朝の散歩
夏の朝は比較的涼しい。
朝霧がうっすらあたりを包んで、稲の葉っぱには朝露がついている。
何とも静かで清々しい朝だ。
「早起きも悪くないかもね」
少女は体をうーんと呻きながら伸ばす。少女は就寝時に着ていた服装そのままででてきていた。
部屋着のままと言い替えてもいいかもしれない。
「この時間だとたまーに誰かとすれ違うこともあるかなってくらいだよ」
と本人は気にならない様子だ。
実際、周辺に人の気配は感じられない。本当に人の姿を見つけるほうが難しいのだろう。
「私はこの時間は寝てることが多いんだけど、こうやって早めに目が覚めたら散歩して、それからシャワー浴びるんだ」
なるほど悪くないなと思ってしまう。
「お兄さんもシャワー浴びる?」
「そうしようかな」
目が覚めていいかもしれない。
「朝はカエルの鳴き声はしないんだね」
「いないわけじゃないけどね」
それこそヒキガエルみたいなのがいるかもしれないとのことだ。ちなみに実物を見たら存外大きくて驚くらしい。
「カエル触れる?」
「私は無理かな」
生粋の田舎娘ではないからだという。もっともここで知り合った地元の女の子も苦手なんだそうだ。
ヘビにムカデに何でもいるそうだ。僕だって苦手である。
「もし家の中に出てきたらどうする?」
「お兄さんにカッコいいところ見せてもらう」
僕のいたずらな問いかけに少女はしたり顔を向けてくる。どうやら一本取られたのはこっちらしい。
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