川で昼食を
川遊びに二人で熱中していたら、いつの間にか昼時になっていた。
家まで帰るのは億劫だと少女はちゃっかり朝食を作るときにお弁当まで用意していたということだ。
「少ない?」
保冷バッグに入っていた弁当箱を取りだす。弁当箱二つあってどちらもそれほど大きくはない。
「そんなことないよ」
それほど大食いというわけでもない。それは少女も同じなのだろう。
僕らはレジャーシートをなるべく日陰で、石の少ない場所に移動して食べることにした。
二つのお弁当箱。一つはのりがまかれた三角おむすびがぎゅっと6個ほど詰められた箱。もう一つは肉団子、きんぴらごぼう、ポテトサラダが入っている。
これらを早朝に作っていたのではないだろうか。作るのは大変だっただろう。
「すごいね」
「慣れてるだけだよ」
こんなことで褒めないでと少女は恥ずかしそうに手をパタパタさせる。
おかずはどれも素朴ながらもおいしい。
「多く作ったから夕飯にもだすよ」となかなか抜け目がない。
「お母さんみたいだね」
僕が冗談めかして言うと、少女はくったくなく笑う。
「じゃあなってあげよっか。お兄さんのお母さんに」
逆にいじり返される始末だ。
「からかって悪かったよ」
「へそ曲げさせるとご飯ださないんだからね」
それは恐ろしい。
夏の日差しはこれからが本番だ。僕らのいる日陰も少しずつ動いていく。
お弁当箱の中身も間もなく空っぽになりつつあった。
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