夜の縁側
お風呂をあがって僕は縁側に座っていた。
「」
少女にここで待ってるよう言われたからだ。
「お待たせ」
少女は大きな白い皿に切ったスイカを二切れ乗せていた。
少女は皿を僕との間に置いて座る。
「スイカ、嫌いじゃないよね?」
「もちろん」
縁側の外からカエルの大合唱が響きわたる。風流だと言いたいが、感覚はセミの鳴き声を聞いているときの感覚に近い。
自然が流す音楽というものは案外とそんなものかもしれない。
「塩置いとくね」
人によってはスイカに塩をかけて食べる人がいるらしい。普段はかけないのだが、今日くらいは試すのもいいかもしれない。
少女なんかは迷うことなく塩をかけて食べている。
「すごくおいしくなるとかじゃないんだけど、不思議とかけたくなるんだよね」
あははと乾いた笑い。
「僕も挑戦させてもらおうかな」
とスイカに塩をふる。その光景に少女は目を輝かせながら、
僕を見つめてくる。同胞を見つけたとばかりである。
食べて見ると塩味がスイカの甘味に足されてさっぱりした口あたりに、なったような気がする。
だからといって特別おいしい食べ方ではないなと思った。
「そういえばお風呂は入らないの?」
その質問に少女は鳩が豆鉄砲をくらったような表情になる。
「ちょっと臭うかな?」
そんなことはない。
「寝る前にシャワーだけでも浴びてこようかな……」
独り言のようにつぶやく。もちろん少女にとって他意はなかった。
ただ僕が勝手によからぬ想像をしただけだった。
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