お昼を食べに行こう
そろそろ昼が近くになりつつあった。いったん家に帰って昼食かなと思っていると、少女がとことこやってきて僕にこう言った。
「自転車で三〇分くらいのところにそば屋さんがあるんだけど、食べに行かない?」
「そば屋さんがあるの?」
自転車で三〇分となればそれなりに遠いなと感じる。だがしかし、それを大して苦に感じなくなっている自分がいる。
「古民家を改装してお店にしてるんだよ」
僕が泊まっている民間みたいなものかな。伯父さんと仲もいいらしい。
「それはぜひ行きたいね」
「雰囲気のすごくいいところだから気に入ると思うな」
それは楽しみだと僕は自転車にまたがると、後部の荷台に少女が続けて乗る。お互いあまりに自然な動きだった。そのことに僕はいまさら疑問すら浮かばない。
「じゃあ行こうか」
「はい」
少女が短く返答する。
自転車が進みだすと背の高いひまわり畑を横切っていく。ひまわりの花が向く先には夏の日差し。
暑い夏はまだ終わらないと自己主張してるかのようだった。
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