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記録62 復讐

ここまで来たら最後まで読んでください。

「俺を殺してくれないか?」勇輝が言う。

「え?」七奈美は理解が出来なかった。

「聞こえただろ。そこの藤村さんから銃を借りて俺の頭を撃ち抜く。簡単だろ。」勇輝が言う。

「何でよ!病院に行けばワクチンを開発してくれるかも知れないじゃない!」七奈美が言う。

「頼む!早くしてくれ………だんだん苦しくなってきてるんだ。」勇輝が言う。

勇輝の目から血の涙が流れた。

「ーーーっ!」七奈美が口に手を当てる。

「うっ………」鈴も同じく口に手を当てる。

「だから早くしてくれ。」勇輝が言う。

「でも………」七奈美が言う。

「安心しろ。お前にとっては嫌な思い出になるかもしれないが、一生残る思い出だ。………俺達はお前の心の中にいる。」勇輝が言う。

「これ。」鈴が腰に差してあった、9㎜拳銃を渡す。

「………。」七奈美が受けとる。

「………これで本当に良いの?」七奈美が聞く。

「良いに決まってんだろ。化け物になるか知らねぇやつに殺されるよりはマシだ。」勇輝が言う。

「………そうね。」七奈美の目が潤み始める。

「泣くなよ。お前は笑ってる顔が一番生き生きしてるからな。」勇輝が七奈美の頭を撫でる。

「うん。………この3日間楽しかったよ。」七奈美が言う。


パン


勇輝の体が後ろに倒れていく。

そして、放置車両にもたれ掛かるようにして座る。

「うっ……うわあああああああああん」七奈美はその場に9㎜拳銃を落として泣く。

鈴はしばらく見ていたが、無線が入る。

「感染者が数十体接近している。すぐに生存者を連れてこい。」

「了解しました。」鈴が無線に言う。

「行くよ。」鈴が言う。

「うん。」七奈美は鈴に連れられて検問所に向かった。









検問所は北陸自動車道にテントを無数に建てただけだった。

そのうちの一つのテントに七奈美は収容された。

「コーヒーでも飲んで落ち着いてね。」鈴が机にコーヒーを出す。

「すいません。」七奈美が言う。

「良いのよ。」鈴が言う。

「あの………勇輝達の事は………」七奈美が言う。

「大丈夫。そんな乱暴には扱われないはずだから安心して。」鈴が言う。

「そうですか。」七奈美はコーヒーを飲む。

「苦い………」七奈美が言う。

「あ!砂糖ね。今出すね。」鈴は他のテントに向かった。

七奈美はそれを見送る。

七奈美はコーヒーを再び飲む。

「やっぱり苦い………」七奈美が言う。

すると、一人の男がテントに入ってくる。

「失礼するよ。」

七奈美にはその男に見覚えがあった。


KANAME代表取締役社長「藤田 志次郎」だ。


「何しに来たのよ!」七奈美が言う。

「そう熱くならないでくれよ。」志次郎が言う。

「帰れ!」七奈美がコーヒーの入ったカップを投げる。


パリン


志次郎はカップをよけたため、地面にカップが落ちて割れた。

「話し合いをしに来たんだよ。」志次郎が言う。

胸ポケットから紙切れを出す。

「部下が死んだのは悲しいが、金沢支社の情報が漏れることは私の運命にも関わるのでね。」志次郎は紙切れを七奈美の前に出す。

「小切手…………」七奈美が言う。

「そうだ。小切手だ。銀行に行けば、1500万円と交換してくれる。これで見たことは忘れてくれ。」志次郎が言う。

「………………けないで」七奈美が言う。

「ん?」志次郎が言う。

「ふざけないでって言ったのよ!」七奈美は志次郎を思いっきり殴る。


ガシャァン


志次郎はパイプ椅子や、棚をなぎ倒して、テントの横の壁代わりの布を破って外に出てしまった。


「きゃぁ!」

「うわぁっ!」

「なんだ!?」

外にいた一般の人が驚く。


「いてててて………」志次郎が起き上がろうとする。

七奈美は志次郎に近寄り、胸ぐらをつかむ。

「あんたのせいで一体何人の人が死んだと思ってんのよ!」七奈美が言う。

周りには野次馬が集まって、テレビカメラもいる。

「あれは部下が………」志次郎が言う。

言い訳をされて七奈美の怒りが頂点に達した。

「黙れ!あんたのせいで私の大事な人も死んだ!」七奈美が志次郎の頬を殴る。


バキッ


「私はただ平穏な日々を送りたかったのに!」七奈美が殴る。


バキッ


「勇気たちじゃなくあんたが死ねばよかったのよ!」七奈美が拳を振り上げる。


ガシッ


「小鳥遊さん、やり過ぎよ。」鈴が七奈美の拳を掴んでいる。

「うるさい!離せ!こいつを殺すんだ!」七奈美が暴れ始める。

(仕方がない………)鈴はポケットから白い畳まれた布を出すと、七奈美のにその布の臭いを嗅がせる。

七奈美の意識が一気に飛ぶ。


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