内なる衝動
「はぁ、はぁ、はぁ‥‥‥やった」
目の前のバラバラになった魔獣を前にして息を荒げる。
頭痛はピークに達し、目の前が朦朧としている。どうやら力を使いすぎたようだ。
「如月君!! 大丈夫!?」
「来るな!!」
「えっ!?」
「ごめん、僕は大丈夫だから。今は近づかないで」
魔獣を殺したのに物足りない。もっと人を殺したいという欲求が体の内から溢れ出てきた。
「またか《・・・》。この現象は」
この力を使いすぎると時折こういう状態になってしまう。
それは僕が望んでも望まなくても、何かを壊したいと思ってしまう。
「如月君‥‥‥」
振り返るとそこには心配そうに僕を見つめる月城さんがいた。
僕がしたことを信じられないのか、呆然とした表情で僕と魔獣の事を交互に見ている
「月城さん‥‥‥」
ふと月城さんを見た時、頭が痛んだ。同時に月城さんの体に見えていた線が先程よりも増えている。
その線の数は魔獣の比ではない。線の数が多すぎて、月城さんの顔が見えなくなってしまう。
『コロセ‥‥‥ソノムスメヲコロセ‥‥‥』
「誰だ!!」
辺りを見るが誰もいない。だが確実に男の声がした。
『ソノムスメヲ‥‥‥ソノムスメヲキリキザムノダ‥‥‥』
「どこだ!! お前は何処にいる!!」
「如月君!? どうしたのよ!? 急に叫んで!?」
「駄目だ!! 月城さん!! 僕の側に来ないで!!」
徐々にではあるが、自制心が効かなくなってきた。
僕は自分の衝動に抗えなく、人の血を求めてしまう。
「どうしたの、如月君!? そんな怖い顔をして‥‥‥」
「月城さん‥‥‥」
「いつもの如月君らしくないわよ。とりあえずその果物ナイフは早く渡して‥‥‥」
それ以降の言葉は続かない。ようやく月城さんも僕の状態を把握したみたいだ。
僕から徐々に距離をあけていく。その足はブルブルと震えていた。
「ツキ‥‥‥シロ‥‥‥サン」
「やめて!! 近づかないで!!」
その場でたじろぐ月城さん。余程僕の事が怖かったのかその場にすとんと腰を落としてしまう。
「ウッ!!」
「如月君!?」
頭痛が酷いし頭が痛い。痛みがどんどん広がり、やがてそれは僕の意識を奪おうとする。
「アッ‥‥‥アァ‥‥‥」
「如月君!! 如月君!! おきなさい!! 如月君!!」
徐々に意識がなくなっていく。いつの間にか握っていた果物ナイフを手放していた。
「駄目よ!! 死んじゃダメ!! 起きてよ!! 起きて!!」
月城さんの心地よい声が頭に響く。周りから車の車両の音とこちらに近づく複数の人の足音が聞こえる。
「月城!! これはどういうことだ!?」
「主任!! 如月君を助けて下さい!!」
ああ、よかった。助けが来たのか。これでもう安心してもいいだろう。
周りの喧騒が徐々に遠のいていき、僕は意識を手放すのだった。
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