早起き
パチリと目が覚めた。時計はまだ朝の六時。普段からも特別早いとも言えない時間。
背中からぬくもりと重みが欠けられていることに気がつく。
顔だけ向けられる範囲で向けると、そこには寝入っている少女の姿が。
まだ起きる気はないようで、すーすーという小鳥のさえずりのような寝息が聞こえる。
昨日は少女のほうが起きるのは早かった。今日は僕のほうが早いというよりは少女が寝過ぎているというのが正解なのだろう。
「起きなくて大丈夫?」
僕が少女の体を揺すると寝ぼけまなこで僕を仰ぎ見てくる。
「何時?」
「六時だけど」
「7時起きだから、まだ大丈夫」
と言いながらも少女はゆっくり体を起こす。大きなあくびつきでだ。
「お兄さん、早いね」
「目が覚めちゃって」
早起きして特に何をするでもない。二度寝する方がいいだろうか?
「散歩でもする?」
少女から思わぬ提案だった。
「そうしようかな」
やることは特にないのだ。自転車での移動が多かったので、悪くないかもしれない。
僕はゆっくり立ちあがると洗い場へ向かう。少女もついてくる。
「お兄さんて朝食の前に歯を磨くよね」
「朝食は口をさっぱりさせて食べたいんだ」
「へぇ。私もそうしてみようかな」
少し興味を持ってもらえたようで何よりだ。朝の歯磨きは人によってタイミングが違う気がする。まあ、夜の歯磨きは寝る前にすると決まりきっているというのもあるか。
それから僕は浴衣から普段着に着替えて少女と散歩へ行くのであった。
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