髪飾り
「お兄さんにつけてほしいな」
少女は両手を後ろにまわして、すこし前かがみになっている。
僕は見下ろしているような感じになり、少女の首筋からうなじにかけて胸もとのあたりがチラリと目に入った。
気恥ずかしくはあるが、あげると言った髪飾りをいつまで持っていても仕方ない。
「わかったよ」
僕は少女の前髪を左手で触る。その間、なぜだか少女は目をつむっていた。体がこわばっているのが外からでもわかる。
「ん……」
少女の前髪を少しかきあげて、髪飾りをつける。
「できたよ」
「えへへ。ありがと」
店員が手近にあった鏡で姿を見せてくれいる。少女は華やいだような笑顔だ。
「気に入ってもらえたかな?」
「もちろんだよ」
ひまわりの花が少女にはよく似合っていた。だからこの髪飾りがに合うのも納得だった。
「それじゃあ、そばを食べにいこうか」
お腹がすいたと僕は少女に訴える。
「そうだったね」
少女は本来の目的をすっかり忘れていたようだ。
「私もお腹がすいてきたよ」
少女はえへへと笑う。
その後、僕たちは座敷へと通してもらった。
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