『天体嗜好症』の周年イベントまでさかのぼるのだった。


「最初のバンドには、アンナも出るんだよな? いやあ、どんなバンドなのか、楽しみだ!」


 と、町田家の父親は無邪気に笑っている。町田アンナにはしょっちゅう蹴り飛ばされているが、家族愛にあふれかえった一家なのである。きっと最初のステージでも、町田アンナはご家族を満足させられるはずであった。


(今日まで、みんな頑張ってきたんだもんね)


 新一年生のバンドが活動を始めたのは、五月の終わりのこととなる。それからおよそ五ヶ月で、彼らは初のステージを迎えることになったのだ。

 なおかつ、野中すずみと北中莉子が楽器の練習を始めたのは、およそ七ヶ月前ということになる。めぐるはリッケンバッカーのベースを購入してからおよそ四ヶ月、和緒などは初めてドラムに触れてから三ヶ月で初のステージに臨むことになったわけであるが――今にして思えば、あれはずいぶんな強行軍だったのだろう。野中すずみたちが限られた時間の中で懸命に練習を積んでいる姿を目にすることで、めぐるはそんな実感を抱くことに相成ったのだった。


(みんなが今日のステージに立てるのは、サポートとして頑張ってきた町田さんのおかげもあるんだろうし……そういえば、『KAMERIA』を支えてくれたのも町田さんだったっけ)


 町田アンナは年単位のキャリアを持っていたばかりでなく、バンド活動の知識も携えていた。作曲の進め方や練習スタジオの予約方法など、すべては町田アンナの知識が頼りであったのだ。そしてこのたびも、町田アンナが先頭に立って新一年生たちを指導していたのだった。


「やあ、みなさんおそろいで」


 と、新たな人影がこちらの集団に近づいてくる。

 声をあげたのは元部長の宮岡であり、元副部長の寺林と、さらには森藤と小伊田まで居揃っている。OBの二人をお迎えするために、森藤たちは姿がなかったのだと察せられた。


「おお、宮岡さんと寺林くんか! 寺林くんは、すっかり貫禄がついたみたいだな!」


 町田家の父親が豪快な声をあげると、寺林はいくぶん気まずそうに「どうも」と頭を下げる。確かに彼はこの三ヶ月ばかりで、さらに肉がついてしまったようであった。


 いっぽう宮岡は相変わらずすらりとしたスタイルで、シックなシャツとデニムパンツの取り合わせもよく似合っている。そのしなやかな腕には、カーキ色のアウターが引っ掛けられていた。


「どうも、おひさしぶりです。ほら、あんたも言うことがあるんじゃないの?」


 和緒にせっつかれて、めぐるは背筋をのばすことになった。


「あ、あの、先日はライブを観にきてくださって、ありがとうございました。それに、帰りはきちんとご挨拶もできずに、申し訳ありませんでした」


 そうしてめぐるが頭を下げると、宮岡と寺林はきょとんと目を丸くした。


「えーと……それって、周年イベントのこと? あれからもう三ヶ月は経ってるよね?」


「あ、はい。わたしは連絡手段がなかったので、お会いできたらきちんと挨拶しなくちゃと思って……」


「あたしはお二人の呆れる姿を拝見したくて、あえて止めなかったんです。プレーリードッグの執念深さをご満喫いただけたでしょうか?」


 和緒の言葉に、宮岡は「まったく」と苦笑した。


「あなたたちは、相変わらずだね。ライブの感想は他のみんなに伝えてるはずだけど、遠藤さんにもきちんと伝わってるの?」


「あ、はい。ご丁寧なご感想、どうもありがとうございました」


 すると、うろんげに眉をひそめた寺林も発言した。


「お前、そこまで律儀なタイプだったっけ? 昔はこう、おどおどしてるくせにマイペースな感じだったよな」


「こちらのプレーリードッグもこう見えて、日々成長してるのかもしれませんね。毎日のように顔を突き合わせてると、わかりにくいもんです」


 和緒が芝居がかった仕草で肩をすくめると、宮岡はくすりと笑った。


「その成長のほどをもっと味わいたいもんだけど、それは後のお楽しみかな。まずは、後輩たちの勇姿を見届けないとね」


 気づけば、もう午後の二時が目前であったのだ。

 ほどなくして、体育館内にアナウンスが流された。


『それでは間もなく、軽音学部の部員一同によるライブステージを開始いたします。楽器の準備をしますので、もう少々お待ちください』


「わーい! みんなで、前に行こー!」


 町田エレンに背中を押される格好で、めぐるもステージである壇の手前にまで連行される。このような最前列でステージを拝見するのは、めぐるにとって初めての体験であった。


『KAMERIA』の三名と町田家のご家族に、『V8チェンソー』と軽音学部の関係者――さらには、『ケモナーズ』の三名も壇の手前にやってくる。そして最後に、嶋村亨の恋人である山田美琴やまだ みことも二名の友人を引き連れて姿を現した。


「みなさん、おひさしぶりです」


 ころころとしたマトリョーシカを思わせる山田美琴は、ふんわりとした笑顔を向けてくる。そしてその目が、すぐにめぐるのもとで固定された。


「あの、遠藤さんが嶋村くんに指導してくださった件、聞きました。わたしなんかが口を出す必要はないのですけれど……どうか、お礼を言わせてください」


「え? い、いえ、わたしなんかがお礼を言われる理由はありませんので……」


「いえ。遠藤さんが熱心になってくださったおかげで、嶋村くんは他のみなさんにも本音をさらすしかなかったんだって聞きました。嶋村くんはちょっと頑固なところもあるから、それまではなかなかタイミングがなかったんだと思います」


 そう言って、山田美琴はいっそうやわらかく微笑んだ。


「だから、遠藤さんにお礼を言わせてください。嶋村くんのために、どうもありがとうございます」


「い、いえ。わたしはその、勝手に取り乱していただけですので……」


「そこは、どういたしましてでいいんだよ」


 と、和緒が横合いからめぐるの頭を小突いてくる。

 すると、山田美琴はそちらにもやわらかな笑顔を向けた。


「ここぞという場面で一番頼りになるのは、磯脇さんだって聞いていました。磯脇さんも、ありがとうございます」


「どういたしまして」と、和緒はすました面持ちで応じる。

 そのタイミングで『Chun Chun Island feat.A』の四名が出てきたので、めぐるたちはそちらに向きなおることになった。


 みんな最前と同じ格好であるが、町田アンナは紙袋の覆面をかぶっている。もはや彼女は校内で正体を隠す気もなかったが、『KAMERIA』のステージ衣装として装着しているのだ。その姿に、客席のあちこちから笑い声やどよめきがあげられていた。


 そんな中、壇上の面々はセッティングに取りかかる。

 体育館は午前中から何らかの出し物で使用されているため、事前のリハーサルも存在しない。各バンドはステージ直前のわずかな時間で音作りを完成させなければならないのだ。


 これもかつては、『KAMERIA』が通った道である。今にして思えば、初のステージでリハーサルがないというのは、なかなかの試練であった。

 ただ逆に、初心者には音作りの機微もわかっていないので、それが試練であるということにも気づかないのかもしれない。それでめぐるは二度目のステージであった野外イベントにおいて、実に不本意な音を鳴らしてしまったのだった。


 初ステージである野中すずみたちには、とにかく演奏しやすいようにモニターの返しを調整してもらうようにアドバイスしている。

 そしてステージ上には町田アンナも控えているので、リアルタイムでサポートできるはずであった。


 野中すずみはこちらに小さな背中を向けて、セッティングに励んでいる。

 彼女はエフェクターを使用していないので、アンプとの間に繋いでいるのはチューナーのみだ。それで誰よりも早く、野太いベースサウンドが鳴らされることになった。


 しかし、普段よりも野太さが物足りないように感じられる。

 部室のベースアンプは出力が小さい上にかなりの年代物であるため、音がナチュラルに割れ気味であるのだ。それで、よくも悪くも荒々しさが上乗せされるのだった。


 野中すずみは右手で開放弦を鳴らしながら、しきりにアンプのツマミを操作している。

 アンプのブランドは、本年もハートキーだ。それは近場の楽器店のスタジオと同じ機種であるため、野中すずみもそちらで音作りの研究に励んだはずであった。


 その甲斐あってか、ベースの音がじわじわと心地好い野太さを増していく。

 野中すずみが使用しているムスタングというベースはボディも小ぶりなショートスケールであるが、『暴れ馬』という異名を持っているのだ。やがて、その名に恥じない迫力のあるサウンドが館内に響きわたった。


 その間に、他の面々もセッティングを進めている。

 町田アンナは出力の高いマーシャルのアンプを使用しているが、サイドギターであるために加減のきいた音作りだ。それでも、彼女らしい迫力と躍動感にあふれかえっていた。


 いっぽう自らジャズコーラスを選択した嶋村亨は、実に美しい音を鳴らしている。

 歪みのサウンドを重視していない彼のようなスタイルでは、ジャズコーラスのほうが望ましいという話であったが――それが厳然たる事実であったことを、めぐるもしっかり体感することができた。


 北中莉子はひとり仏頂面で、シンバルの角度やスネアの位置を調節している。

 一見はやる気なさげな態度であるが、それは部室でも同じことであった。


 セッティングを終えた町田アンナはギターをかき鳴らしつつ、他なるメンバーのもとを巡回していく。

 それで何度かスタッフが呼ばれて、モニターの調整が施され――ついに、セッティングが完了した。


 壇上のメンバーは、それぞれの定位置にスタンバイする。

 センターは、町田アンナである。サポートメンバーといえども二曲目以降はヴォーカルを担当するので、その位置になったのだろう。町田アンナはひとりだけカラーリングの異なるTシャツを着込んでいるため、見栄え的にはおさまりがよかった。


 ただし、町田アンナはステージの中央で、どかりと座り込んだ。

 そして、すでにその位置まで下げられていたマイクの高さを微調整する。彼女は中音の確認も、その場にしゃがみこんで実行していたのだ。


 町田アンナは興が乗ると、勝手に身体が動いてしまう。そうすると、どうしたって一番目立ってしまうため、座った状態でステージに挑むことに決定したのだった。


 町田アンナはスカートの下にジャージを着込んでいるため、遠慮なくあぐらをかいている。そうして町田アンナが座ったために、ドラムセットの北中莉子の姿も余すところなく客席にさらされることになった。


『どうもお待たせしましたぁ。準備ができたので、軽音学部のライブステージを開始しまぁす』


 と、舞台の上手かみてに陣取った嶋村亨が、のんびりと声をあげた。

 MCは、正規のメンバーが責任をもって担当するようである。彼はコーラスをする予定もないので、MCのためだけにマイクを準備したわけであった。


『僕たちは一年生で結成した新人バンドで、「ちゅんちゅんアイランド」といいまぁす。それで今日は先輩のAさんにサポートしていただくので、「ちゅんちゅんアイランド・フィーチャリングA」ということになりまぁす』


 やはり口で発声されると、いささかならず珍妙なバンド名である。

 そのためか、客席のあちこちで笑い声があげられている。


 しかし、重要であるのは、音であるのだ。

 めぐるは大きな期待を胸に、彼らの初ステージを見守ることになった。

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