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そば屋の座敷にて

通された座敷はかなり広い。長テーブルが四つ置かれて、それぞれテーブルごとに仕切りが置かれてプライバシーを確保してあった。


古民家ながら改装はされていてクーラーもよく効いている。お昼時というのもあってさすがに僕たち二人だけというわけにはいかない。


空いてる席を見つけて対面で僕らは座る。


「はーぁ。涼しいねぇ」


少女は机の上で突っ伏す。僕もぐったりした気分だ。そんなことをしていると店員さんがお冷やを運んできてくれる。


ついでに注文を聞かれると少女が答えてくれる。


「天ざる二つでお願いします」


それをメモに書き留めて、店員さんが引っこんでいく。


「お腹が空くっていうより、お腹を通るものが食べたくなるよね」


この暑さではそうだろう。全面的に同意だった。


「ここにはよく来るの?」


「片手数えるくらいかな。伯父さんが連れてきてくれたから」


一人ではこないということらしい。


「小物見てたとき楽しそうだったね」


「伯父さんと一緒だとなかなか見てまわるの遠慮しちゃって」


僕なら一緒に見てくれるだろうと思ったそうだ。


ついでに買い物もできたので、とてもよかったらしい。


「あの小物はこの店の人が作ってるの?」


「ここに移り住んできた人がいて、お店のスペースを借りて販売してるそうだよ」


どれも可愛らしい感じの小物が多かったのはそれと関係しているのだろうか。


「アトリエもあって、そこでも販売してるらしいから機会があれば行ってみない?」


「そうだね」


時間はたっぷりある。むしろ行かない理由を探すほうが億劫だろう。



お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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