路
昨日とは違う道を僕は自転車で少女を後ろに乗せて進む。
少し違うのは二人が水着だということくらいだろう。
さすがに自転車に乗ってとはいえ、水着で出歩くのは恥ずかしいのではと思ったが、そんなことを気にする人はいないと断言されてしまった。
太陽が照りつける夏の日差し。風はなく、空を見渡しても雲の姿はほとんどない。
今日もさぞよく晴れることだろう。
「川遊びはここでの三大娯楽の一つだよ」
他にまだ二つもあるのかと驚く。
「お兄さんがいなかったら一人で行かないといけなかったんだよ」
川といっても何か特別な遊びが待っているわけではない。いまから行くのは下流の流れが緩やかなところで浅瀬なのだそうだ。
水着は着てみたものの川の水に足をつけるくらいだろう。
舗装されていない道を自転車で進むのはやっぱりお尻が痛い。
どこまでも続く田園風景の向こうには山々が連なっている。
その間もすれ違う人はほとんどいない。
僕と少女以外の人はいったいどこにいるのだろうか。
いつか終わるはずの道が僕にはどこまでも続いているように感じた。
それは少女の熱量を背中でいつまでも感じていたいという僕の願望だったかもしれない。
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