夕飯は冷麺で
卓に並べられたのは冷麺だ。
正直、暑さに参っていた身としてはありがたい。
「もっとがっつり食べたいときは言ってね」
少女も少し寝過ぎたとのことだった。そのため夕飯は冷麺になってしまったようだ。
「僕も今日はこれでいいかな」
「だったらいいんだけど」
「そういえば昼はそばだったよね」
昼はそばに夜は冷麺。少女はこれを気にしたのかもしれない。
「ちなみに時間があったら何を作ろうと思ったの?」
「そうだなぁ。サラダ作って、魚焼くのもいいけど、豚のしょうが焼きもいいよね」
それもいいなと思ってしまう。
「私も暑さでぐでーってなっちゃったよ」
あの猛暑の中を日中を自転車で動きまわっていたというのだから、自分でも驚いている。
「何かしていてもそうだけど、日中をダラダラ過ごしても時間がすぐに過ぎるよね」
「ホントだよー」
困っちゃうよねとは少女の言葉だ。
「夜寝れるかな?」
昼寝が長かったのを心配してのことだろう。
「夜更かしする?」
「それもいいね」
何をしようかと少女は考えている様子だった。
何せ時間だけはたっぷりある。夜といえどもはじまったばかり。
「夕食後に鉄道の博物館で買ったクッキー食べようよ」
「いいね。ちょっと食べたかったんだ」
「紅茶かコーヒーがいいよね」
あるかなと少女はつぶやく。
「せっかくだから映画観ながら食べようよ」
「ホラー映画?」
「ホラーじゃなくても抱きついて見てあげるよ」
そういう意味で言ったつもりはないんだがと、僕は苦笑いを浮かべる。
少女はしてやったりという表情でにんまりと笑みを浮かべていた。
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