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神殺しの少年  作者: 一ノ瀬 和人
第1章 運命の始まり 首都防衛戦
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新入生歓迎会 後編

「格好いいね、月城さん」


「はい! 本当の王子様のようです」



 月城さんがしているのは男装である。女性ではあるけど凄く格好いい。

 隣には緑のドレスを着た女性がいる。その女性の手を取って舞台の周りを歩いている。



「今日1番の歓声が沸いています」


「それだけ月城さんにみんなが見とれているんだよ」



 普段教室でも誰も寄せ付けない高嶺の花だった月城さん。

 こんなキラキラした舞台を歩いて完成を浴びている月城さんを見ると、先日お昼を共にしていたという事が信じられなくなる。



「あっ!? 月城先輩がこっちを向きましたよ!」


「本当だ」


「お兄様、手を振ってアピールした方がいいと思います」


「そうだね。折角だから手を振ろうか」



 月城さんに対して手を振ると、一瞬顔が真っ赤になったような気がした。

 そして舞台で固まってしまうと我に返り、そのまま僕達の所を通り過ぎ新入生達の方へと行ってしまう。



「今の月城さん、お姫様に手を引かれなかった?」


「そうですか?」


「うん。お姫様役の人が無理やり月城さんを引っ張っていったように思えたけど、僕の気のせいかな?」


「気のせいだよ。あの月城がそんな風になる事なんてないだろ?」


「確かに。望の言う通りだ」



 あのいつも冷静で勝気な月城さんが舞台で動揺なんてするわけない。

 どうやら僕の思い違いだったみたいだ。



「それよりもステージを見ろよ。フィナーレだぞ」


「本当だ」


「今まで舞台に出ていた人達が全員集合していますね」


『新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私達学徒の部隊、楽しんでいただけたでしょうか』



 ステージ中央でマイクを握るのは髪をツンツンに立てているイケメンの男。

 かけている眼鏡は理知的で、落ち着きのある大人のように見えた。



「あれは生徒会長だ」


「生徒会長ってあんな人だったんだね」


「そうだよ。隣にいるピンク髪の胸がでかいお転婆娘が生徒会の副会長だ」


「おてんば娘なんて、望!? そんなこと言ってていいの!?」


「別に見た通りの感想を言っているだけなんだから問題ないだろ? それよりもあの2人は雪組のリーダーだ」


「雪組? それってさっき望が実力があるって言っていたところ?」


「そうだよ。今年の生徒会は全員雪組から選ばれているんだ」


「なるほど」


「でも、望さん。そんな生徒会を身内で固めて他の組からは批判されないんですか?」


「もちろん最初はあったさ。だけどそれも生徒会長達が実力でねじ伏せたらしい」


「実力?」


「そうだ。知らないか? 去年競技場で行われた、生徒会長との果し合い」


「そういえば競技場で剣の特訓をしていた時、誰かが1対1の決闘をしていた気がする」


「それが生徒会長の果し合いだよ。果し合いをする前にあの人は『自分に不満がある人は果し合いで決着をつける。負けたら生徒会長を辞任する』とまでいってたんだ」


「あれってそんな大事だったんだ」


「海はどう思ってたんだよ?」


「僕はてっきりただの摸擬戦だと思ってたよ」


「なんだよ。そう思ってたのなら海も参加すればよかったじゃないか」


「参加しようと思ったんだけど、人が多くて待ち時間が長かったからやめちゃった」


「本気でしようと思ってたのか」


「うん。並んでいる人が少なければ、やっていたかもしれない」



 生徒会長と摸擬戦が出来るなんて心が躍る。

 会長が言っていた条件抜きでも、一度生徒会長と戦って見たかった。



「望君、その生徒会長の果し合いには何人ぐらいの人が挑んだんですか?」


「ざっと80人だ」


「80人!?」


「結果80人が生徒会長に挑んで、80人全員が生徒会長に負けた」


「生徒会長ってすごいんだね」


「そうだ。実力も一級品だけど、実務の能力も一級品だったからその後誰も文句は言えなかったんだ」


「つまりは完璧超人ってことだね?」


「そうだ」



 見た目通りの実力。あの人は本当に凄い人だったんだ。



「噂でが新しく新設された月組を作ったのも、今の生徒会長が尽力したらしい」


「そうだったんだ」


「あぁ。元々月城が学徒に入る段階で今の生徒会長が動いていたらしい。親父が言っていたよ」


「でも、何で月組を作ったんだろう?」


「それはわからない。噂では軍のお偉いさんが生徒会長と親父に相談して作ったって線が濃厚らしい」



 どうやらあの組が作られた理由が色々あるみたいだ。

 僕には考えられないぐらい政治的な意図があるような気がしてならない。



「中央にいるのは華組の人達?」


「そうだ。去年までは生徒会長は最大派閥の華組から選ばれていたけど、今の代から雪組に移ったんだ」


「あそこに安広君達がいる」


「うちのクラスからも選ばれてるんだよ。安広は次の華組の代表になるって言われてる」


「だからクラスでもあんな態度だったんだ」



 やたらむやみに絡んでも誰も何も言わない理由がわかった。

 もし次期華組の代表に何かしたら後が怖いから、何も言わなかったんだ。



「これでわかっただろ? あそこは政治の塊なんだ。入るだけで息が詰まる」


「望が入りたくない理由がよくわかったよ」


「華やかな裏にはドロドロとした人間関係が隠れているんですね」


「そうだよ。そんなところに入って自分の首を絞めるより、今は実力をつけた方がいいだろう」


「確かにそうだね」


「あそこでも際立った天才はもちろんいる。だけど実力に伴っていない奴の方が多いのが、学徒の今の現状なんだよ」



 大体望が学徒の事を嫌いな事がわかった。

 つまりは望は政治の問題に首を突っ込みたくないからだ。

 望の父さんは学園長。だからあの中に入ると色々と面倒だと踏んで入らなかったのだろう。



「なんか望さんの話を聞いてると夢が壊れますね」


「壊れろ壊れろ。現実なんてこんなものなんだよ」


「でも、そしたらなんで月城さんは学徒に入ったんだろう」


「それはわからない。だけど月城も何か夢があるんじゃないか?」


「夢?」


「そうだよ。権力を持ちたいとか国の中枢に入りたいとか、そんな願いがあるんじゃないか?」


「あの月城さんがそんな事を思ってるの?」


「わからないけど、学徒に入っているという事はそういうことなんじゃないか?」



 真意はわからないけど、望の言っていることが本当ならそうなのだろう。

 月城さんももしかしたら将来国の中枢にいたいのかもしれない。



『それではこれで新入生歓迎会を終わります。ご清聴ありがとうございました』



 生徒会長を筆頭に舞台に立っている人達が頭を下げた。

 こうして新入生歓迎会が終わりを告げたのだった。

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。


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