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ライク・ア・ローリング・ガール  作者: EDA
-Side:K-

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-Track2- 01 忌まわしき季節

 和緒と遠藤めぐるの距離は、少しずつ縮まっていった。

 ただしそれも、カタツムリの歩のごときゆるやかなペースである。言葉を交わすのは昼休みに限られていたし、遠藤めぐるが内向的であることに変わりはなかったし、和緒は和緒で本性をさらけだすつもりはさらさらなかったし――目に見える変化と言えば、彼女がようやく和緒の顔を見て話すようになり、時おりはにかむような笑顔を見せるようになったぐらいのものであった。


 しかしまた、それだけで彼女は格段に人間らしく見えた。彼女は夢遊病者ではなく、きちんと正気を保って生活しているということが、ようやく和緒にも実感できたのだ。


 ただそれは同時に、遠藤めぐるの異常さを浮き彫りにした。彼女はその内に真っ当な人間らしい心を隠し持ちつつ、普段はすべての事柄に無関心でぼんやりと生きていたのだ。

 周りにどれだけ忌避されようとも、彼女はいっさい心を動かすことなく、茫洋と漂うように生きている。どうしてそのようなことが可能であるのか、和緒にはさっぱり理解できなかった。


(まあ、あたしだって周囲のことなんかおかまいなしで生きてるけど……そもそも、取り巻く環境が違ってるからなぁ)


 和緒は多くの相手に好かれており、遠藤めぐるは多くの相手に嫌われている。その時点で、前提条件が大きく違っているのだ。

 女子連中の遠藤めぐるに対する反感というのは、和緒の想像以上であった。これも口さがない噂話で耳にしたのだが、遠藤めぐるは前年度だけで、教科書や上履きを切り刻まれて捨てられたり、机に油性のマジックで落書きされたり、トイレでバケツの水をかけられたりと、陰湿ないじめを受けていたのである。それを自慢話のように語る連中の神経も、和緒には理解できなかった。


「で? あの子はそんないじめを受けてもしかたないぐらい、何か悪さでもしたっての?」


 和緒が真正面からそのように問い質すと、噂話を持ち込んだ女子生徒は真っ青になって逃げていった。そして後日、和緒に泣きながら謝罪してきたのだった。


(だから、謝る相手が違うだろっての)


 和緒はそのように考えたが、口に出す気にはなれなかった。もうこの目の前の相手と口をきく気にもなれなかったのだ。

 その一件以来、和緒の前で遠藤めぐるのことを悪しざまに罵る人間はいなくなった。誰もが和緒のご機嫌をうかがおうという心持ちであったのだ。それもまた、和緒には理解し難い心理であった。


 和緒は理由なく、無条件で人に好かれている。

 それとは逆で、遠藤めぐるは無条件で人に嫌われているのかもしれなかった。


(まあ、本人の責任がゼロってことはないのかもしれないけどさ)


 遠藤めぐるは、他者に無関心である。

 彼女に罪があるとしたら、その一点のみであった。


 愛の対義語は憎悪ではなく、無関心である――などという言葉を、和緒はどこかで聞きかじった覚えがある。であれば、遠藤めぐるは情愛の対極にある態度を周囲のすべてに向けているに等しかった。


 しかしそれは、本当に罪なのだろうか。

 きっと彼女は周囲の関心など必要としていないから、自分も関心を持てないのだ。突き詰めれば、それは和緒と同様の心情であるはずであった。


 それに、物事には必ず原因が存在する。

 和緒がこんな人間に育ってしまったのは、間違いなく義兄の一件が原因なのである。和緒はその前から冷めた子供であったが、少なくとも家族に対しては確かな情愛を抱いていたつもりであったのだ。そうであるからこそ、和緒は家族愛を抱いていた相手に性愛を向けられて我を見失ってしまったのだった。


 いっぽう遠藤めぐるは去年の春に、両親と弟を亡くしているという。なおかつ、彼女を引き取った祖父母とたいそう折り合いが悪く、転居を済ませた後はひと言も口をきいていないという話であったのだった。


「でも、わたしもどういう口をきけばいいのかわからないから……むしろ、ありがたいぐらいなんです」


 遠藤めぐるは何気ない世間話のように、そんな言葉を吐いていた。

 そうして彼女は、小さな離れで孤独に過ごしているという話であるのだ。中学生になったばかりの身でそんな環境に置かれた人間が、正しい人格の形成など望めるわけがなかった。


(きっとこの子には、時間が必要なんだ。この子の中には、きちんと人間らしい心が眠ってるんだから……いつかは、それが花開くだろうさ)


 そんな風に考えた和緒は、自分も態度を改めることにした。

 遠藤めぐるのように特殊な境遇にある人間に、自分のような歪んだ人間が迂闊に近づいてはいけないのだ。それではおたがいの負の部分が共鳴して、どんな末路を迎えるかもわからなかった。


 ただ和緒は、すでに彼女の内側に踏み入ってしまっている。

 きっと彼女が笑顔を見せるのは、今のところ和緒ひとりであるのだ。その事実を察したとき、和緒は悪寒に似たものを覚えることになった。


(あたしなんかが、この子の拠り所になっちゃいけない。この子には、もっと相応しい相手がいるはずだ)


 和緒は、大いに思い悩んだ。これほど頭を悩ませたのは、それこそ昨年の夏以来のことであった。

 それで和緒は、進むべき道を見出した。ここでいきなり交流を絶つのは彼女を傷つける結果になりかねないので、つかず離れずで見守ることにしたのだ。


「明日はちょっと予定が入ったんで、あんたは思うさま静かなランチを楽しんでおくれよ」


 とある日の昼休み、和緒がそのように伝えると、遠藤めぐるは平坦な声で「はい」と応じた。

 残念がっている様子はないが、もちろん喜んでいる様子もない。これで喜ぶような状況であれば、和緒もすっぱり関係を絶つ決断を下せたかもしれないが――遠藤めぐるとて、和緒との語らいを心のどこかで楽しんでいるはずだった。そうでなければ、彼女が笑顔を見せるとは考えられなかったのだ。


(あたしなんかが人様の人生を見守るだなんて、恐れ多いばかりだけど……そこは持ち前の小器用さで踏ん張ってやるさ)


 そうして和緒は、遠藤めぐるとランチをともにするのは週の半分のみというスケジュールを組んだ。一日置きではあまりに不自然なので、適当に曜日をずらしながら週に二、三回だけ体育館の横手におもむくことにしたのだ。


 遠藤めぐるは、いつでもぽつねんと和緒を待っていた。和緒の気ままな行動に不平を申し述べるでもなく、顔をあわせればぽつぽつと言葉を交わし、時には笑顔を見せてくれる。はっきり言えるのは、彼女が恐ろしいまでに受け身の姿勢であるということであった。


 彼女はおそらく、自己主張することをあきらめてしまったのだ。

 不幸も幸福も、苦しみも喜びも、来るものは拒まず、去るものは追わない。彼女はわずか十三歳にして、すべての運命を受け入れる準備を整えてしまったようであった。


(それでもきっと、いつかは誰かがあんたに幸福な運命をもたらしてくれるさ。あたしみたいな半端者じゃなく、ちゃんとした度量を持った誰かがね)


 そうして和緒は、あらためてこの奇妙な存在と奇妙な交流を紡ぐことになった。

 週の半分だけ昼食をともにして、教室ではひと言も口をきかない、友人関係とも言えないような交流である。しかしそれは他者との交流を疎んじていた和緒にとっても、ほどよい距離感であったのだった。


「へえ、成績は優秀なんだね。他に何かやることはないわけ?」


 中学二年に進級して初めての中間試験を迎えたのちには、そんな言葉を届けることになった。噂通り、遠藤めぐるは成績優秀だったのである。


「そ、そうですね……家では何もやることがないし……なるべく立派な会社で働けるように、勉強は頑張ってるつもりです」


「ふうん。極貧生活に育まれたハングリー精神ってわけか」


「そ、そんな大した話ではないですけれど……わたしは二十歳になったら、今の家を出ていかないといけないので……高校を卒業したら、引っ越しの費用をためないといけないんです」


 聞けば聞くほど、遠藤めぐるの置かれた環境というのは劣悪なものであった。

 そもそもネットカフェに行ったぐらいで数日ばかりも食費を惜しまなければならないというのは、あまり普通の話ではないだろう。本当に貧乏な家庭ならともかく、同じ敷地内に住む祖父母がいっさい援助もしないというのは、常軌を逸しているはずであった。


「いっそ、行政でも頼ったら? きっと法律は、あんたに味方してくれるだろうと思うよ」


「い、いえ、いいんです。波風を立てたら、面倒なことになってしまうでしょうし……悪いのは、わたしの両親なんでしょうから……」


 どうも彼女の祖父母は、彼女の両親と絶縁関係であったらしい。それでしぶしぶ彼女を引き取って、飼い殺しにしているというのが実情であるようであった。


 そんな話を聞かされると、和緒の腹の底ではぐらりと激情の煮えたつ音が聞こえた。

 しかしそんなときは、すぐさま水をかけて鎮火する。彼女を救うのは和緒の役割ではなかったし――そもそも彼女は、周囲に助けなど求めていなかったのだった。


 彼女は、すべての面倒ごとを受け流して生きている。

 不幸な運命からは目をそらして、自分の心をぼんやりと眠らせているのだ。下手にそれを揺り起こすと、取り返しのつかない事態に陥らないとも限らなかった。


(だから、そこまで面倒を見てくれる人間こそが、あんたの救世主ってことなんだろうさ)


 そんな感じに、和緒の生活は小さからぬ変転を内包しつつも、またなだらかに過ぎ去って――あっという間に、夏がやってきた。

 和緒にとっては、忌まわしき思い出の詰まった時節である。ついでに言うならば、その思い出を否応なしに呼び起こす忌まわしきイベントも待ちかまえていた。


(ついにこの季節がやってきたか……京都に隕石でも落ちないかな)


 もちろんそんな未曾有の災厄が勃発することもないまま、じわじわとお盆が近づいてくる。それにつれて、和緒の神経はどんどんささくれていった。

 和緒はつい三ヶ月ほど前にも、ゴールデンウイークで同じ試練を乗り越えている。しかし、わずか三ヶ月でまた同じ試練に臨むというのは、精神的な負荷が大きいものであったし――この胃の重さは、決してそれだけが原因ではないはずであった。


(季節が悪いよ、季節が。……きっと今日あたりが、家庭崩壊の一周年記念日なんだろうからさ)


 自分の寝室に引きこもっても、廊下を歩いても、シャワーを浴びても、ふとしたはずみで忌まわしい記憶が脳裏に浮かびあがってくる。それでトイレに駆け込むほどの事態には至らなかったが、気持ちがふさがることに変わりはなかった。


 ついに我慢を切らした和緒は、陽光の降り注ぐ屋外へと逃亡する。忌まわしい思い出はすべて家の中に詰まっていたので、屋外のほうがまだしも気が休まるのではないかと思いたってのことであった。


 お盆を一週間後に控えて、夏の盛りである。

 凶悪なまでにぎらつく陽光が、和緒の鬱々とした思いを煮沸消毒してくれるような心地であったが――そんな思いも、ものの数分で霧散した。和緒は帽子をかぶると偏頭痛を起こす体質であったため、無防備に頭をさらしているのだ。うかうかしていると、心より先に肉体のほうがへたばってしまいそうだった。


(ショッピングモールにでも逃げ込むか。数時間ぐらいは潰せるだろ)


 和緒はすぐさまバスに乗って、ニュータウンのショッピングエリアを目指した。

 車内には、寒いぐらいにエアコンがきいている。しかしそれも心地好いばかりであった。


 去年の夏以来、和緒は学校の制服以外でスカートをはいていない。Tシャツの姿で外をうろつくのも控えて、真夏でも何らかのシャツを着込むようにしていた。異性の視線をことさら気にしているようで面白くないという気持ちもなくはなかったが、それで防犯ブザーを鳴らす手間が少しでも減じるのであれば致し方なかった。


 頭も、相変わらずのショートヘアーである。ショートヘアーはショートヘアーでこまめに美容院のお世話にならないとすぐみっともない有り様になってしまうのだが、それでもやっぱり髪をのばす気にはなれなかった。


(そういえば……あいつはそういう手間をなくすために、ああいう頭をしてるのかな)


 遠藤めぐるはいつも無造作なおさげであったが、よくよく観察してみると前髪も後ろ髪も毛先がふぞろいであった。ネットカフェひとつで食費を切り詰める生活であるのだから、きっと髪も自分で切っているのだろう。その稚拙な手際を隠すために、いつも髪を結っているのだろうと思われた。


(あいつは今ごろ、何してんだろ。熱中症でくたばってないといいけど)


 夏休みに入ってから、すでに半月ぐらいが経過している。その期間、和緒はいっさい彼女と連絡を取っていなかった。というよりも、彼女は通信機器を所持していないため、連絡の取りようがなかったのだ。

 家まで押しかける理由はないので住所も聞いていないし、こちらの住所も教えていない。ニュータウンとひと口で言っても八千近い世帯数であるため それなりの規模であるのだ。同じ中学校に通いながら、日常生活では顔をあわせる機会もなかった。


(案外、あいつと会えないのも憂鬱な気分の一因だったりして)


 そんな風に考えると、朝から重かった胃がじくりと疼いた。


(いやいや、笑えないっての)


 和緒はへたばりかけている心に鞭打って、バスを降車した。

 再び炎天にさらされながら、速足でショッピングモールに逃げ込む。さすが夏休みだけあって、そちらもなかなかの人混みであった。


(クラスの連中に出くわさないといいんだけど……まあ、心配したって始まらないか)


 自分は洒落者だと自認する年頃の娘さんというものは、地元のショッピングモールではなく電車を使って繁華街まで繰り出すものであろう。そんな期待をかけて、和緒が施設内をぶらついていると――思わぬ存在が目に飛び込んできた。


 遠藤めぐるである。

 遠藤めぐるが、書店の雑誌コーナーの前でぼんやり立ち尽くしていたのだった。


(……マジかよ)


 バスの車内でおかしな想念にとらわれた和緒は、暫時どうするべきか思い悩むことになった。

 しかし、姿を見かけたのに無視をするというのは、やはり道理に反している。それではまるで、彼女の存在から逃げているかのようであった。


(あいつのことを嫌ってるわけじゃないんだから、ばったり出くわしたら立ち話ぐらいするでしょうよ。何を考え込む必要があるんだっての)


 和緒はもういっぺん気持ちを引き締めなおして、書店のほうに足を踏み出した。

 遠藤めぐるはこちらに体の側面を向けて、ぼけっと立ち尽くしている。雑誌の表紙を眺めているだけで、手をのばそうともしない。その無防備な横顔が、齧歯類の小動物を連想させた。


「やあやあ。こんなところで出くわすとは、奇遇だね」


 和緒がいつもの調子で声をかけると、遠藤めぐるはきょとんとした顔で振り返ってきた。


「え……い、磯脇さん? こ、こんなところで、何をしてるんですか?」


「そりゃああたしだって地元の住人なんだから、モールにお邪魔したっていいでしょうよ」


 そんな言葉を返しつつ、和緒は観察の視線を走らせた。

 半袖のTシャツに、ハーフパンツに、素足にラバーのサンダル――これといっておかしなところのない姿であるが、生地がくたくたで子供っぽいデザインであるためか、やたらと見すぼらしい。小さな体と相まって、まるで小学生のようだ。和緒と同級生であるなどとは、誰にも信じてもらえなそうであった。


「そういうあんたは、何をしてるのさ? お目当ての雑誌が見当たらないの?」


「あ、いえ……わたしはただ、涼んでいただけで……立ち読みは迷惑でしょうから、本を探すふりをしていたんです」


 彼女は内心の読みにくい存在であるが、その反面、和緒の質問には素直に答えてくれるようになっていた。ただそれも、誰にどう思われようともかまわないという放埓さのあらわれであるのかもしれなかった。


「そいつは気のきいた熱中症対策だね。あんたのことだから、夏休みは家に引きこもってるのかと思ってたよ」


「あ、はい……外に出るのは、わたしも面倒なんですけど……今日は、あまりに暑かったので……」


 そんな風に言いながら、遠藤めぐるはもじもじとした。

 学校ではめったに見せない、愛くるしい所作である。和緒はその頭を小突いてやりたい衝動をこらえながら、文句をつけた。


「何をもじもじしてるのさ? 声をかけたのが迷惑だったかな?」


「あ、いえ……こ、こんな場所で磯脇さんと話しているのが、なんだか不思議だなと思って……」


 そう言って、遠藤めぐるは力なく口もとをほころばせた。


「でも、どちらかといえば嬉しい気分なので……迷惑なことは、ありません。わたしなんかに声をかけてくれて、どうもありがとうございます」


 和緒は、眩暈に似た感覚を覚えた。

 半月ぶりに見る彼女の笑顔が、おかしな感じに和緒の心を揺さぶってきたのだ。和緒はますます手が出てしまわないように、懸命に自制することになった。


(こいつ……まさか、天性の人たらしなんじゃないの?)


 自分のことを棚に置いて、和緒はそんな感慨を噛みしめることになった。

 すると、遠藤めぐるはいくぶん慌てた素振りで頭を下げてくる。


「あ、無駄口を叩いてしまってすみません。わたしなんかにかまう必要はないので、どうぞ磯脇さんは自分の用事を済ませてください」


「……用事なんて、ありゃしないよ。あたしだって、ヒマつぶしで来ただけなんだからさ」


 そうして和緒は、悩みに悩みぬき――その末に、「じゃんけん、ぽん」といつもの手を使うことにした。

 遠藤めぐるは反射的に、握った拳を差し出してくる。それを切り裂けないハサミを出した和緒は、「あーあ」と肩をすくめた。


「あんた、じゃんけんだけは強いよね。しかたないから、一杯おごるよ。あっちのエリアのカフェにでも行こっか」


「え? え? で、でも、それはあまりに申し訳ないので……」


「申し訳ないと思うなら、たまには勝負を譲ってよ。とにかく、ヒマつぶしのネタを探してたあたしに捕獲されたのが運のつきってことさ」


 そうして和緒はあわあわと慌てる遠藤めぐるを半ば押しやるように急かしながら、カフェを目指すことになった。


(なんせこれは、半月ぶりの接触なんだからな。その内の半分、昼休みに顔をあわせてたとすると……八日かける三十分で、ざっくり二百四十分か。よしよし、四時間ばかりは行動をともにしても、バチは当たらないってことだ)


 そんな具合に、和緒なりの理論武装も完了していた。

 かくして和緒は、ついに休日にも遠藤めぐると交流を深めることになり――それでいつしか、朝から覚えていた胃の重さを忘れることがかなったのだった。

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[良い点] この年で他人の感情を汲んで行動できるあたり、和緖はやはり根は賢くて優しいと思います。そしてお二人微笑ましいですね。
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