自転車で
実質三日目となる自転車の操縦もだいぶ慣れたつもりだ。
少女は相変わらずお尻が痛いと言っている。
道がよくなったわけではないし、座席が改善されたわけでもない。こればかりはどうしようもなかった。
それと少女は乗せてもらう方がいいのだそうだ。
「同じ景色が続いてるんだと思ってたけど、違うんだね」
たしかに田園風景が続いているのは同じだ。だけどそこにもかすかな違いがあると感じた。
「昨日と道が違うからかな?」
それもあるのだろう。
畑で作っている作物がどこかしこで少し違ったりとかしているのだから不思議なものだ。それにようやく気がついたというべきか。
特段複雑な道というわけではないが、少女のナビゲーションがなければそこまでたどり着けないだろう。
「自販機とか何にもないんだよねぇ」
小休止するようなところもないという。
やはりこの周辺で買い物できるのはあのコンビニくらいのものらしい。
ここに来てアトラクションを自ら探す必要があって、どうやって一日を過ごすのか悩まないといけない。
こんな世界があるのだと僕は感心している。
「お兄さんはここの生活はどう?」
どういう意図で聞いているのかはわからないが、正直に答えてしまおう。
「毎日どうやって過ごすか考えてしまうけど」
君がいるから楽しいよ。と、その一言は伏せておいた。
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